ブックキュレーターhonto編集員
現代アメリカ文学における「知の巨人」。はじめてのリチャード・パワーズ
1985年のデビュー以来、アメリカ文学界を牽引し続ける作家、リチャード・パワーズ。既存文学の枠に捉われない緻密にして壮大な物語や、資本主義社会、自然保護など現代的なテーマの小説で世界から高い注目を集めています。圧倒的な知性をもとに進化を続ける、現代最高峰の書き手の代表作を紹介します。
- 15
- お気に入り
- 2274
- 閲覧数
-
表紙の写真はパワーズが美術館で出会い魅了され、作家生活の原点にもなった作品で、本作の書名はその作品のタイトルです。被写体の青年たちや撮影者、この写真を見た者の人生がさまざまな視点から語られます。そこから浮かび上がるのは、第一次世界大戦と20世紀という激動の時代。写真芸術や自動車産業への考察も光るデビュー作です。
-
エコー・メイカー
リチャード・パワーズ(著) , 黒原 敏行(訳)
たった1人の肉親である弟のマークが事故に遭ったと聞き、すぐに駆けつけたカリン。しかし彼は事故の後遺症で、「周囲の人間を替え玉だと誤認する」カプグラ症候群を患ってしまい・・・。脳と記憶、自我の果てしない謎に迫りながら、人間関係を鋭く描写。9.11以後の不安や不信が蔓延してゆく社会を想起させる物語です。
-
森林伐採が進むアメリカで、最後の原始林を救うためにできることは?多種多様な人々の枝葉のような人生が、数奇な運命に導かれて自然保護という芯へ迫っていく模様は圧巻。題材から想像する説教じみた印象は薄く、ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。読後、自分自身と「木」との関わりを再考したくなるはずです。
-
惑う星
リチャード・パワーズ(著) , 木原 善彦(訳)
人間とあらゆる動物が生きる地球。地球を含め数々の惑星が巡る壮麗な宇宙。その研究開発を巡り交錯する政治的な思惑。それらの「大きな物語」と並行して、母を亡くした父子が喪失の戸惑いのなかで徐々に心を通わせてゆく「小さき者たちの物語」が描かれます。結末はどんな読み手にも深く胸に残るでしょう。訳題も秀逸な一冊です。
-
柴田元幸と9人の作家たち ナイン・インタビューズ
柴田 元幸(編・訳)
パワーズに早くから注目した米文学者の柴田元幸は、初期作の翻訳や解説書で彼を日本に紹介した第一人者です。パワーズを含め関わりの深い海外の作家たちや村上春樹との英文インタビューに柴田氏自身の訳文、そして同梱のCDでそれぞれの肉声も楽しめる贅沢な対談集。パワーズの聡明な語り口と作家の矜持が垣間見えます。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です