どうやって考えた!?とあきれるほどの超絶技巧ミステリー

6つの短編小説の読む順番を変えることで720通りの物語になるという、なんともユニークな連作短編集です。人物や出来事が巧みにつながっていて、それを先に知るか後に知るかで印象がガラリと変わる不思議な体験ができます。自分だったらこの順番で構成するだろうなあと、自分の好みを再発見することができるでしょう。

いろは48文字を一度ずつ使って作る「いろは歌」。暗号としても有名なこの題材を、これでもかというぐらい突き詰めた一冊です。明治から昭和にかけて活躍した作家・黒岩涙香の功績を紐解きながら、謎に次ぐ謎、暗号に次ぐ暗号に殺人事件。著者の執念とも言えるような凄味を感じる暗号ミステリーの傑作です。

「袋とじ」という珍しい製本で、しかも、そのまま読めば短編小説、袋とじを開いて読めば長編小説になるという驚きの仕掛けが施されています。短編部分と長編部分とがどう重なり、ストーリーがどう変わるのかをぜひ確かめてみてください。マジシャンとしても有名な著者の、奇想天外な一冊です。

最終章で始まり第1章で終わる物語、それが本作です。少しずつ時間が戻っていき、前の章で描かれたことに対する発見の連続で徐々にさまざまなことが紐解かれ、腑に落ちていきます。普段とは違う読書体験に、そして稀代のストーリーテラーである著者に舌を巻き脱帽せざるを得ない、そんな見事なミステリーです。

記憶を失った主人公、目覚めると同じ一日の繰り返し、しかも別の人格に乗り移っている、そんな状況の中でイヴリン嬢を殺した犯人を探し出すという強烈な設定のSFミステリー。著者は登場人物と行動を時系列と場所とともに一覧表にして管理したそうで、高密度で精細なプロットとストーリーは読み応え抜群です。