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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
将棋好きによる将棋への溢れた愛が色んな形を象ったミステリアスな人間ドラマ短篇集。将棋に造詣がなくとも棋士を目指す人の生活感や、手に汗握る対局の駆け引き、被災地での将棋大会ボランティアなど、将棋が繋ぐ絆と可能性が詰まった一冊。大きな壁画など色んな物を使った譬喩がとても印象的だった
将棋の世界の短編集
2022/05/26 10:48
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
いろんな角度から将棋をからめた謎解きが用意されている短編集。将棋がわからなくてもさくさく読めますが、少しでもわかるととてもおもしろいです。
将棋の世界を描く
2021/09/07 07:08
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
将棋の世界を舞台に、そこに息づく人の、心の動きを描いた物語である。将棋の盤上では、生と死は分断されている。玉は死死ぬことはなく、死は遠ざけられ、美しく装われ、存在しないものかのように扱われている。将棋の盤上の限られた空間は、頭の中では広大で限りはない。共通のルールの上で、心のやり取りをする姿勢に、さらに想いを走らせてみる。
将棋にまつわる話
2021/07/10 20:09
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
盤上で戦う棋士たちの短編集。
将棋のルール、まったく知らないので棋譜があっても何のことやらさっぱりでしたが、知らなくても問題なく楽しめます。
将棋に人生を賭けた男たち、厳しい勝負の世界でもがく人々にまつわるミステリーです。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
何手も先読みしないといけないから、好きな人もいれば、それがキライな友人もいます。将棋の短編の集まりの中で「神の悪手」は、秀作ですね。将棋の駒の動かし方を知らない人も楽しめます
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凄い小説でした……
将棋が好きで哲学が好きで本が好きで日本人で、そして生まれてきて良かった。
今さっき読み終わりましたが、感想書いて正直少しでも早く再読したいので以下…
"ミイラ"
今まで読んだことがない全く新しいタイプの物語でした。
このような作品がこの世に存在することが可能なのか…そんなうわ言しか浮かんできません。
本当にすごい…
あと詰将棋が好きな人には一人残らず全員読んで欲しいです、好きな人にしか分からない事たくさんあるから…
人間の実存を詰将棋で描いた哲学的な短編でした。
これ今、生まれて初めての読後感です…
"盤上の糸"
例えば登場人物が音楽の天才達であるはずなのに、その行動や言動からは凡人にしか思えない、日本人作家が書く小説にはそんな作品が多くないでしょうか。アオリが一番面白いタイプというか…
悲しい哉、その作家本人が凡人であるせいで天才を描くことが出来ないのでしょう。
しかし実際に天才と呼ばれる人達にはやはり天才だなと思わせるエピソードなどが必ずあるものです。
そういう意味で、天才と呼ばれる超人がどのように世界を見ているのか、世界はどのように見えているのかが描かれた作品だと思いました。
将棋の手に汗握る攻防と超人の見ている世界の描写の混沌が素晴らしいです。
そして勝ち負けの混沌が印象的に描かれていました。
また対局している二人の棋士のキャラクターやプロフィールもとても興味深かったです。
実在の棋士を連想させる事と全くのフィクションであるキャラクター要素のバランスを取るのがとても上手くて魅き込まれました…
"恩返し"
羽生善治先生にもしお弟子さんがいたら…ファンなら誰もが一度は思うそんなパラレルワールドを思いながら読みました。
この作者、羽生先生好きすぎでしょ…
そして好きだからこそ、下手すれば月並みになりかねないモチーフをここまで素晴らしく仕上げることが出来たのでしょう。
こんな凄いファンレターありますか…
"弱い者"
生きていく中で感じる違和感、"生きづらさ"などという単純な言葉では言い表せない感情について描かれた物語だと感じました。
冒頭、子供の洋服がただのパーカーではなく半袖のパーカーと書かれていたのが個人的にとても厭というかパーカーで半袖って何だよダセぇよ村上春樹かよっていう…しかし読み終わってみると、しかしこれも同じ違和感を感じていたのだなと思いました。
また女流棋士に対してルサンチマン溢れる見下した気持ちがあけすけに書かれていますが、これも同じ感情なのかと…
そもそもこの短編は震災の被災地へチャリティとして指導対局に行ったプロ棋士の話、という事が冒頭でわかるのですが、それが解った時点で"ああそういう感じの話ね…"というポジティブではない感情が起こったのは自分だけではないと思うし、将棋好きな方なら将棋が強いだけのクズだった山崎隆之八段がモデルなんだな、だったらモデルの本人や元のエピソードの���が絶対面白いじゃん!、などという感情を抱いたのも自分だけではないでしょう。
しかし作者は登場人物の感情だけではなく、そういう読者の感情を想起させた上で、物語をカタルシスへと導いていきます。
タイトルの弱い者とは誰のことなのか。
このような物語を書くことが出来る作家が存在するのですね…
海外文学、特にアメリカ文学が好きなので、現代の日本の作家の書く小説のスケールの小ささやディテールの貧弱さに辟易して、いつもどこか下に見ているそんな自分なのですが、作者の芦沢央さんのファンになった!と飛び出し走り出しながら叫びたい気分です。
主人公達のプロフィールもプロ棋士だけではなく、奨励会三段、詰将棋雑誌の選者、駒師…と、将棋が好きな人にはクリティカルに刺さる肩書で、また取材しただけでは書けない、将棋が好きな作家でないと書けないだろうなと思わせる説得力が文章にも表現にもありました。
池袋という街のガワだけ使って、好きでもないちょっと調べただけの事をウエストゲートパークしている日本人作家の有象無象達とは、あまりにもレベルが違いすぎて、日本人作家の認識を改めてなくてはなと思わされました、カルチャーショックです…
トリックがどうのというミステリー好きな人の否定的なレビューを散見しましたが、そんなレベルの小説ではありません。そのせいで積読になり正直あまり期待せずに読み始めたのですが、そんなの無視して早く読めば良かったと後悔しています。
将棋が好きで哲学が好きで本が好きで日本人で、そして生まれてきて良かった。
そんな小説に今日出逢いました。
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今まで読んだ将棋小説は当たり外れが大きくて。将棋を知らない自分でもこれはちょっとなぁ、と思うものもあったりするのだけど、これは間違いなく正真正銘の大当たり!
将棋の世界。藤井君のおかげで将棋のルールを知らなくてもなんとなく身近になった世界。
それでも私たち部外者が見ているものは、表面の、いや表面ですらない外側の一部分なんだと思い知る。
基本的なルールと、将棋盤と駒さえあればだれでもできる。しかも、1人だけでもできる勝負の世界。
この単純明快な勝負の、奥の奥にどんな世界があるのか。
勝ちと負け。勝負であるからには必ずどちらかが勝ちどちらかが負ける。けれど、不思議なことに将棋というのは完全に勝つ、あるいは負けるまで指すことは少ない。その手前で勝敗が決まるからだ。
その、負けを受け入れる瞬間こそが将棋の残酷さなのかもしれない。
ここにある5つの物語は将棋が持つ可能性を、残酷さを、救いを、恐怖を、そして希望をつきつける。
己の身体と頭脳を極限まで使い切る真剣勝負の世界の、その孤高の刃に震えた。
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正直言うと自分は将棋のルールとか全く分からんのだけど…すっごい面白かった!!
あの小さな盤上でおこる命を削るようなやり取り。
将棋に関わる人達の狂気すら感じる気迫と熱。
棋士の世界の厳しすぎる現実。
厳しすぎるからこそ将棋の世界にはどこかしら狂ってないと生き残れないかもしれないという説。
1話読む事に気づいたら息を止めて読んでいた。
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2021.7.8読了。
将棋を知っていると面白く読めると思います。駒師が語り手の『恩返し』がマイベストでした。
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将棋に情熱を注いだ人達が、降りかかる出来事に翻弄されながらも前へ進もうとする姿をミステリー仕立ての短編集で描かれています。
芦沢さんの作品というと、ホラーものの作品が印象的です。ホラーな作品ではないですが、ゾワゾワとした雰囲気を文章で演出しているので、張り詰めた空気感がたまらなかったです。
5つの独立した短編集で、それぞれ大どんでん返しとまではいきませんが、後半になるにつれて、意外な方向や真実が見え隠れしています。
あーなるほど、そういうことだったんだと思わせてくれるので、話のメリハリがあって楽しめました。
時折、将棋の対決シーンが登場しますが、文字化すると、なかなか全ての雰囲気を感じにくい部分はありました。将棋の基本的な知識はあるものの、駒の動くことによって、何が凄いのか?何で追い詰められたのか?雰囲気だけは伝わりましたが、詳細にどこがと聞かれると、「…」でした。
しかし、対局する登場人物の張り詰めた緊張感が伝わってきて、グイグイと惹き込まれました。
将棋という世界で活動する人達。その中では、年齢制限や在籍年数など勝負事以外での嫉妬や駆け引きが渦巻いていて、濃密だなと思いました。段々と精神が削ぎ落とされていく姿に厳しい世界だなと改めて感じさせてくれました。
こうした世界で勝ち抜いていく羽生善治さんや藤井聡太さんなど錚々たる人達の精神が半端ないんだと感じました。
第1章「弱い者」では、対決する子供の正体
第2章「神の悪手」では、殺してしまったかもしれない棋士の心理
第3章「ミイラ」では、投稿された子供の正体や心理
第4章「盤上の糸」では、2人の対決シーンに隠された真相
第5章「恩返し」では、ある棋士がいう言葉に込められた心理
が印象的でした。それまでの話の流れが反転するかのような
意外な展開で面白かったです。
特に第5章は、ミステリーというのはヒューマンドラマに近く、じんわりと言葉が染み渡ってきて良かったです。
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初めて芦沢作品が面白いと感じた。題材が将棋であることも関係していると思うが。5編の短編集だが、兎に角「ミイラ」は完璧な出来。これは読後少し放心するくらい凄かった。詰将棋をこのようなかたちでミステリーにするなんて想像できず、本当に驚いた。間違いなく芦沢作品で私のベスト作。「弱い者」「恩返し」も短編ならではの味わいがある。短編が向いてるのかもと思った。
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将棋の世界をテーマにした短編集。連作になっているかと思ったが、それぞれ違う登場人物だった。(毎回将棋をテーマにした小説を読む時に思うのだが)将棋に詳しくないので、対戦自体の面白さはわからなかったが、その緊迫感は十分伝わってきた。どの話も深く人の内面を描く作品で余韻を残す仕上がり。中でも「弱い者」は真相がわかってハッとなる印象的な作品だった。
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女性視点で描かれる芦沢央さんの作品が好きなのですが、こちらの作品は男性視点。いつもより硬い表現で、さらに文章に織り交ぜられた将棋の棋譜もどう読めばいいのかわからない状態だったので、読み進めることに苦労した。
ひとつひとつ、特に『弱い者』などはハッとさせられる内容ではあったけれど、とにかく苦労した。
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読もうか読むまいか迷ったが読もうと決めて購入してやはり良かった。勝負事は下手な横好きだ。将棋も碁も弱いくせに一時期夢中になった覚えがある。本書は5つの短編集で考えもしない方面からの掘り下げ方で楽しかった。神の悪手、弱い者、ミイラ、盤上の糸、最後の恩返しと楽しませて貰えた、ありがとう。
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これはとんでもない傑作。
将棋に関わる様々な立場の人物を通して記される心理描写が圧倒的で、ミステリーみたいなカテゴライズは無意味。いうなら「人間」の小説じゃないかと。
将棋を知らなくても問題なく読める作品ですが、積極的に「読みたい」と思えたという意味ではやっぱり将棋に興味を持っていてよかったなと。実戦は全然詳しくない「観る将」ですけどね(^^;