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投稿者:大樹パパ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今となっては神話の世界は昔の話。もともとはとりとめの無かった「話」が人の足によって運ばれ、言った先々で様々な形に開花して、土着の神話になった。遥かな人類の誕生に端を発したDNAの中に埋め込まれていたと言う考え方。よっぽど宇宙人説なんかより説得力があると思います。大きいようで意外と小さい、そしてその拡散するスピードも、現代人が考えるよりも遥かに速かったということなんでしょうね。新しい学説がでてくるたびに、人類の祖先の姿が徐々に見えてくるようで興味深いです。
世界神話という大風呂敷がいい
2018/02/06 20:55
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投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
関心のある分野だったので、それなりに面白く読む。方言周圏論のように、時間差のある2パターンの神話群が人類拡散のパターンと一致して広がっているというのはいい。ただ、生物学的な証拠と神話群のパターンとの一致がまだ弱いのでは。あと、ネーミングが、直接関係ない「ゴンドワナ」「ローレンシア」になってるのはどうなのか。個人的には、神話群の要素が、特定の歴史的事実や人類の生物学的性質から来るものなのかが知りたい。
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界各地によく似た話の流れの神話が見られるという話は有名だがそれはなぜなのかを人類の拡散の歴史と照らし合わせて描いた本
世界中に似たような神話があるのはなぜ?
2022/01/06 19:55
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投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界中に似たような神話があるのはなぜかなぁと思っていたので、本書を手に取った。神話には、古いタイプのゴンドワナ型というものと、新しいタイプのローラシア型があるらしい。面白い話だが、ゴンドワナ型とローラシア型は、そんなに簡単に分類できるのか、素人ながらであるが、少し疑問に思った。例えば、ゴンドワナ型を内包したローラシア型は、ローラシア型なのか??しかし、古い神話と新しい神話の分布を見て、人類の動きを推測し、昨今、進められているDNA研究と合わせて考えるという方法が、興味深いのは間違いない。こうした研究がどんどん進んで、今後ますます色んなことがわかってくるのではないか。
「ゴンドアナ型」と「ローラシア型」という神話の分類自体は分かったが。。。
2021/08/07 22:28
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投稿者:しょひょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
かねてから日本神話もギリシャ神話も好きだったので、書名に惹かれて購入・通読。
世界神話学説とは、世界の神話を以下の2つに大別して考えるもの。
1.ゴンドアナ型:ホモサピエンスがアフリカで最初に誕生したときに持っていた神話
2.ローランド型:すでに地球上の大部分の地域にホモサピエンスが移住した後、西アジアの文明圏を中心に生み出された神話。
本書は遺伝子研究による人類の世界への広がりを見ながら上記両神話の異同、日本神話などを絡めて解説してくれる。
それなりに楽しめたが、ローランド型=西洋主義(進歩主義・自然を支配の対象としてとらえる)とし、ゴンドアナ型へのシンパシーを語るのはややステレオタイプで結論ありきな議論のようにも感じた。
全体としては、まあまあ、といったところ。
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著者の後藤明(1954年~)は、南山大学教授の文化人類学者、考古学者。
本書は、これまで、世界中の神話の類似点から様々な文化の伝播や系譜論が唱えられてきた中で、近年注目されるようになった、世界の神話の系統は大きく二つの流れに分けられるという「世界神話学説」について、世界各地の神話を比較しながら解説するとともに、その中で日本の神話がどのように位置付けられるのかを分析したものである。
内容は概ね以下である。
◆世界神話学説とは、米国のマイケル・ヴィツェルが唱える、世界の神話は大きく「古層ゴンドワナ型神話」と「新層ローラシア型神話」の2つのグループに分けられ、それは、遺伝学、言語学或いは考古学による人類進化と移動に関する近年の成果と大局的に一致するというもの。
◆ゴンドワナ神話群は、アフリカで誕生したホモ・サピエンスが持っていたもので、出アフリカによって、南インドからオーストラリアへ渡った集団が保持する古層の神話群で、「人類の原型的な思考」ともいえる。ローラシア神話群と異なり、世界は既に存在しているものとして語られ、また、一つ一つの物語が関連して発展していくという形をとらず、個々の神話の間に関連性が見出せないものが多い。
◆ローラシア神話群は、既に地球上の大部分の地域にホモ・サピエンスが移住した後に、西アジアの文明圏を中核として生み出され、様々な集団の移動によって各地に伝播した神話群で、「人類の最古の物語」ともいえ、ヨーロッパ、シベリア、インド、東アジア、アメリカ大陸に広がる。世界の無からの創造を語り、最初の神、特に男女神の誕生、更には天地の分離を語り、大地の形成と秩序化、それにともなう光の出現、火や聖なる飲み物の獲得、原初の竜退治などのテーマが連なり、その後に続く、神々の世代と闘争、半神半人の時代、人類の出現、更には、後に貴族の血脈の起源へとつながり、最後には、しばしば現世の暴力的な破壊と新しい世界の再生が語られる。起承転結や因果関係をもった本来の意味での物語性が強く、我々にも理解が容易である。
◆日本神話は、ゲルマン、北アジア、朝鮮、インド、ポリネシアなどの神話と類似性があり、大局的には、ユーラシアに広く分布するローラシア型神話群に属している。ただ、日本列島はホモ・サピエンスが東南アジアから北方アジア、アメリカ大陸へと移住する経路にもあたっていたため、ゴンドワナ型神話の痕跡もあり、それにより、日本神話の複雑さ・多様性が生まれた。
◆ゴンドワナ型神話は、「物語」という営みが生まれる以前に存在していた「思考」であり、そもそも人間と動植物や自然現象を区別しない時代、人間もその一員として森羅万象や動物・木々や花々とともにささやき合っていた時代の「神話」である。即ち、進化思想であり自民族中心主義につながりかねない危険性を孕んだローラシア型神話とは異なり、ゴンドワナ型神話は、対等の関係或いは互酬制、調和と共存こそが世界の神秘であり、人類を含む地球上の生きとし生けるものの叡智であることを教えてくれる。
現在世界各地には、人種も民族も文化も言語も異なる多数の人々が存在するが、原型的な思考、最古の物語を潜在的に��共有しているということには、大いなるロマンを感じるし、争いの絶えない今日の世界においても、一筋の希望に繋がると思いたいものである。
(2017年12月了)
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とにかく扱ってる話題がおもしろい。詳しい話を聞いたことがない。でも、章立てやエピソードの整理には改善の余地があるような...
世界各地で伝わる神話の共通性は、大航海時代以降に伝わった部分もあるにせよ、それでは説明できない、つまり、人類の移動/移住の歴史で説明される部分が少なくない。
読み終わっても整理できていないけど、例えばこんなモチーフが広く見られる。
釣り針/槍をなくすと動物の世界に行って動物の長と仲良くなり、帰ってきて幸せに暮らす。浦島太郎、海彦山彦。
脱皮できなくなったから人間は死ぬ。
世界は無か水か巨人か卵の中から出てくる。
大抵、太陽と月は男女で、星は動物。何かと追いかけっこをしている。
...その他いろいろ
多くの神話は、
偉い人あるいは神を崇めさせるようなタイプ(ローラシア)
と、
自然の中にいる精霊とかとのやりとりが断片的に描かれるタイプ(ゴンドワナ)
にざくっと分類でき、大まかに、前者は農業革命以降(=10kyaくらい以降。余剰資源の備蓄開始、統治者,聖職者の誕生)、後者はもっと昔(言語や抽象概念の成立以降)に成立したと考えられる。
今成立してる制度やモラルの硬直は、こういう観点を入れれば組みなおすことができるかも。
"昔から"という正統性のおおもと(神話)は、人間共通であって国特有ではなかったり、社会の統治の開始以降という歴史以上のものは持っていなかったり。
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アフリカを出た私たちは共通の記憶を携えながら世界各地に散っていった。ケルト神話に浦島太郎と共通のモチーフがあるなんて。
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仏教、キリスト教、オリエント文明ときたので、ついに世界の神話まで遡及。自然人類学にもとづいて、神話をローラシア型とそれより原初的なゴンドワナ型に区分し、それぞれに特色ある類型を分析する内容ですが、物語としての神話として構成されるローラシア型より、ゴンドワナ型に神話的思考を見いだすところに、著者に対しる好感を持ってしまいます。
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各国・各地域の神話の類似性を人類の進出と照らし合わせて提言している。
過去に読んだ本では日本神話は南洋系と類似性があるという話を神話の中身のみに着目していたが、遺伝子研究などで人類がアフリカを出発してからの軌跡に沿って神話を分析していた感じ。
ゴンドワナ型とローラシア型の二種類に分類することが出来るという。後者は支配者層の正統性を表すためのもの・支配機構。前者は人間の営み・自然との調和。
ローラシア型は支配に利用され得るというのが面白かった。
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神話には大きく分けて、ゴンドワナ型とローラシア型があること。
地理的に離れているはずなのに、神話に共通性があり、そこから人類移動の系譜を類推できること。
専門外の私が読んでもわかりやすく、かつエキサイティングだった。
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世界の神話には、大きく二つの系統があるらしい。
『ローラシア神話』、
エジプト、メソポタミア、ギリシャ、インドのアーリア系神話
中国(日本の古事記や日本書紀の神話も)ゲルマンや北欧の神話
ストーリー性が強く、世界を無から創造する。
我々が、今神話だとおもっているもの。
現代のゲームやハリウッド映画にまで脈々と続いている。
『ゴンドワナ神話』、
それより古層の神話。
アフリカの中南部、サン、コイサン、インドの非アーリア系(ドラヴィダ)
アンダマン諸島、マレー半島のネグリト集団、
メラネシア、オーストラリア(アボリジニ)
アイヌ神話や琉球の神話
最初から世界が存在する。
天体や風雨などの自然現象、動植物と一緒に暮らしている。
おもしろいことに、遺伝子の研究からわかる、人類の分布に重なる。DNAの最新科学が神話学を立証する。(その逆も)
『「ゴンドワナ型神話とは、物語化することが至難な、というか、そもそも「物語」という営みが成立する以前に存在していたホモ・サピエンスの原型的な思考である。ローラシア型神話は神がいかに世界と人間を創造したのか、いかに人間はその生存域を拡大したのか、また人間の間にいかにして不平等が生まれていったのかを語る神話である。一方、ゴンドワナ型神話は、そもそも人間と、動植物や自然現象を区別しない時代、人間もその一員として森羅万象や動物、木々や花々とともにささやき合っていた時代の神話である。言いかえればそれは文字が要らなかった時代の神話とも言える。少々勇み足をして言えば、それは、自民族中心主義や征服者の思想には決して導かれることのない神話、すなわち現代の世界にもっとも必要とされている思考方法とは言えないだろうか。」』
『「一方、(ゴンドワナ型神話の)「張り構造」では、すべての要素が互いに互いを支え合っている、そしてどこかが欠落すれば全体のバランスが崩れる。籠を解いていってもどこにも世界の神秘などは存在しない。なぜなら、その籠そのものが世界だからだ。人間も動物も風や天体などの森羅万象も、互いが互いを頼りあい、互いが互いを参照する。そこにはどれがより大事ということはない。上も下もない。だから支配も被支配も、権力も搾取も無縁である。」
』
なぜか南方熊楠のマンダラを思い出す。
『「ローラシア型神話には無からの創造という特徴があった。当然、創造するのは神であり、その神は絶対的な存在である。一方ゴンドワナ型神話では、神的な存在もしばしば祖先の精霊として登場するとしても、その役割はきわめて限定的であり、もともとあった要素を秩序立てるような役割にすぎない。またこの「神」は、仕事が終われば、どこかに去って行ってしまう。そして後世の人々は、風や木のささやき、あるいは儀式の太鼓や笛の音などでその声を思い出す。祖先の精霊は別に人間たちを支配するわけではない。また人間たちの役割も、常にそれを語り、思い出すことにある。」』
琉球諸島の来訪神、東北のなまはげたち、アイヌ文化の熊祭りが頭に浮かぶ。
『「カラハリのサンもアボリジニも自分たちは旅をしている、と考えるという。そこには季節的に空間を移動しているという意味だけではなく、時間を旅しているという意味も含まれている。世界は常に流動している。川も海も、雲も風も、太陽も星も。その流れに逆らわずに生きていく。もともと人間も動物も太陽も風も一緒に暮らしていたのだから。」
』
すばらしい!
でもこういう考え方は、こどもは自然にやってる。
絵本の中で、人間も動物も、木もお星さんも風も、みんなふつうに、お互いしゃべってる。あたりまえのように。
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とりとめない事例の紹介が延々と続くので、オニャンコポンというパワーワードだけが頭に残った。
Wikipediaを読む限り、世界神話学は4つの神話を想定している模様。
- パン・ ガイア神話
- 出アフリカ神話
- ゴンドワナ神話
- ローラシア神話
本書では最後の二つしか紹介しておらず、その辺りも恣意性を感じた。
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主にローレシア型とゴンドワナ型の二種に神話を分けて、人類の移動の歴史と、神話同士と人類の遺伝的形質を合わせて関係性を見て行き、繋がりがどこにあるのかを認識していく内容。そして神話から読み取れる教訓、人類の歴史にあったことだと予想できる事柄を紐解いていく。
ゴンドワナ型神話は「話の森」ではあるという表現がとても好きでした。
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神話学者のマイケル・ヴィツェルによって提唱された「世界神話学説」にもとづいて、世界各地の神話を比較し、そのつながりを論じた本です。
近年の遺伝学の進展によって、アフリカに誕生したホモ・サピエンスの移動の諸相が解明されてきました。ヴィツェルは、こうした研究の成果に依拠して、地球上のさまざまな神話が、古いタイプの「ゴンドワナ型」と新しいタイプの「ローラシア型」の二つのグループに分類することができると主張します。本書では、そうしたヴィツェルの主張の裏づけとなる世界各地の神話を紹介するとともに、著者自身の研究も加味しつつ、とくに日本神話の源流についても議論をおこなっています。
本書で紹介されているヴィツェルの議論は、遺伝学の成果をもとに、地球規模の神話の起源と変遷にかんする研究というもので、そのスケールの大きさには目をみはらされます。ただ、神話そのものの分析については、印象論的なレヴェルでの類似が論じられているにすぎないという印象も受けました。