強さと明るさで我が道を切り拓く！シングルマザー家庭の母子を描いた物語

9歳のさきちゃんと作家のお母さんの暮らしが、ほっこりする添絵とともに綴られた連作短編集。忙しい毎日のなかの何気ない出来事が、何年か先になると懐かしく、愛しい思い出になることを教えてくれます。子どもとのかけがえのない日々を大切に、丁寧に過ごしたいと思わせてくれる、生きる喜びと切なさに満ちた名著です。

男にだまされて流れ着いた北の町の焼肉屋で働く肉子ちゃんと、その娘キクりん。そんな母娘と、さびれた漁港に生きる個性あふれる人々の交流が生き生きと描かれています。「破れかぶれの人生でも人を支えるのは絆なのだ」というストレートなメッセージと、成長していくキクりんの姿に、深い感動と共感が湧いてくるはずです。

奔放なキャリアウーマンの母と、破天荒な祖父のもとで育った高校生・秀美。『私は、秀美を、素敵な男性に育てたい。大人の女性の立場から言わせてもらうと、社会から外れないように外れないように怯えて、自分自身の価値観をそこにゆだねる男って、ちっとも魅力ないわ』という母の、世の中に対する骨太なメッセージが響いてきます。

結婚をほのめかし、アクセルを思い切り踏み込むように突っ走っていく母親の姿が、小学生の息子の視点から綴られます。激流のなかで必死に泳いでいるような不器用な生き方、孤独、哀しみ、淡々とした日々のなかに垣間見える温かな愛情・・・。言葉では表現し切れない心の機微が、丁寧に紡がれた母子小説です。

赤ん坊の雪を抱え、途方に暮れていた21歳のシングルマザー珊瑚は、ある日「赤ちゃん、お預かりします」の貼り紙を見つけます。周りの人々に助けられながら、娘とともに生きていくためにカフェを始め、失敗を繰り返しながらも果敢に未来を切り拓いていく珊瑚。その挑戦と奮闘に、きっと勇気をもらえるはずです。