1周回ってまた恋をしたい大人女子へ。恋の感覚を呼び覚ます珠玉の恋愛小説

料理研究家の妻、飄々として憎めない夫、悪びれない恋愛至上主義の女の三角関係が、三者三様の視点から綴られます。カジュアルな語り口に包まれた哲学的表現が随所に光り、まるで3人の打ち明け話を個別に聞いているかのような感覚でラストまで一気に読ませます。さて、あなたは3人のうち誰に最も感情移入するでしょうか？

31歳、フリーランスのデザイナー・及里子。男たちに言い寄られ、奔放に恋を楽しんでいるものの、本気で愛する五郎にだけは胸焦がれるあまりまったく接近できません。女子なら誰もがわかるであろう「好きすぎてムリ！」という感情を、的確な言葉でピタリと表現してみせる著者の熟練技に圧倒されつつ、次の恋への活力が湧く、時代を超えた名著です。

安全でも適切でもない人生をそれぞれの場所で生きている10人の女性。彼女たちの恋愛を切り取った短編集です。情熱、欲望、嫉妬、執着、諦観など、恋が連れてくるさまざまな感情が閉じ込められた小説世界に漂うのは、不思議な透明感。日本の小説なのにまるで洋書のような香りがし、読むだけでいい女になれそうな気がしてきます。

元禄期の大坂で起きた心中事件を題材にした、人形浄瑠璃『曾根崎心中』をもとにした小説。運命の恋に落ちた遊女・初の高揚が痛いほど鮮やかに描写されます。心中への道中で一瞬芽生えた男への不信に目をつぶってでも、恋を永久保存するため死へと疾走する初。『これが、これが、これが、恋』。悲しく美しい恋物語です。

おひとり様老後を見越してマンションを購入した4人の30代独身女性たち（恋多き肉食不倫女子の真琴、バツイチの江美、教師の史子、おっとりした麻子）。恋に一喜一憂する彼女たちの一員としてガールズトークに参加しているかのような気分で読めて、「私もがんばろう！」と元気が湧いてくる、女性エンパワーメント小説です。