マンネリ気分をデトックス!?運命の恋に出会える小説

主人公マオの前に青年ハチが現れ、マオはハチの最後の恋人になります。ハチは、霊能者の祖母がやってくると言い残した青年でした。2人の恋はたった1年に定められたもので、終わりが見えているからこそ自由で鮮烈で、完璧なものでした。浮世離れした2人の『コーヒーが冷めていくことすら美し』く張り詰めた世界に浸ってみませんか。

表題作のほか9編が収められた、10人の女性たちの恋物語を描いた短編集です。恋は安全でも適切でもないからこそ、胸に刺さります。失恋直後に変わりゆく感情、祖母の危篤を知って集まった家族、恋人同士の食卓風景など、ありふれた風景を描きながら、恋をしている人の感情をリアルに切り取った一冊です。

新郎新婦の結婚式の招待状から始まる本書では、人間のつながりを描いています。恋愛描写はありませんが、主人公の2人を通して、いかに人生が豊かになったかが招待客の視点で描かれます。一つの恋が周囲を巻き込んで幸せにする様子に、恋ってすごい！と感じずにはいられないはずです。

ノルマに追われながら冴えない画廊で働く主人公のもとに、「君からすべての絵を買おう」と言う中国人大富豪が現れます。主人公は彼と夢のような一夜を過ごし、彼を追いかけるように中国に渡ります。そこで彼が用意した「隠れ家」で中国美術を学び、中国現代アートのバイヤーに成長していき・・・。一筋縄ではいかない恋×美術という、異色のサスペンス小説です。

工場での仕事中に薬指を失った主人公は、導かれるように標本室で働き始めます。新たな職場で出会った、恋人と呼ぶには偏執的な彼がプレゼントしてくれたのは、ぴったりすぎる靴でした。危ないとわかっていながら彼にのめり込んで行く様子は、ホラーにも限りない純愛にも見えてきます。幻想的な恋愛小説です。