愛も恋も難しい・・・。生と性に向き合う、切なくてヒリヒリするコミック

太平洋戦争末期、神風特別攻撃隊を舞台に繰り広げられるオムニバスストーリー。特攻隊を報道するカメラマン・淀野が好ましく見ている志津摩という一飛曹には、実は重い過去があり・・・。自分の命がいつついえるかわからない状況下での愛情や劣情が巧みに描かれていて、その描写の人間臭さに否応なく惹きつけられます。

若く美しい母サホに複雑な感情を抱きながらも、外面上飄々と暮らしている正文は、学校で透明になりがちな静かな高校生。幼馴染みの京子に彼氏ができたことで、少しずつじわじわと、安全だったはずの日常は崩れていき・・・。ぞわっとする不安感がずっとつきまとうようで、まるで映画を観ているような感覚に浸れるコミックです。

明治から昭和初期を舞台にした、どこか儚さを覚える恋愛物語が詰め込まれた短編集。いつも駅のホームで朗読をしている少女の声に魅せられてしまう少年の心の動きを描いた初々しい「背中合わせのリルケ」、読了後のいたたまれなさが群を抜いている「かくれんぼ」など、危うげな恋愛模様を多様な角度から切り取った一冊です。

結婚してからの5年間、贅沢を禁じながら妊活に勤しんできた愛里と義実の夫婦。多額の金を投じながらも結局うまくいかず、絶望に苛まれた2人は・・・。タイトルどおり心機一転、新たな関係を切り拓いていこうと奮闘する愛里たちに、周りの大人たちが複雑に絡んでいきます。意外な展開に、ページをめくる手が止まらなくなるはずです。

高校生のウタは、兄の嫁である薫瑠に片想いをしています。しかも、新婚夫婦と同居生活を送っているから、恋心を忘れようにもなかなかうまくいきません。実は、複雑な状況にいるのはウタだけではなく・・・。それぞれが一筋縄ではいかない事情を抱えていて、恋愛の難しさを突きつけられる巧みな心理描写が魅力的なコミックです。