歌舞伎の事をよく知らなくても充分楽しめます
2025/04/29 12:07
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉田修一久々の傑作です。歌舞伎の事をよく知らなくても充分楽しめます。この小説自体がひとつの舞台であるかのような感じです。ラストもばっちり決まってます。最後に載ってる解説が登場した歌舞伎のそれぞれの演目について、本筋に絡めて解説してありますので、とてもいい解説だと思いました。
人間の生涯×美しきものを描き切った作品
2024/05/15 21:11
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投稿者:ジャッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの登場人物も遠くにいってしまった。等身大の姿だった喜久雄は、二倍三倍と大きくなったと思ったら、私よりも小さくて繊細な姿にもなっていって、軽く狼狽えた。
芸人の華やかさと、背後にある壮絶な覚悟を描きつつも、その隙間にある世間の眼差し、社会の非情さが鋭く描かれていたので、時々ハッとさせられた。
何より、そういった醜いものすらも吸収し、狂気と紙一重の輝きを放つ人物としての喜久雄を描き切った最後のページに、すごく強くて大きな意志を感じて、胸がいっぱいになった。
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圧巻。すごいものを読んだ
読み終わってしまった
裏表紙のあらすじしか前知識が無かったので、
悪人の作者さんが歌舞伎の話し?
歌舞伎役者が主役のミステリー?
そんな気持ちで読み始め、違うこれは大河のような
伝記のような、映画のような、と引き込まれ。
文体が語りで綴られているので、読んでいると言うより聞かされているといった感じがした。
どのシーンでどう感じたかの感想は山ほどあるけれど、うまく文字にはできないので
希望だけ書かせてもらうとしたら、万菊さん鶴若さん、俊介が出奔していた時期のこと、徳次のこと、
マツも幸子も春江も、それぞれの全部が読んでみたい。
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哀しいまでになんと美しい世界を魅せてくれたことか!
物語を読み終わったというよりは、格式高い典雅な香り漂う中、長い長いお芝居を観終わった感じ。
ぼぉーっとしてしまって席から立てない。
今私が観たものはなんだったのか。
夢か幻か、夢と現をいったりきたり。
途中までは、また歌舞伎を観に行きたくなってたけれど、果たしてこの世界観を味わえるほど浸れるか、読み終わったあとには、自信がない。
それほどまでに圧倒的な凄まじい世界を魅せつけてくれた。
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夢にまで出てきそうな小説、脳裏に上演されている歌舞伎が離れない。
任侠の息子として生まれた喜久雄が梨園の世界で「3代目:花井半二郎」として上り詰める高揚感と、孤独や哀しみも全てを観劇しているように感じた。
ガイドのような語りが、場面の入れ替わりに大きな担い手となっていて独特の世界観に貢献している。久しぶりに歌舞伎に行きたくなった。オススメ!
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数十年の半生を一冊で描いていることもあり、ジェットコースターのような展開だった。上巻に増して波瀾万丈だったので、先が気になるけれど、あえて休憩しながら読んだ。
芸を純粋に愛する不器用でまっすぐな姿勢は上巻から全く変わらなかった。「国宝」になるまで高みに達すると、華やかさではなく、美しくも孤独な世界があった。綾乃の前で悪魔と契約する喜久雄は可哀想でもあった。でもそれが芸に生きるということなんだなと。
今まで全く興味がなかったけど、歌舞伎を鑑賞してみたくなった。特に女形という役者の舞台は気になる。
・周りの女たちも舞台の外側を支えるという意味で芸に生きている。命を削って舞台に立ち続ける俊介をただ見守った春江と幸子。それを乗り越えることでいつの間にか強くなった2人の信頼関係にぐっときた。
・俊介が戻ってきて、また2人が舞台に立てるようになってからの躍進はすごかった。ライバルの存在は大きい。
・幼なじみ、徳治と春江という存在の心強さよ、、喜久雄に2人がいてよかった。
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ひとつの舞台を見終わった感覚。観客の1人として、気づけばそのストーリーに釘付けにされていた。
花井白虎と花井半二郎、2人が築きあげてきた歌舞伎という世界。苦悩もあり、譲れないものもあり、そのせいで手放してきたものも沢山ある。役者が仕事であれば辞めることもできるかもしれない。しかし役者がその人の性根であるのであれば、性根を入れ替えられる人間などそうそういないだろう。
歌舞伎という芸にひたむきに向き合う日本一の女形の半生を綴った物語。
ぜひ、観客としてこのお話を見てほしいなと思います!
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物語初っ端の事件の決着とか、タイトルの意味するところとか、最終章を前に、一気に明かされていく結構。それらは、スパイスとして間違いなく良く効いているけど、あくまで味付けの一つ。一生涯を歌舞伎の世界に生き抜いた主人公二人の生き様を、芸の世界に似つかわしい語り口で、絶妙に各演目を引き合いに出しながら綴られることで、何だか目が離せない魅力的な逸品に仕上がっている。敷居は高いけど、少し踏み込んでみたい気もするかな、日本芸能。
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歌舞伎に全く興味のなかった自分が、歌舞伎の世界に興味を持ち、知るきっかけを与えてくれた作品。
フィクションではあるが、人間国宝となった喜久雄の舞台を、この目で一度は観てみたいと思った。
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これまで出会った中でも、1、2を争う面白さだった。ここに賛辞の言葉を書き連ねたいが、この作品にみあうような言葉を見つけられないのがもどかしい。
一生をかけて一つの事を貫き、極めて狂ってゆく・・・。普通なら恐ろしいことなのかもしれない。が、喜久雄の姿は艶やかで色鮮やかな世界のなかに見えてしまう。最後は物語の世界にひきこまれ、決して涙を誘うような文章ではないのに気がついたら泣くのを堪えてた・・・。ありきたりの言葉だけれども、凄みのある物語でした。
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3.8 歌舞伎役者の生き様の後半戦。歌舞伎がわかれば、もっと楽しめる話。狂気の域に達するまでの過程が克明に描かれる。何かを極めることは、狂気とは裏表。
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こういう1冊を「渾身の大作」というのだろう。
参考文献の数がものすごい。
歌舞伎の世界を知っていれば、さらに楽しめたのだろうなぁ。
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オモロい。
文体も歌舞伎風で新鮮。
でも残念なのは、セリフが難しくイマイチ頭の中に入ってこない事やなぁ。
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圧倒的に面白かった。芸道小説は好きすぎる作品がすでにあるからそれを超えることはないだろうなと思っていたけど、引き込まれすぎて自分に驚くほど。登場人物も歌舞伎の表現も歌舞伎自体に全く詳しくなくても生き生きとかんじられる素晴らしさなんですが、なんといっても吉田修一が本作で用いた芝居の語りやナレーションのような地の文の魅力、威力がすごい。それ程突飛な書き方には感じないのに、これまで味わったことのない小説だ!という感覚が強くて、ページをめくる手がまったく止まりませんでした。
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読書に集中できる環境で読んだこともあり、どっぷりずっぽり、世界にはまりました。読み終わってしばらく抜け出すのに苦労しました。
むちゃくちゃおもしろかったです。ところどころ感極まってべそべそずびずびしながら読んでいたせいか、とてもすっきりしました。