もはや古典!?新本格ミステリ第1世代作家のデビュー作

夏合宿にやってきた英都大学推理小説研究会のメンバーは、殺人鬼による殺人事件に遭遇します。作者と同姓同名の有栖川有栖、探偵役の先輩・江上二郎が活躍する「学生アリスシリーズ」第1弾です。アメリカの推理作家、エラリー・クイーンの影響を受けていて、「読者への挑戦」が挿入されています。緻密な謎解きを堪能できる一冊です。

8の字をした屋敷で起きる殺人事件を描いた本格ミステリーです。主人公の速水警部補が推理マニアの弟、妹とともに事件に挑みます。作者の我孫子武丸は多くの新本格ミステリ作家を生み出した京大推理小説研究会出身で、作品からは密室講義など古典ミステリー作品への愛情がたっぷり感じられます。

学生バンドのメンバーが、練習先で殺人事件に遭遇します。しかし、死体が消失してまた元に戻ったりと、犯人以外にも謎が多い展開です。『葉桜の季節に君を想うということ』や「密室殺人ゲーム」シリーズの歌野晶午の1988年のデビュー作。巻末では、ペンネームの生みの親であり、ミステリー小説の大家・島田荘司との関係もわかる驚きのエピソードも読めます。

密室状態の教室の中にある死体、なぜか消えていた机と椅子、果たして自殺か他殺か・・・という謎に、高校生の推理マニア・工藤順也が挑みます。終盤の怒涛の展開とロジカルな謎解きが見事です。著者・法月綸太郎の後の作品に登場する「悩める探偵像」の原型が味わえる青春ミステリーです。

京都近郊の古城を模した建物で起こる密室連続殺人に、探偵・メルカトル鮎が挑みます。著者の麻耶雄嵩は、我孫子武丸や法月綸太郎などと少し後の世代で、数々のミステリー小説のお約束や「っぽさ」を換骨奪胎して創り上げた作品が特徴的。クセ者の著者による問題作です。