- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
紙の本
蛮国の弁護のなかに新しい「武士道」の芽を見る
2010/01/20 23:22
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争中、この本が軍人たちの心の支えになったと聞いた。右翼的な本だと思って読んでいなかったが、よくよく見たら著者はキリスト者として有名な新渡戸稲造だ。新渡戸は平和主義であるクエーカー教徒だ。右翼思想とは正反対に位置する新渡戸がなぜ? と思って読むことにした。
言葉づかいが難しく読みにくい。が、それでも新渡戸の伝えたかった一端は見えてきた。
この本は日清戦争直後に英語で書かれた。東洋の野蛮な国と思われていた日本にも西洋に負けぬ倫理や道徳の規範があり、だからこそ急速な発展を遂げることができたのだ、と、欧米の人々に示すために書かれた。欧米のさまざまな哲学や思想と日本の武士の倫理観や孔孟の思想などを比較することで、日本や中国の文化や精神の高さを示すと同時に、滅びつつある過去の文化や精神を惜しみ懐かしむ内容になっている。
経済学者の森嶋通雄は、武士道のかわりに「儒教」をおき、それが日本の発展の原動力になったと説いた。本来、中央集権体制に合致した日本的儒教から自由主義に適合する中国的儒教に移行するべきだったのに、戦後の「疑似民主教育」によって儒教精神を根こそぎにされ、その教育で育った世代が90年代に国の中心を担うようになって日本はダメになったと主張した。「儒教」を「武士道」に置き換えればそのまま新渡戸の論と重なりそうだ。
だとしたら、中国的儒教に見合う、現代的な武士道とはどんな形になり得るのだろう? それはたぶん、欧米スタイルとはちがう、日本的なボランティア(国際貢献など)のなかに見えてくるような気がする。
紙の本
現代日本人が忘れかけているもの
2001/02/03 06:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:匿名の読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は現代日本人が忘れかけているもの、特に精神的な美徳について啓蒙的に書かれている。
古臭い思想だと思われる方もあるかも知れあいが、われわれ日本人のこころの奥底には、本書で述べられているような意識が存在するということを忘れてはならないと思う。
それはともかくとしても、紙幣の肖像になっている人物なので、その人の思想についてわれわれは少しくらいの知識があってもよいのではないだろうか。
紙の本
現代日本の恩人
2017/04/15 04:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読人不知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治時代、主に英語圏の人々に向けて書かれた本の日本語訳。著者は旧五千円札の人。
西欧列強に、極東の島国は決して蛮族の土地ではない、と日本人の道徳観の中でキリスト教的な思想に通ずる点や、日本の文芸作品と西欧の古典との類似点などを挙げ、時には、かなりこじつけめいたことをしてまで、懸命に弁護した本。
日本が植民地化を免れたのは、本書の力もあったのではないかと思った。
逆輸入された視点で語られる日本人の美点は、現代でも残っている部分もあれば、喪われてしまった部分もある。
かつて美点とされたことが、現代では悪しき因習の根となってしまったものもある。
武士道は、武士階級のみならず、広く庶民の心に根付く人の道。宗教に依らず、平和と秩序を築く礎。
今に伝わる良き花を咲かせる根を枯らさないように、本書で再確認して、大切に守り育てたいと思う。
書かれた時代が古く、難しい表現が多いので、次の版では現代語の解説を付記すれば、若い人にも読みやすくなると思われる。