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「物語のつながり」から生まれるおもしろさ。連作短編小説の傑作選
連作短編とは、特定のテーマで作られた短編集であり、各物語がなんらかの関連性・共通点を持っているのが特徴です。そのパターンは登場人物・舞台・思想と多種多様で、物語単体だけではなく「物語のつながり」から生まれるおもしろさも大きな魅力。ここでは、国内外から珠玉の連作短編小説集を厳選して紹介します。
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魔法の夜
スティーヴン・ミルハウザー(著) , 柴田 元幸(訳)
アメリカ東海岸、コネチカット州南部を舞台に繰り広げられる不思議な物語。穏やかな夏の深夜に起きている人々と、目を覚ます人形たちが交錯する情景を幻想的に描き出しています。思春期の少女、小説を書き続ける男、マネキン人形を恋い慕うロマンチスト。月明かりに照らされた人間模様が印象に残る群像劇です。
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笑いと忘却の書
ミラン・クンデラ(著) , 西永 良成(訳)
フランス亡命後に発表し、祖国チェコの市民権を剥奪される原因となった問題作。七部構成の物語群は一見独立して見えますが、「プラハの春」以降のチェコの情勢を背景としたテーマを巧妙に反復させることで物語間に関連性を持たせるという、著者自身「変奏形式の小説」と呼ぶ実験的手法の効果で、特殊な連作短編になっています。
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1995年の阪神・淡路大震災と間接的な関わりを持っている登場人物にフォーカスした一冊で、表題作をはじめ6編を収録しています。家庭環境、新興宗教、海外出張。さまざまな状況・環境に置かれた人々の奇妙な遍歴を通し、日常に潜む暴力性を追究した珠玉の連作短編集です。
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ベルリンには膨大な数の通りが存在しますが、本書はある作家が人名の付けられた通りを散策し、その光景を歴史に照らし合わせながら記録していくという小さな物語群です。カント通りに始まり、マヤコフスキーリングに至る散歩は、深い観察眼と想像力に彩られた不思議な展開を見せます。随所に見られる言葉遊びも秀逸です。
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