華やかで切なくて複雑で・・・百花繚乱、四姉妹の物語

オルコットの半自叙伝的な小説。19世紀後半のアメリカを舞台に、四人姉妹の成長が描かれます。南北戦争に従軍した父の帰りを待つ、メグ、ジョー、ベス、エイミーらマーチ家の娘たちは、やさしくも厳しい母に導かれ、家族や隣人との交流を通じ、自らの生き方を模索します。姉妹小説の金字塔とも呼べる名作です。

昭和10年代、日中戦争前後のきなくさい世相のなか、没落しつつある上流階級の姉妹を描いた文豪・谷崎潤一郎の代表作の一つです。大阪船場の名家・蒔岡家の四人の娘、鶴子、幸子、雪子、妙子らの人生が、柔らかな上方言葉で流麗に綴られています。当時の風俗や文化、巧みな人物描写にうならされるはずです。

昭和50年代に放送されたTVドラマの文庫版です。性格の異なる四人姉妹が年老いた父の浮気の対応に追われるうちに、各々が抱える問題があらわになります。姉妹の軽妙なやりとりに、肉親ゆえの情愛や嫉妬、苦しみや寂しさが描かれています。阿修羅像のようにいろいろな顔を持つ人間の姿、家族のあり方を追究した向田邦子の真骨頂といえる力作です。

鎌倉で暮らす三姉妹が、新たに迎えた異母妹と心を通わせるハートウォーミングストーリー。家庭を壊した父の忘れ形見の末妹を受け入れた姉たちは、穏やかな生活を送りつつ、互いが抱える葛藤や不安、悲しみに触れることになります。やさしく寄り添いながら、姉妹が絆を育み、少しずつ家族になってゆく過程に和まされます。

四姉妹のもとに父親が連れてきた再婚相手は・・・という異色設定のホームドラマです。個性的な心理描写とドタバタ会話劇を交え、姉妹各々の視点で物語は進みます。誰もが不満やわだかまりがあり、家族ゆえの面倒さもある。でも、互いを尊重し生活をともにすることで、家族が再生する。相手を思いやる大切さを感じる小説です。