まぶしい思い出がよみがえる。女性作家による青春恋愛小説

吉本ばななの初期の名作として外せないひと夏の物語。病弱ながらも気が強い美少女・つぐみ、帰省してきた従姉妹・まりあ、犬の散歩中に2人と出会った恭一。この3人を中心とした物語です。つぐみの言動は特に若さが全面に出ていて、恋に対してはもちろん、さまざまなことに対して感性が鋭く、10代のころの感覚を呼び起こされることでしょう。

17歳の女子高生を主人公とした8つの物語を収録した短編集です。まさに青春まっただなかの17歳の恋愛の切なさ、甘さ、焦りや背伸びなど、さまざまな感情を思い出すことができるでしょう。17歳には17歳なりのリアルがあって、それを追求する彼女たちの姿がまぶしく感じられるはずです。

モテモテの女子高生の愛が恋をしたのは、目立たず地味な哀しい目をした男子高生のたとえ。愛だけが想いを寄せているはずのたとえには、恋人がいました。恋路を邪魔するものは容赦なく叩き潰していく愛に、滅茶苦茶さと若さゆえのひたむきさが感じられて、ここまで自由気ままに行動できたら！と羨ましくなるかもしれません。

海辺の高校に通う16歳の村田みのりと木島悟。美術の時間に偶然、悟はみのりを描くことになりますが、そのときに受けた鮮烈な印象からいつもみのりの表情を追うように。みのりは描かれることによって、悟は描くことによってお互いを理解し、徐々に距離を縮めていきます。2人以外の登場人物もユニークで、物語に華を添えています。

高校生の僕は病院で共病文庫という名の文庫本を拾います。それはクラスメイトで人気者の山内桜良が書いていた秘密の日記帳。そこには膵臓の病気で命がいくばくかもないことが記されていました。偶然から2人は共に行動し、惹かれ合い、桜良の寿命が迫るなかで青天の霹靂ともいうべき事態が！読後、タイトルに感慨を覚えるようになっているはずです。