「いつもがんばる」なんて無理。ひと息つくのにちょうどいいエッセイ本

村上春樹が書きたいこと、おもしろいと感じることを、気の赴くまま綴っている一冊。気さくな語り口が、疲れた心にスーッと馴染んでいきます。何にも縛られていないような自由さには、時にうらやましい気持ちにも。彼が味わう空気感に浸りたくて、つい真似ごとをしてみたくなるようなエピソードが満載です。

作家の辻村深月が、好きなもの、興味のあるものをたどるルポ＆エッセイ集。凛としたクールな文体にもかかわらず、全編から「好きなもの」への熱い想いが伝わってきます。好きなものに対してここまで正直で、深く考えを巡らせられる著者の才能に憧れを覚えることでしょう。自分の気持ちに向き合うことの大切さに気づかせてくれる一冊です。

作家の万城目学が、日々のできごとに深く切り込んでいく一冊です。独特の着眼点と言葉選びで何気ないエピソードを彩っていく、著者の表現力に終始驚かされます。そして読み進めるにつれ、現実と非現実の狭間にいるかのような不思議な感覚に陥ります。この浮世離れした世界観は、しばし現実を忘れさせてくれることでしょう。

「生活をおもしろがる」をテーマにした星野源の初のエッセイ集です。文章の赤裸々さやフランクさは、読み手の警戒を解き、しだいに愛おしさを覚えているでしょう。またそのカジュアルな文体のなかに突如として現れる、核心めいた物言いには虚をつかれることも。生きづらさに真正面から向き合う、著者の姿に勇気をもらえる一冊です。

伊坂幸太郎が暮らす仙台でのエピソードを綴ったエッセイです。彼の小説の世界観に少し似た、一風変わった日常が描かれています。淡々としながらも丁寧に言葉が紡がれる本書は読み心地がよく、心を穏やかな状態に整えてくれるかのよう。読み終えるころには、自分本来のペースを取り戻すことができているかもしれません。