ブックキュレーターhonto編集員
作家の視点で作家を語る。観察眼が光る秀逸な作家論が読める名著
著者自身が作家であり、おなじ文学界の作家を論じることは古今東西でありました。その範囲は顔見知りから昔の異国人まで含み、時代も国境も越え、文芸評論として現代に根づいています。ここでは「作家による作家論」と題して、数々の作品を書き残してきた作家の人物像と文学観を考察するとともに、その実体を浮かび上がらせる名著を紹介します。
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文学と悪
ジョルジュ・バタイユ(著) , 山本 功(訳)
文学の表現するものは悪であり、その悪こそ至高の価値を持つという著者の思想をもとに、ブロンテ、ボードレール、ミシュレ、ブレイク、サド、プルースト、カフカ、ジュネの8人を論じています。名立たる作家たちの社会的立場と評価を見定めるとともに、それぞれの代表作で描かれる「悪」に注目したジョルジュ・バタイユの野心的作家論です。
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ロシア語と英語の文学者であるウラジーミル・ナボコフによる文学講義の記録です。ジェイン・オースティン、チャールズ・ディケンズといった西欧文学史に残る文豪たちを取り上げ、その個性を代表作とともに紐解いていきます。文学に思想を求めず、理論と技術を重視するナボコフの小説観は明快であり、読者の批評眼を容赦なく鍛えてくれます。
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埴谷雄高が戦後派作家たちとの交流を綴った随想録です。小説家・評論家として活躍し、同業者との交友関係も広かった著者は、人間の特徴を見抜く慧眼の持ち主でもありました。本書では独特の語り口で、ユーモアを交えながら友人知人を追憶し、名立たる作家たちの日常的な側面を見せてくれるので、新しい発見があることでしょう。
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作家論 改版 新装版
三島由紀夫(著)
衝撃的な自決直前に出版された一冊です。特に紙幅が割かれている林房雄論を除き、ほかは文学全集の解説として書かれたもので、森鷗外から円地文子まで三島由紀夫が敬愛してやまない日本の近現代作家を扱っています。気に入らぬ作家の批評は引き受けないという一徹な方針で、各作家の魅力に迫る観察眼と筆力は流石のひと言に尽きます。
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フランス文学史における神秘思想と隠秘学、19世紀初頭の小ロマン派、19世紀末の象徴詩派の過激分子という、正統的な文学史の潮流から外れるであろう狂気と絶望の作家を、奇才・澁澤龍彦が独自の観点で語った意欲的な作家論です。翻訳家、美術・文芸評論家、悪魔学者、小説家と多彩な顔を持つ著者の審美眼が光ります。
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