夢とロマンで会社を育てろ！経済小説の先駆者・城山三郎の本

主人公のモデルは、日本信販創業者の山田光成。今となっては当たり前になった、月賦販売を広めた人物です。戦後がむしゃらに働いて会社を大きくした創業社長が多いなか、山田の地道にコツコツ働くイメージが強調されています。貧乏な時代にどうやったら豊かに暮らせるか。それだけを一途に考えていた姿が印象的です。

2021年のNHK大河ドラマの主人公となった渋沢栄一の伝記小説。幕末、武州の一農夫が尊皇攘夷に立ち上がるも時代の波に飲まれ、一転大蔵省で活躍し、帝国ホテルや王子製紙などを設立したその生涯が描かれています。明治期の実業界の基礎を作った渋沢ですが、無骨で現実主義な農民としての一面が丁寧に描かれています。

主人公のモデルとなったのは、ダイエー創業者の中内功。安売りの薬屋を、日本を代表するスーパーマーケットへと育て上げた男の物語です。「人間の能力は努力でしかない」と言い放ち、休むことなく再販価格と戦い低価格を模索する姿には、まさに猪突猛進という言葉が似合います。あまりのがむしゃらさには、清々しさすら感じます。

倉敷紡績2代目社長・大原孫三郎の伝記です。倉敷紡績を日本有数の会社にしただけでなく、社会福祉にも大きな貢献をした郷土の偉人。従業員の生活改善や奨学金制度の創設、倉敷中央病院や大原美術館の設立など、社会のために資産を惜しみなく投じていきました。随所に大原の器の大きさが表れていて、その人柄に感服するはずです。

近畿日本ツーリストの前身、日本ツーリストの創業者・馬場勇をモデルとした小説。戦後復興期に5人で立ち上げた会社を、修学旅行事業を中心に業績拡大させていきます。死に物狂いで働き、東大生のアルバイトや家族までも業務に巻き込む姿は痛快のひと言。破竹の勢いで会社を大きくした馬場の手腕にうなるばかりです。