ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
物語は終わらない
未完の物語―。作者の意図によるものの他、作者自身の死による絶筆などその理由はさまざなですが、明確な結末や真相が描かれていない物語はこの世に少なからず存在します。それらに触れるとわき出てくる言いようのない寂寥感、しかし「描かれていない」からこそ無限に広がる想像の世界。これらの物語の続きを紡いでいくのは、あなた自身です。
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ピラミッド帽子よ、さようなら 新装版
乙骨 淑子(作) , 長谷川 集平(絵)
平凡な中学生の洋平は、奇妙なきっかけから出会った謎の少女ゆき、映像研の仲間たちとともに地下世界アガルタへ。世界のさまざまな謎をめぐる旅のゆくえは・・・。作者逝去により、真相が明かされる直前で物語の幕は閉じられることに。「誇張でなく自分の人生を変えた一冊だった」と語る、新海誠監督による解説も印象的。
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銀河鉄道の夜
宮澤 賢治(作) , 小林 敏也(画)
「輝く多面体」として生きた宮沢賢治が、生前改稿に改稿を重ねた「永遠の未完成」。銀河鉄道に乗った孤独な少年ジョバンニと親友カムパネルラによる、幻想的な星めぐりの旅が描かれます。彼らの探し求めた「ほんとうの幸い」とは何か。絶対的な答えのないその問いを考え続けることは、私たち一人一人に託されています。
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花豆の煮えるまで 小夜の物語
安房 直子(作) , 味戸 ケイコ(絵)
人間と山の精との間に生まれた少女・小夜(さよ)と、不思議なものたちとの交感を描いた連作短編集。没後も評価が高い作者の最晩年の作品であり、「まだ物語の続きがあるのでは」と感じさせるラストの切なさが胸に迫る。作者と同じ時期に函館で少女時代を過ごしていたという、味戸ケイコ氏による幻想的な挿絵も味わい深い。
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怪物はささやく
パトリック・ネス(著) , シヴォーン・ダウド(原案) , 池田真紀子(訳)
闘病中の母と暮らす少年コナーのもとに夜毎現れる謎の「怪物」。彼の語る物語にこめられた意味とは?そしてコナー自身が語るべき「物語」とは?47歳で逝去した女性作家ダウドの遺した原案メモをもとに、気鋭の作家ネスが哀しくも美しい物語として完成。描かれるのは、「自分自身の物語を紡いで生きること」の尊さです。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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