生きづらさを感じている人にオススメしたい、心を癒す本屋大賞ノミネート作品

主人公・森宮優子は、17歳にして4回も名字が変わり、今はまったく血のつながりのない父「森宮さん」と2人で暮らしています。周りからは不幸だと思われることが多い優子ですが、いつでも家族を愛し、愛されています。タイトルの意味がわかったときには心が震え、読後には身近な人を愛しく思える、感涙必至の2019年の本屋大賞受賞作です。

産みの母と育ての母、2人の母に育てられる主人公の宙（そら）。その事実を受け入れていた宙ですが、父親の海外赴任により、産みの母と暮らすことになります。宙がご飯を通じて成長していく描写は、ただ温かいだけでなく、心が締めつけられるような感覚にもなります。そんな感情も含めて人生なんだ、と思えるようになる名著です。

悩みを抱えた人々が、ふとしたきっかけで立ち寄る小さな図書室。そこにはちょっと変わった司書がいて、図書室に訪れた人へ思いも寄らない選書と「付録」と呼ばれる羊毛フェルトをプレゼントしてくれます。自分が本当に探しているものはなんなのか？人生に行き詰った人をそっとやさしく後押ししてくれるような一冊です。

オーストラリアのメルボルンを舞台にした連作短編集。留学中の女子大生レイと現地に住む日系人ブーは期間限定の恋人となり、一枚の「エスキース」が2人に起こる奇跡を紡いでいきます。タイトルにちなんだ伏線も随所に散りばめられていて、いつまでも物語の温かさと余韻に浸っていたくなるお話です。

主人公の雫は33歳にして病に侵され、余命宣告を受けてしまいます。「最期はいい子をやめよう」と決意した雫が向かった先は、瀬戸内にあるホスピス「ライオンの家」。ここでは毎週日曜に「最後に食べたいおやつ」でお茶会をすることになっていて・・・。死へと向かう話なのに穏やかな気持ちになれる、切なくもやさしい物語です。