ブックキュレーターhonto編集員
対話から浮かび上がる思想と文学。小説家たちの対談集
対話を重ねてテーマを形成し、脱線を繰り返しながら煎じ詰めていく対談には、会話劇にも通じるようなおもしろ味があり、本人の著作とは違うかたちで著者の魅力を浮かび上がらせることがあります。世間話の延長から命がけの議論まで、小説家同士が文学的なテーマについて語り合う対談集を精選しました。作家たちの対話に耳を傾けてみましょう。
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グアバの香り ガルシア=マルケスとの対話
G.ガルシア=マルケス(著) , P.A.メンドーサ(聞き手) , 木村 榮一(訳)
1982年に行われた対談を収めた一冊。コロンビアの小説家ガルシア=マルケスに、ジャーナリストで親友のメンドーサが質問する形式で、代表作『百年の孤独』などの創作秘話が明かされていきます。基本はカジュアルな対話ですが、時に鋭い質問が飛び出すことも。ガルシア=マルケスの小説家としての歩みがわかるようになります。
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美と共同体と東大闘争
三島 由紀夫(著) , 東大全共闘(著)
1969年に開催された討論会の書き起こしです。安田講堂事件から4ヵ月後、三島由紀夫と全共闘が東大教養学部で相まみえました。テーマは時間、暴力、革命、芸術、天皇などに移行し、2時間を超える激論を展開。巻末には双方の後日談を収録しています。東大全共闘が掲げる理想と、三島由紀夫の行動理念を知る貴重な記録です。
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さびしい文学者の時代 「妄想病」対「躁鬱病」対談
埴谷 雄高(著) , 北 杜夫(著)
1982年に刊行された対談集の文庫版。妄想病を自認する埴谷雄高と、躁鬱病に悩む北杜夫が繰り広げる対話が痛快です。話題は両者の代表作に始まり、果ては宇宙まで。ワインの効果で休みなく弁舌をふるう埴谷と、鬱症状のためまともに話せない北の対象的な状態が不思議と噛み合い、含蓄のある会話が成立しています。
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1995年に行われた村上春樹と河合隼雄の対談です。小説家としての体験を素材に「物語る」ことの意義を明かし、現代社会における個人のあり方を展開する対話の妙は、年月を経ても色褪せません。心理療法家である河合が説く箱庭療法と「物語る」ことの共通性は目からウロコで、物語の新たな読み方を教えてくれます。
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2002年から2009年までの対話を集めた対談集です。小説家・高橋源一郎と翻訳家・柴田元幸が、それぞれの立場から「読む・書く・訳す」というテーマで小説を語り、独自のメソッドを展開。議論のなかで日米の文学作品が多数紹介されているので、小説好きは好奇心を刺激されること請け合いです。至高の小説論といえるでしょう。
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