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ポルトガル語で書かれた異色の世界。ブラジル文学の名作を読む
ポルトガル人の上陸以来、ブラジルは300年以上植民地として支配されてきました。その植民地活動は文化形成に大きな影響を与え、独自の文学を育むことになりました。ポルトガル語で書かれた物語はラテンアメリカ文学の中でも異彩を放ち、世界文学史に残る数々の作品が名を連ねています。そんなブラジル文学の代表的な小説を厳選しました。
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著者のマシャード・ジ・アシスは19世紀の小説家であり、ブラジル文学界の巨匠です。死者の語り手を採用し、生前の出来事を語らせる本書は大きな反響を呼びました。自分自身の不倫を振り返り、時に読者と対話を試みながら思索に耽る主人公。断章形式で全160章を数える駄目人間の回想を通して、19世紀後期のブラジル社会を描き出した傑作です。
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カカオ
ジョルジェ・アマード(著) , 田所 清克(訳)
20世紀ブラジル文学を代表する小説家、ジョルジェ・アマードの初期作です。主人公はカカオ農園主の息子として生まれるも、父親の死後没落し、他のカカオ農園で過酷な労働生活を送ります。富裕層から非搾取者に変わり、封建的な社会で政治意識に目覚める青年。彼の目を通して、搾取される労働者の生活と階級闘争の始まりを描き出していきます。
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マクナイーマ つかみどころのない英雄
マリオ・ヂ・アンドラーヂ(著) , 福嶋 伸洋(訳)
著者はブラジル・モデルニズモの立役者、マリオ・ヂ・アンドラーヂ。本書では先住民に伝わる神話・言語を骨組みに、自由奔放なマクナイーマの冒険が語られます。好色で無鉄砲、冷酷で陽気。マクナイーマは無数の顔を覗かせながら、旅路でさまざまな文明の産物を発見します。荒唐無稽な英雄譚にブラジル文化の変遷を投影させたモデルニズモの怪作です。
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エルドラードの孤児
ミウトン・ハトゥン(著) , 武田 千香(訳)
物語の舞台は20世紀前期のアマゾン。主人公は父親の事業を継ぐも、夢見がちで財産を浪費するばかりでした。そんな彼は一夜を共にして消えたインディオの女性を忘れられずにいました。彼女を探すため、彼はアマゾン中流地域「エルドラード」を目指して旅立ちます。隠遁した老人の語りという形式を取った、幻想的な現代の黄金郷神話です。
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最初の物語
ジョアン・ギマランイス・ホーザ(著) , 高橋 都彦(訳)
「ポルトガル語のジェイムズ・ジョイス」と呼ばれ、前衛的な作品を発表してきた文豪、ジョアン・ギマランイス・ホーザの短編小説集です。ブラジリア建設見学のためおじ夫婦に伴われて旅する少年の物語「喜びの緑」、その主人公の成長を描く続編「梢」など21編収録。この2編以外は別々の内容で、悲喜劇・幻想・風刺と多様性に富むテーマが用意されています。
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