紙の本
期待は高まっていますが
2022/07/01 08:18
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞の第1回選考において、選考委員だった川端康成が太宰治の候補作に対して「作者目下の生活に厭な雲ありて」と評したことは、今では文学史的な挿話として有名である。
対して、太宰は「刺す。そうも思った。大悪党だと思った」と過激に反論した。
作品と作者は別のものとして考えないといけないが、それであっても作者のありようをやはり読者はつい目線の端に入れてしまう。
それから幾星霜過ぎて、第167回芥川賞候補作となった本作の場合はどうだろう。
なんといっても、作者鈴木涼美さんに注目があつまる。
元日本経済新聞社記者でかつ元AV女優という経歴を持ち、現在は社会学者と作家という顔をもつ。
今回芥川賞の候補作となった作品は著者初の中編小説で、死にいく母と、その母から幼い時にやけどを受けそこに刺青をいれて歓楽街で生きる娘の姿を描いている。
ちなみに「ギフテッド」とは、先天的に高い知能をもった人たちのことを指すようだが、一方で目立つことを避けようとあえてダメぶりを示したりもするらしい。
この作品にあえて「ギフテッド」とつけたのは、もしかしたら鈴木さんの挑むような意味があるのかもしれない。
主人公と母との関係と同じように、主人公と死んでいった歓楽街の女が同じ距離感にいる。
さらにいえば、主人公と街そのものも同じだ。
交わりそうで交わることもない。
宣伝文にあるように、この作品が「新世代の日本文学」かどうか、もう少し見極めてが必要だろう。
紙の本
人は、生まれたその時点から、ギフテッドだと思う。
2023/12/31 16:59
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
みんなにそう言ってあげたい。医学的なことはよくは知らないけれど、細胞レベルで同じ人が一人もいないのであれば、どんなに同じ行動をとっても違うはずだ。その違いを尊重し合えるような社会教育を義務教育でしてほしい。お金があるとか親がいないとか、そんなにわかりやすく人間を比べて人間として堂々としているなんてどうかしてるよ。
紙の本
よく分からない
2022/09/24 09:59
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく分からない
それが最初の感想
母親の死
友人の死
タバコのヤケドの痕
母親の所有物だと思っていた私は
母親の死から生を産みだす
死の世界を描いて生を産みだす小説
作家の経歴に驚かされる
これから彼女が何を書くのか待ち遠しい
電子書籍
芥川賞候補
2022/08/11 22:32
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
確かに、一般の人間とは一線を置いたところの住人のお話……と言えば、フィクションですが、この話はすごく真に迫りました。未婚で娘を生んだ母親が、その娘のところに、余命がないという時期にやって来る話…。読んでも良い気分にはなれなくて
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夜の繁華街で働く25歳の「私」。病で死を待つ母。自殺した娼婦。実夫。とある一人の男・・・。繁華街の明るさの裏にある自分の体に商品価値をつけるという事実や生と死など、表と裏を「鍵」「扉」の音をキーポイントに表現されているのだと思う。
自分の体に商品価値をつけることを嫌った母は、同じ繁華街で生きる「私」に何を伝えたかったのか?「鍵」を使って「扉」を開け、「扉」は「鍵」がないと開かないように、様々なことが表裏一体なのだと思う。噛み砕くのが私には少し難しかったけれど、その分、色々な捉え方があるなと思った
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芥川賞候補作だったので、いつもは読まないジャンルだが、手にとってみた。
淡々と描かれる日常描写と主人公の心情。
ここから、何かを感じ読み解きたかったが、私の感受性が鈍いのか? あまり心が動く事はなく、よくわからないまますぐに読み終わってしまった。
「わからないことを、わかっちゃダメだ」
「わかることだけを、わかりなさい」
読後、主人公の母の言葉に、うなずいてしまった。
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細かい動作の描写が多いように感じた。
自分が知らない(知らなくていい)世界を体験できた。
最後の母親の詩が印象的だった。
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死期を悟った母親が、家を飛び出して離れて棲む娘を唐突に訪ねて言う。「時間が無くなっちゃった。もう本当に。教えてあげなくちゃならないことがたくさんある気がするのに」
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自身の死と対峙する母と、母の命と対峙する娘を、今風な"心理描写レス"的テイストで描く中編小説。
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不穏なもの、剣呑なものについて、何か現実の"物体のような存在感"を与えて描き出している。そこが本作の読みどころ。
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次作も期待したい。
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生きる世界が違う、育った環境で人は全く別の人間として生きる。今の私を形作る物それは私自身に関わってくれた、全ての人達から与えられたギフテッド。作品に所々書かれている重い扉。その向こう側とこちら側。私は気付かぬ内に行きつ戻りつしているんだろう。
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どこか現実感がなく、世界と私との間にモヤがかかっているように感じた。
関わる人、全て呼称がなく、不思議な世界感だった。
ただ自分自身を振り返ってそういう感覚の時もあるなと感じた。
今を生きているようでそうでない、独特の小説でした。
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よくわからなかった。
最後まで淡々としてた。
どこにも共感も感動もなく終わってしまった。
思い返せば様々な出来事があったはずなのに。
なんで「ギフテッド」という題なんだろう?
それもよくわからない。
なるほどと思ったり、共感できたり、
前向きな気持ちになったり、読んだ後
「あー面白かったー」という読書が
私は、好きなんだと思う。
お母さんの最後の言葉が妙に印象的。
「わからないことを、わかっちゃダメだ」
「わかることだけを、わかりなさい」
ということで、この「わからなさ」は、
一旦置いて、次へいこう。
もう一度読むか、作者の他の作品も読んでみるか、
そういうことも後から考えよう。
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中編なのですぐに読み終えられます。
娘目線の母であったり、夜の仕事仲間目線の死んだ友達であったりが書かれています。
面白いし読みやすいけど、ありそうな小節という印象でした。
読んでよかった〜面白かった〜という読後感はありませんでした。
あと、タイトルと内容は特にリンクしていないような気がしました。
タイトルから、もう少し違った内容を想像してしまいました。
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芥川賞候補になったやや自伝的要素も組み込んだ鈴木涼美さんの処女小説。
ギフテッドが才能があるというよりも、母親につけられた火傷によって、あるところで踏みとどまったという意味でギフトであったということを示しているとのこと。
そういう意識がなく読んでしまっていた。
身体の商品化、母と娘の関係、について拡がりがありそうな小説だが、読み手を選ぶかもしれない。
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よく書けていると思うし、テーマもそれを表現する設定や描写も分かる。
でも、表面的な技法とか暗喩とかはあるけれど、心に響く重みや深い意味が伝わらず、浅くて軽い。
小手先感というか、何となくいい印象が持てなかった。
波瀾万丈な人生の私から見ると、嘘くさくて薄い。
そうじゃない、と言いたくなった。
最後の方は読む気も失せて、パラパラとページを捲って流し読み。
賞の候補や受賞には色々な思惑や枠があると思う。作品の方向性や話題性や著者の個性や学者枠やetc...
慶應大学在学中にAV女優でデビューして、その後東大の大学院という経歴が物を言っているとしか思えなかった。
もちろん私はAVや風俗に偏見はないし、そちら側を知らないわけでもないです。
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お母さんの死が近い。
日常の生活をしつつも、母を気にして世話をする娘。
今夜か、あと1週間くらいか?
いつでも電話に出られるようにしておいてください。と担当医師が言う。
いよいよお母さんの死が近づいている。
最後の息が終わって、静かになる。
病院で息をひきとる母。
そうだよね。気になるのは、自分のことをどう思っているのか?
話せるうちに聞けて良かった。
「産んで良かった」と。
それだけで、意味がある。