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幻想と風刺に彩られた近現代イタリア文学の世界
イタリア文学は南欧のなかで古くから存在感を示してきました。中世盛期にはダンテの『神曲』、ボッカッチョの『デカメロン』といった不朽の叙事詩や物語集が誕生。ルネサンス期以後は過渡期を迎えますが、第二次世界大戦前後では過酷な状況下で、風刺や幻想に彩られた傑作が次々と生まれました。そうした近現代イタリア文学の名作を紹介します。
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カオス・シチリア物語 ピランデッロ短編集
ルイジ・ピランデッロ(著) , 白崎 容子(訳) , 尾河 直哉(訳)
シチリアにゆかりある16編を収録した短編小説集で、同名の映画も制作されています。巻頭を飾るカラスの復讐譚「ミッツァロのカラス」をはじめ、ユーモラスに描かれる人々の姿が印象に残ります。シチリアの風土・因習に根差した寓話の数々に、ピランデッロの諧謔精神を汲むことができます。
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タタール人の砂漠
ブッツァーティ(作) , 脇 功(訳)
「イタリアのカフカ」の異名を持つ作家が1940年に発表した長編小説です。士官学校を卒業したドローゴは辺境の砦に赴任します。将校たちは事件に飢え、北の砂漠よりタタール人が襲来することを夢見るのですが、砦ではただ退屈な時間だけが流れるのでした。単調な日常の終わりを待ち、そのために束縛されるという不条理を幻想的に表現した傑作です。
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まっぷたつの子爵
カルヴィーノ(著) , 河島英昭(訳)
1952年に発表された、イタリアの国民的作家カルヴィーノが手がけた長編小説。18世紀初頭の戦争で、メダルド子爵は大砲で吹き飛ばされるも奇跡的に生還します。ところが肉体は「善」と「悪」に分断されてしまい、彼の故郷は混乱の渦に陥ることに。善悪に分かれたメダルド子爵の対立を通し、誰もが抱える二面性を浮き彫りにする現代のおとぎ話です。
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1956年に発表されたモラヴィアの作品集より、15編を訳出した短編小説集です。薔薇よりキャベツを愛するハナムグリの娘、荒唐無稽な虐殺の現場となる結婚式、陸と海底に理想郷を求める世代の異なる蛸。本書にはシュルレアリスムの影響を受けた著者の、不思議な、それでいてリアルな表現の世界がぎっしり凝縮されています。
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