地震、台風、ウイルス・・・災害に立ち向かえ！勇気と希望の災害小説

地震や津波、富士山噴火など、多くの災害小説を書いている著者の「災害三部作」のうちの一作で、首都圏を超大型台風が直撃したらどうなるかをリアルに追究した物語です。シミュレーションの趣もあり、こんな事態が起きたときに実際どうすべきか、主人公の家族とともに考えながら読むことができます。

九州南部の霧島火山帯で大噴火が発生し、その影響でさまざまな災厄が世界中を襲います。国、自衛隊、火山学者など多くの立場・視点でこの大災害に立ち向かう姿を描きます。緻密な取材をもとにした圧倒的な描写は、真に迫る内容でリアリティ抜群。火山のことがよくわかり、その怖さが痛感できる小説です。

架空の惑星を舞台に、大地震により壊滅的な被害を受けた国家の再生を官僚のセイオを中心に描いた群像劇、全3巻のうち第1巻です。さまざまな思惑が絡み合うなか、それぞれの立場で復興を強力に推進していきます。キャラクターもよく、人間ドラマも読み応えがあり、抜群のストーリーテリングが光る傑作です。

月面探査中に宇宙飛行士が謎の死を遂げ、ウイルスへの感染が疑われるなかで必死に地球への帰還を試みるも、千葉県船橋市に墜落し・・・。スリリングな宇宙描写から始まるパンデミック小説です。アガサ・クリスティーを冠した賞を獲った小説ですがミステリー要素はほぼなく、そのぶんエンタメに振ったスケールの大きな娯楽作です。

2ヵ月先に小惑星が熊本県に落下、それにより人類が滅亡してしまうことが必至状態のなか、殺人事件に遭遇してしまった2人の女性が事件の謎を追います。終末感が漂う世界観ながら、爽やかさまで感じてしまう不思議な読後感が味わえます。2022年当時、最年少でミステリー作家の登竜門となる江戸川乱歩賞を受賞しました。