「普通」に馴染めない人々に贈る。読むと心が楽になる、寺地はるなの入門書

ガラス工房を営む道と羽衣子の兄妹は、性格も得意不得意もまるで正反対。いつもぶつかり合ってばかりの2人は、ある日、変わった依頼を受けたことをきっかけに少しずつ歩み寄っていきます。「普通」に馴染めない兄と「特別」に焦がれる妹、それぞれの思いが丁寧に描かれた温かい物語です。

清澄は手芸好きの男子高校生で、学校では少し浮いています。一方、姉の水青は過去の経験からかわいいものが嫌い。そんな姉の結婚式のため、清澄は彼女が着たいと思えるドレスを手作りすることに・・・。読了後は、世間でいう「普通」に縛られず、自分らしく生きることの大切さを実感できるはずです。

主婦の希和はひょんなことから、民間学童「アフタースクール鐘」で働き始めます。経営者の要はどこか浮世離れしていて、希和は毎日振り回されてばかり。しかし、いつもまっすぐな彼と働くうちに、希和は知らず知らず呑み込んでいた「自分自身の言葉」に気づき始めます。一歩前へ踏み出す勇気がほしいときにオススメの一冊です。

星母島という小さな島で、託児所併設の民宿を営む女性・千尋。彼女はどんな相手にもそっけなく接しますが、誰よりまっすぐで誠実な人間です。次々と民宿にやってくる訳ありのお客さんに、彼女はどんな言葉を投げかけるのでしょうか？誰にも媚びず、世間に流されず、自分の考えを重んじる千尋の姿を眩しく感じることでしょう。

雨音は感情移入が苦手で、他人に興味を持てないタイプ。彼女はある日、その性格に目をつけた人物から「お見舞い代行業」をやらないかとスカウトされます。実際に働いてみると、その仕事は雨音に思いのほか合っていたようで・・・。世間の「普通」に息苦しさを感じている人ほど、きっと主人公に共感を覚えるはずです。