近すぎるから、こじれやすい。母と娘の関係をテーマにした物語

大学生の陽彩は、勉強にバイトに忙しい毎日を送っています。彼女が働くのは自分だけのためではなく、浪費家の母のせいで傾く家計を支えるため。母の「愛」に束縛され続ける陽彩でしたが、あるとき彼女を大きく変える出会いが訪れます。痛々しさのなかに一筋の希望が感じられる、現代のリアルな物語です。

物語の主人公は、老人介護施設で働く60代の女性。ある日、彼女のもとに突然やってきたのは疎遠だった娘です。しかも娘は、女性のパートナーを伴っていて・・・。保守的な考えの母と、ありのままの自分を受け入れてほしい娘。どうしてもわかり合えない2人の姿に、ひりつくような痛みを感じてしまうことでしょう。

19歳のうーちゃんは、酒におぼれ壊れてしまった「かか（母）」への愛憎に苦しめられていました。やがて追い詰められた彼女は、とある決意と祈りを胸に旅に出ることを決意します。家族に対する割り切れない感情を見事に書き切った、宇佐見りんのデビュー作です。独特な方言による語りもクセになります。

母と娘が適切な距離を保ちながら生きていくための指南書です。アドバイスのほか、各章にさまざまな母娘を主人公とした短編も収録されていて、母娘関係を具体的にイメージしながら読み進められます。母との関係に悩んだことがある方は、読んだ後には気持ちが軽くなるはずです。

「毒親」に苦しめられ続けた著者によるコミックエッセイ。彼女が戦いの末に母からどうにか逃げ切り、自分の人生を取り戻すまでの物語です。失敗しながらも前へ進もうとがんばる姿を見ていると、思わず感情移入してしまうことでしょう。内容が重い一方で絵柄はかわいらしく、読後感が暗くなりすぎないのもポイントです。