ホラーが苦手でも大丈夫。美しい世界観に没入してしまう乙一ホラーのすすめ

乙一が17歳のときに発表したデビュー作。タイトルに「私の死体」とあるように、本作は死んでしまった「私」の一人称で語られる点が斬新です。物語の序盤であっけなく死んでしまう私。私の死体を隠そうと必死に奔走する幼い兄弟。ドキドキの展開で思わず手に汗握ってしまうことでしょう。サクッと読める中編です。

表題作を含む4編からなる短編集で、「ファンタジー・ホラー傑作集」の異名を持つ本書。ファンタジーな世界観にちょっとゾクッとする要素が散りばめられています。なかには思いもよらないラストが待ち受けるお話も・・・。短いながらもメリハリがある、乙一らしさが凝縮された物語ばかりです。

乙一初期の人気作5編と初収録2編からなる短編集です。ホラー要素は少なめですが、そのぶん温かさや切なさ、ユーモアなどを感じられるバラエティに富んだ一冊になっています。表題作は、美しくもかなしい詩のようなお話。余韻に浸れる味わい深い物語です。

人間の裏表や心の揺れ動きを巧みに描いた長編です。ふとしたことでクラスメイトからいじめられるようになったマサオ。ある日、マサオの前に奇妙な見た目のアオが現れますが、その姿は彼にしか見えないようで・・・。ホラーよりもサスペンス色が強い本作。本当に怖いのは何より人間の心かもしれない、と考えさせられます。

目の見えないミチルと、殺人容疑で追われるアキヒロ。2人の奇妙な同居生活が始まります。タイトルからは暗いお話を想像しますが、そんなことはありません。ときにほっこり、ときに切なく、ミステリー要素もあり、乙一ワールドを堪能できる一冊です。非現実的な設定ながら、独特の世界観にぐいぐい引き込まれてしまうでしょう。