読み終えて不思議な感じがした、科学の著書
2021/06/02 11:42
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はあくまで理学博士で、科学の著書なのですが、死生観を科学ではなく、哲学で説いている感がヒシヒシ伝わる、不思議な1冊です。
読み終えて、「これは不思議な科学の著書だ」と思ってしまいました。文章のほとんどは科学的事実を紹介しているのに、残りわずかの哲学の文章のインパクトが強かったです。
面白い1冊かもしれません。
学生時代にこんな先生に教えてもらいたかった
2022/08/31 21:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mufumufu - この投稿者のレビュー一覧を見る
学生時代ー生物といえば、暗記するものと捉えてて苦手意識がありました。色々な生物の名前をただただ覚えるといった感じです。
本書では、生物のしくみというか成り立ちを詳しくユーモアを交えて書いてあるのであっという間に読み終わりました。
生物って根本から知ると楽しいんだと生も死も受け止められる気持ちになりました。
読みやすく、面白く、勉強になる
2022/07/31 23:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
生物学の入門書と評される通り、非常に分かりやすい言葉で、生物の誕生から、進化していくメカニズムが解説されています。『生物と死』については、感情論だけでなく、学術的なトーンで掘り下げて解説されており、少し理解が深まったように感じます。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の殆どの細胞も、数ヶ月で全部入れ替わるんだね。
ハダカデバネズミの話が良かったな。
日本の少子化はなんとかできるかな、もう無理かな。
生物は、生と死を繰り返し進化していく。
2022/01/07 09:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おじゃもんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
生物はなぜ死ぬのか?。
と言うよりも、人は死を怖がり嫌うのか。
と言う部分が核の本かも。
筆者は、生物学が専門なのだが。
天文学者にもなりたかったそうな。
そこら辺りが、この本の中にも書かれていて面白い部分か。
生物学と天文学、一見別の分野に見えるが共通の部分も多い。
本書では、星の誕生から生物の誕生と進化。
この「生き物のタネ」部分が、生物学と天文学の通じている部分。
それが進んだウイルスから、微生物へ小型の生物から大型の生物へ。
進化の中で、過去5回の大量絶滅時代を経て現在の地球が。
古生代の、オルドビス紀・デボン紀では生物の80パーセント以上が絶滅し。
古生代ベルム紀では、生物全体の95パーセントが絶滅し。
中生代三畳紀では、火山の大規模噴火などで75パーセントが絶滅し。
中生代の白亜紀では、地上を謳歌していた恐竜が絶滅し。
それでも時を経て、動植物は形を変えて進化増殖し続ける。
まさに、天文学と生物学の話が前半部分。
後半は、多種多様の生物について書かれていて。
専門用語も多く、難解な部分も多かったのですが。
生物の誕生から変化について。
そして、生物はどんな状況で死に至るのか。
生き物の寿命と、成長途中で食べられる死に方と。
他の生物を食べて生きるのと、他の生物に食べられて糧になるのと。
人は感情があるので、死にたく無い思いがあるのと。
死は終りではなく、別の生き物達の生に繋がる事と。
ラストAIにも触れられていて、生物は生き死によって変化と洗濯をしていくが。
不死のAIは、人とどう関係を繋いで行くのでしょうか。
で、終わられていました。
色々別の本を読んで、また読み直したい一冊ですね。
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
55歳を過ぎると、一気にがんのリスクが高まるとか、
この100年で日本人の寿命が倍に延びたとか、
下手したらあと100年で人類が滅びるとか。
死ななくてはいけない生物
2021/08/22 08:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
生物は死ぬために生まれてくるのは、死が生命の連続性を維持する原動力となるからだと記す。遺伝子の変化が生物の多様性を生みだし、その多様性があるからこそ、死や絶滅によって生物は進化してきた。人類の進化は、環境を都合の良いように変えることになされ、それに伴い絶滅する生物がいることは、必然ともいえる。その未来として、ヒトは絶滅するのかもしれない。個人としての人を思えば、有限の命を持つからこそ、生きる価値を共有できる。そして「死」の恐怖は、共感で繋がり、常に幸福感を与えてくれたヒトとの絆を喪失する恐怖なのだ、と。
投稿元:
レビューを見る
小林武彦(1963年~)氏は、九大大学院医学系研究科博士課程修了、基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て、東大定量生命科学研究所教授。前日本遺伝学会会長。
本書は、生きている我々にとっての根源的な問いである「なぜ、私たちは死ななければならないのか?」について、生物学的視点から考察したもので、著者は、その謎を解くカギは「進化が生物を作った」という事実にあるとする。
本書の構成および概要は以下の通りである。
第1章:そもそも生物はなぜ誕生したのか・・・生物を定義づける「自己複製(自身のコピー、子孫を作ること)」の仕組み。これによって、「ターンオーバー(生まれ変わり)」が可能となった。
第2章:そもそも生物はなぜ絶滅するのか・・・生物の進化、多様化の仕組み。変化(変異)と選択(絶滅・死)の繰り返しを経て、我々を含む現存の生き物が結果的に誕生し、存在している。即ち、「進化が生き物を作った」のである。
第3章:そもそも生物はどのように死ぬのか・・・(老化しない)細菌的死に方、単細胞真核生物的死に方、(生殖で死ぬ)昆虫的死に方、(大きさで寿命が決まる)ネズミ的死に方、(超長寿の)ハダカデバネズミ的死に方、大型の動物の死に方、等、生き物によって違いはあるものの、それぞれの死に方は共通して、生き残るために進化していく過程で「選択された」ものである。
第4章:そもそもヒトはどのように死ぬのか・・・老化の仕組み。細胞分裂に伴うゲノムの傷の蓄積(がん化)が、それを抑えるために進化で獲得した免疫機構や細胞の老化の仕組みの限界を超えると、老化を主因とする病気との闘いが始まることになるが、その限界年齢(進化で獲得した、ヒトの想定年齢)は55歳くらいであり、ヒトはその想定を超えて長生きになってしまった。
第5章:そもそも生物はなぜ死ぬのか・・・上述の進化(変化と選択)の仕組みの通り、生物学的に見れば、子供の方が親よりも多様性があり、生き残る可能性が高い存在である。よって、ヒトにとっても、全生物にとっても、生れて来たものは、より進化した次の世代に命のたすきを委ねて、利他的に死ななければならない。
「我々は、自分たちよりも進化・多様化した次世代のために、死ななければならない」という結論は極めてロジカルであり、目から鱗である。それによって、この世界から自分がいなくなることへの恐怖が即座に薄れるわけではないが、死の意味、延いては生の意味を大局的に考えるきっかけになる一冊と思う。
(2021年4月了)
投稿元:
レビューを見る
目次
はじめに
第1章 そもそも生物はなぜ誕生したのか
天文学者になればよかった
「この世の始まり」を見る方法
生き物の「タネ」の誕生
自己を複製し変革する細長い分子
そして「生のスパイラル」が奇跡を呼んだ
無生物と生物の間には·····
早く生き物になりたい!
生物の必須アイテム、リボソーム
生物の誕生は地球限定イベントか?
宇宙人はいない!?
「奇跡の星」の歩き方
地球の美しさのひみつ
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するのか
「変化と選択」
DNAとRNA、似た者同士が存在する理由
メジャーチェンジからマイナーチェンジの時代へ
最後のメジャーチェンジ その1-真核細胞の出現
最後のメジャーチェンジ その2 -多細胞生物の出現
「独占」から「共存」へ、そして「量」から「質」へ
現在の地球は、過去最大の大量絶滅時代
そもそも多様性はなぜ重要か
大量絶滅の後に起こること
絶滅による新たなステージの幕開け
ヒトのご先祖は果物好きなネズミ?
絶滅によって支えられているもの
第3章 そもそも生物はどのように死ぬのか
…
第4章 そもそもヒトはどのように死ぬのか
…
第5章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
…
おわりに
投稿元:
レビューを見る
これは読みやすかった。7割くらいは理解できたように思う。(この手の本だとこれで結構いい方)連休に入っていることもあり、ツイートしながら読んだので、かえって時間がかかってしまった。で、それを引かずに、覚えている範囲で振り返ってみよう。まずは生命誕生のシーン。今まで読んだものの中でもかなりリアルに描かれているのが印象的だ。想像かそれとも次第に判明してきたのか。ハツカネズミとハダカデバネズミ。ハツカネズミはちょこまか動き回って捕食されないようにする。そして速く成長し、子孫を残して、短い寿命を終える。長生きするための遺伝子機能を失ってきた。それに対して、ハダカデバネズミは地下に潜り、低体温、低酸素濃度で代謝を押さえ、ハツカネズミの10倍以上の寿命を得た。真社会性を築き、繁殖は女王ネズミにのみ依存し、他のメスは働きネズミとして一生を終える。しかし、女王ネズミが死ぬと、他のメスが繁殖を始める。すごい仕組みができているのだなあ。ヘウレーカでも見ていて、おもしろい生き物がいると思っていた。名前は見た目そのままなのだが、なんともかわいげがないというか、不思議な存在だ。しかし、これが人間の長寿のヒントになるかもしれない。たしかに多くの子どもを産むことに決めたカップルにはより多くの援助があればいいのだろう。まあ、そういうインセンティブがはたらけばいいのか。定年退職後も続けて同じ職場で働きたいとは思わないが、何らかの形で社会とは関わっていきたい。生物はなぜ死ぬのか――それは、死が生命の連続性を維持するための原動力になるからである。ターンオーバー、入れ替わりつつ、動的平衡を保ちつつ、次の世代にバトンタッチしていくのだなあ。なんだか「恩送り」ということばにもつながるような気がする。「利他的に死ぬ」という表現もなかなかいいなあ。
投稿元:
レビューを見る
これを読んでも死生観は一変しませんでした。
死生観が変わるという意味なら『死にゆく人に寄り添う』(玉置妙憂さん)に勝る本はないです。
生物について考えるなら『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一さん)が一番です。
投稿元:
レビューを見る
タイトルに惹かれて手に取ってみたのだが…最初に断っておくとかなり分かりやすく説明してくれているのだけど生物の成り立ちを説明してくれている前半は正直なところピンときたとはいえない。リボゾームがどうとかDNAの構造がどうとか。なんかいまいちピンと来ないんだけどこれには作者に責任は全くなくこちらの前提知識の問題だと思う。しかしなぜ地球上にはこれだけの種類の生き物が存在しているのか、なぜわざわざ生殖のために性行為みたいなめんどくさいことをしなければならないのか、など不可思議に思っていたことにある程度の回答を頂けたような気がした。多くの魚類や昆虫などはだいたい生殖が終わった瞬間にそれまでピンピンしていたのがころっと死んでしまうようでそれはそれで羨ましいことではないかと思ったりした。生まれてからある程度成長するまで世話を必要とする哺乳類、特に人間は老化してから不具合が諸々出てきたのちに死ぬわけだが、どうやら老化とはどういう要素で起きるのかなどもかなり研究が進んでいるようで不老不死とは言わないまでも老化とそれに伴って起きる癌などの不具合についてもかなりのところまで解明されているような印象を受けた。これだけの研究者がこのまま何もしなければ人類はあと百年程度で滅びるかも、とさらっと書かれていたりして恐ろしい。かなり興味深い内容でもっとよく理解したいのでまた読み返してみたいと思います。よく分かっていないなりにそれはそれで面白かった。
投稿元:
レビューを見る
ハダカデバネズミに関心が湧いた。私は出産していないので、子孫を残すことができない。それでも生きて死ぬわけだ。読み進めていくうちに、では何故私は生きて死ぬのだ、との疑問がふつふつと出てきた。その答えはハダカデバネズミのはたらきネズミの生き方にあるように思った。子孫を残す人がいて、それを支える人がいて、みんなが自分のできることを淡々と行うことで社会が保たれる。出産をしなくても、子孫を残せなくても、沢山の子孫を残しても、何かしらの役割はあり、その役割を遂行して死ぬことができる。まだ上手く言葉にできていないが、私もちゃんと進化の過程で存在していて良いのだ、と思った。今生きている人たち、死んでいく人たちは皆、進化の過程で選ばれ、生き残ってきた結果の人なのだとわかった。
安心とも違うが、ほっとした気持ちになった。
投稿元:
レビューを見る
なぜ死ぬのか。
原因と意味。
アポトーシスが原因かと思ったら、むしろ、アポトーシスしなくて老化する、エラーな細胞が増えるから。大体、55歳過ぎると急激にリカバリー力が衰える。
死ぬことによって、次の世代の「材料」になる。また、変化と選択、多様化、進化が進むためには、古い世代は消えてゆくしかない。なんつたかて、「たった一個の細胞」から、ここまで多様で多種で多量な生物が展開した北戦略だから。
なるほどなあ。
たった一個の細胞も、ただの比喩ではなく、もう一個発生することがまずあり得ない。生命が生まれる確率は、「25メートルプールに部品ぶちこんでかき回して、偶然腕時計が出来て、しかも正常に稼働する」のと同じだと聞けば。
人間はしかし、次の世代に展開するために、社会と教育が必要。それも「多様性」を蔑ろにしてはいけないという、社会論にまで至る。AIとの共生まで論じるのはどうかなあ、と思ったのだが「死なない」知性は確かに、脅威になるべきものなのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
生物とは何なのか、死ぬこともまた生物の本質であることが理解できる。
なぜ人間だけが死を恐怖するのかについての考察は一読の価値ある内容であった。
福岡伸一博士の書籍とあわせて読むと、より深い生物観の形成に資すると考える。