誰の人生に共感しますか？生き方の選択に迷い、揺れる女性を描いた物語

ほぼ真逆といえる性格をした、ののとはな。高校生から40歳を過ぎるまで、時に毎日、時に20年の間隔を空けながら往復書簡は続きます。時代は昭和から平成へと変わり、2人を取り巻く環境も変化。生き方の違いから溝も生まれます。それでも変わらない、大切な相手への気持ちに胸が熱くなる一冊です。

女性3人の現在と過去が描かれた直木賞受賞作。親友だった女子高生が、そのあと疎遠になった理由を明かします。同じものを見ていたはずの相手が違う場所にいると知ることが怖かったという告白には、ドキッとする女性も多いのでは。立場の違いから対岸にいるように見える女性もまた、本当は同じ岸辺にいるのかもしれません。

昭和前期の関西を舞台に、4姉妹の生きざまを描いた谷崎潤一郎の名作。姉妹たちを取り巻く人々も含めて多数の人物が登場しますが、それぞれが個性豊かで、すぐにキャラクターを把握できるようになるはず。発表から半世紀以上が経ちますが、悩みながらそれでもたくましく生きていく女性たちの姿から、現代を生きる私たちも勇気をもらえることでしょう。

叩かれても、煙草の火を押し当てられても、母のマコを心の底から愛し続けるコマコ。逃げるように住処を転々とする親子に、ある日、離別の時が訪れます。最愛の人との別れで、大きく動き始めたコマコの人生。歪んだ愛は、本当の愛ではないのでしょうか？そんなことを考えたくなる物語です。

良くも悪くもどこにでもいそうな平凡な女性・紀子の、小学3年から高校卒業までの成長の記録。はたから見ればどれだけ平凡でも、本人にとっては波瀾万丈に映っているかもしれません。時代や周囲に振り回されっぱなしな紀子におかしみを感じるとともに、もう二度と戻れない子ども時代を思い出し、胸が締めつけられます。