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無頼漢の叫びが聞こえてくる。アウトローの人生を語る小説
無頼漢(ぶらいかん)とは、ならず者という意味で頼みにすることがない男を表す言葉です。類語として無法者や乱暴者、徒者(いたずらもの)があります。そして、現実社会では許されない行為も、フィクションの世界では批判精神の表現として文学的価値を高めることも。古典的な形式では悪漢小説(ピカレスクロマン)、非道徳的である反英雄(アンチヒーロー)の物語は、まさに無頼漢の生き方を通して、社会の暴力・矛盾を暴露する痛烈な手法です。そうしたアウトローを描いた傑作小説を紹介します。
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崖っぷち
フェルナンド・バジェホ(著) , 久野 量一(訳)
コロンビアの小説家、 フェルナンド・バジェホの問題作です。エイズに感染し、瀕死状態の弟を介護する兄の回想録であり、自分の家族を巡る出来事を思い返す内容になっています。最大の特徴は罵倒表現だらけの語り口です。衰弱していく弟、年老いた母親、亡き父親の記憶をたどりながら、何もかも否定する主人公の罵詈雑言にはド肝を抜かれます。
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怒りの玩具
ロベルト・アルルト(著) , 寺尾 隆吉(訳)
20世紀前半のアルゼンチン文学を牽引した ロベルト・アルルトの長編小説。幼少期の体験を素地にして、下層労働階級の環境を描き出しています。大悪党に憧れ、特別な存在になることを夢見てアイデンティティを求める少年。貧困に打ちのめされる日常を送りながら、発明と暴虐に明け暮れる彼の過酷な行く末をリアリスティックに語ります。
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勝手に生きろ!
C.ブコウスキー(著) , 都甲 幸治(訳)
アメリカが誇る無頼派作家、チャールズ・ブコウスキーの「ヘンリー・チナスキー」シリーズ。ブルーカラーの過酷な労働環境と、貧困に喘ぎながらも頑強な反骨精神を見せるチナスキーの日常を通し、1940年代のアメリカ社会を皮肉を交えて描き出します。就職と解雇の繰り返し。酒と暴言。そして執筆。著者の人生が反映された怪作です。
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