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近代中国史への思いをかきたてられて
2005/06/07 00:54
16人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る
時に清帝国の末期、出世欲と権力欲に取り付かれた儒教官僚と宦官の退廃政治。
自らの手を血に汚す事で最高独裁権力者にのし上がった西太后。
彼女によって幼時より名ばかりの皇帝に擁立されながら ついに康有為を中心とする革新官僚とともに政治維新に立ち上がったものの あえなくも失敗、幽閉の身となった光緒帝。
光緒帝とともに維新の夢を追い捕らわれた皇帝最愛の側室・美貌の珍妃。
義和団事件を口実に牙をむいて北京に攻め入る帝国主義列強8ヶ国連合。
西太后は青衣に身をやつし、囚われの光緒帝、珍妃、側近ともども北京城脱出を決意する。
西太后の命に反抗する珍妃。“皇帝陛下は北京にとどまり洋鬼子と和議にあたられるべきでありましょう”
西太后は激怒する“即刻そこなる井戸にぶち込むが良い!”
これが歴史の定説であります。
浅田次郎氏はこの北京陥落直前の西太后の脱出、その混乱の中での珍妃の死の“謎”を追って1つのメルヘンを紡ぎます。
英の提督、独の大佐、露の銀行総裁、日の大学教授によって正義の名の下に“珍妃殺害の真犯人捜し”が行われる。
宦官、袁世凱、皇帝の愛を競った珍妃の実姉・瑾妃、廃太子溥儁(プーチン)それぞれが語った真実の一面。
しかし尋問官4名の取り合わせに最後のどんでん返し・光緒帝と珍妃の魂の叫びが仕組まれています。
死に行く珍妃、愛する皇帝への最後の語りかけ。
“あなたを愛しています、あなたは天子だからね、あなたは世界の天と地を支える天子だからね、自分の富のために他人のものを奪おうとする人間など一人もいない仁の教えに満ちた世界で一番豊かなこの国のあなたは天子だからね“
私は“甘ちゃん”かも知れませんが、“蒼穹の昴”同様、氏の“メルヘン”によって近代の中国史、日本史への思いをかきたてられ改めて読み返す機会を与えて貰いました。
日本が誇り高き中国人民の歴史に残したぬぐい去れぬ傷跡。
かって周恩来は万感の思いで賠償を放棄した事でしょう。
賠償や詫びを求めるよりも“歴史を忘れるな”と執拗に主張する中国。
何故に帝国列強は中国に対しかくも破廉恥な強姦行為をなしえたか?
何故に中国はそれを許してしまったのか?
昨今小泉首相の靖国参拝に対する中国側の抗議が盛んです。
中国にとって靖国問題は一つの象徴です。
教科書問題、都知事の挑発的言辞。
オピニオンリーダー達は日本人の“自虐史観”を改めよと申しますが、自己の利益のために血に飢えた人間の犯した愚かな歴史の記憶を抹消せよと言うのでしょうか。
結構読んでいます
2008/09/21 09:43
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
結構読んでいます。浅田さんの作品。
この「珍妃の井戸」は「蒼穹の昴」の続編。最近の言葉で言うと、スピンオフ作品です。中国の近代史は、ロマンとともに悲劇の色彩が濃く、読み進むと何とも言えない感覚になります。
この小説では、清朝第十一代皇帝の側室で、美女の誉れ高い珍妃の悲劇的な最期を描いています。
史実はともかくとして、あまりに悲劇的な結末。
この清朝の終末期を描いた小説の登場人物は、すべて悲しみに包まれている。国家の動乱と、その動乱の中で自分の悲劇を運命として受け入れる人々のコントラストが感動を呼ぶのでしょう。
平和な時代に生まれてよかった・・・
http://blog.livedoor.jp/c12484000/
真実は耳にいたい
2011/10/18 06:29
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:renogoo - この投稿者のレビュー一覧を見る
蒼穹の昴の続編。
蒼穹の昴で主人公だった、春児、文秀、西太后などは登場せず、脇役だった人物(光緒帝、珍妃、アメリカ人のジャーナリスト、蘭蘭など)がでてきます。
義和団の乱の最中、井戸になげすてられて殺された珍妃。
国際問題にも発展しかねないこの事件を調べるべく、イギリス、日本、ロシア、ドイツの外交官が清国関係者をインタビューしていきます。
一人一人話しをきくうちに、紫禁城の裏側の話がみえてきますが、一体だれの話が本当なのか。
最後に列強の外交官が話しを聞く相手は幽閉されている光緒帝。
光緒帝のはなしがとても身にしみます。
真実知りたいと連呼する外交官たち、真実を知ってどうするのでしょう。
構成もよく、大変よくかけていると思った。
蒼穹の昴をよんだら、ぜひこれも。
皇帝の寵妃の悲しい死
2019/02/13 23:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:扇町みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
光緒帝の妃で、井戸に落とされて死んだ女性がいる。いつの頃知ったかは忘れてしまったけど、小学生の頃から西太后に興味があったので、その関連で知ったのでしょう。
本書は『蒼穹の昴』(浅田次郎/講談社文庫)の続編…というかサイドストーリーのような位置づけになっています。文庫本で言うと、「蒼穹の昴4.5」というようなお話。
『蒼穹の昴』に登場した人物や、登場はしなかったけれど描かれたストーリーの外側で生きていた人物が、それぞれの立場から珍妃の死について語ります。
各章それぞれの人物による語りがメインなので、好き嫌いもあるかもしれませんが、『蒼穹の昴』の世界にどっぷり浸かった方なら面白く読めることでしょう。
特に、春児と蘭琴に胸キュンだった方に強くオススメします。
珍妃の死の真相に迫るごとに、人の浅ましさや弱さがむき出しになり、しかしその中に儚くも確かに残った愛が胸を打ちました。
本書を読まずに『中原の虹』に進んでも大勢に影響は無いかもしれませんが、『蒼穹の昴』の余韻を感じられる1冊なので、ぜひ読んでみて下さい。
浅田次郎氏の中国の清朝シリーズ
2023/05/25 09:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
清朝末期の混乱期に起きたミステリー。
皇帝の寵愛を受けていた珍妃が井戸の中で死亡しているのが発見される。
様々な人から証言を集めるが、皆それぞれ話が食い違う。
話を聞き集めながら、当時の混乱状態が浮かび上がってくる。
珍妃の死を悼んであげて欲しい、と思いました。
何故、命を落としたのか?
2018/03/10 12:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポッター - この投稿者のレビュー一覧を見る
蒼穹の昴に続いて読みました。浅田作品の世界にはまってます。
誰が命を落としたのかではなく、何故命を落とさねばならなかったのか?なんですね。
一般的に知られている歴史感、人物像に挑んでおり、今後も読み進めたい。
知らない人が読んだら誤解するほど自虐的!
2019/01/28 01:39
4人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アスカ46 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとなく想像していた通りの小説だった。
オチですが、こんなに綺麗な中国人がいるわけがないでしょう。
嘘ついてなんぼの世界観が中華世界ですよ?
騙される方が悪い、と言うのが中国人の考え方。
しかも当事者の四人が何も気付かないとか。
おかしすぎる。
突っ込みどころ満載。
一応言っておきますが、無人となった紫禁城からの各国の略奪を止めたのは日本軍です。
なのに、なんで日本軍まで略奪してんの?
浅田次郎、大丈夫か?
完璧な自虐史観に犯されているとしか思えない。
これ、歴史をちゃんと知らない人がが読んだら「日本軍はなんて酷い事をしたんだ!?」ってなります。
そこ、注意!
今現在、紫禁城に財宝が残っているのは日本軍が各国の略奪行為を止めて、しかも紫禁城を警護したからです。
じゃなかったら、紫禁城そのものもなくなっています。
これ読んで「日本は中国に酷い事をした」だなんて騙されないでください!
故に☆一点です!
腹立たしい。
悪い予感がした時点で、買わなきゃよかった。
勿論、読まなきゃよかったと後悔。
中国に幻想持ちすぎです!
浅田作品色々読んでいますが、これは流石に閉口した。