1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここまでの綿密な物語があるだろうか。
素晴らしい取材力。感動し過ぎて言葉にならない。
テレビを見ていて、正直私も「なぜ北広島なのか」と思っていたが、こんなストーリーがあったとは。
本当に感動しました。
フランチャイズ移転と、新球場建設に懸けた人たちの熱意が伝わるノンフィクション!
2024/10/05 07:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
2023年のプロ野球開幕に合わせてオープンした日本ハムファイターズの新球場エスコンフィールド。新球場建設という巨大プロジェクトの、球場建設地選定にスポットを当てたノンフィクションです。
札幌ドームを本拠地としていたファイターズが、なぜ札幌ドームを出て新球場建設を求めたのか。その発端となる背景や、動き出した新球場建設計画の中で候補地選定の段階において、実際に選定された北広島市と、札幌ドームが位置する札幌市との交渉の推移まで、詳細に描かれています。
「なぜ札幌ドームを出るのか」、「人口数万人の地方自治体(北広島市)になぜ新球場が必要なのか」等々新球場建設プロジェクトは「既存の枠組みの否定」の連続です。その一つ一つに向き合って議論を重ねるプロセスが丁寧な取材で明らかにされています。
描かれているのはファイターズの球団職員の方々や、北広島市、札幌市の市職員の方々。普段はプロ野球球団の運営の裏方や行政の裏方を支える人たちです。一人一人の現在の職場にたどり着くまでの経緯やエピソードを丁寧に描くことで、一社員、一公務員である彼らがなぜここまで熱く、真摯に向き合って交渉を重ね続けたのかが伝わって来ます。
本書最終章で候補地選定の結論が出される日本ハム臨時取締役会の様子は、それまでの様々な経緯を本書を通じて疑似体験してきた読者にも、緊張感がひしひしと伝わって来ます。
札幌市vs北広島市、札幌ドーム残留派vs新球場建設派、といったステレオタイプな対決構造ではなく、本書あとがきに「球団にも大都市にも地方都市にも、善と悪、勝者と敗者の分かりやすい境界線は見当たらなかった。それぞれに行動原理があり、正義があった」と記されているように、どの立場の人も公平に描かれているのが読み終えて感じる清々しさの源であるような気がしました。
落合博満氏を描いた「嫌われた監督」、清原和博氏を描いた「虚空の人」など著者の鈴木氏の本で期待を裏切られたことは一度もなかった中、アスリートではなく新球場建設に携わった裏方さん達を描く本書も期待を裏切らない素晴らしいノンフィクションでした。
札幌市は日ハムを舐めてたのかなあ
2023/08/01 16:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
札幌市は日ハムが再三再四「グッズ販売までむしり取る様な条件をこれからは飲むつもりはありませんよ、移転しますよ」と訴えていたことを単なる脅しとしか思っていなかったのだろうな、北広島市に自前を球場を拵えて逃げるなんて夢にも思っていなかったのだろう、後悔先に立たずである
フランチャイズ移転と、新球場建設に懸けた人たちの熱意が伝わるノンフィクション!
2024/09/02 18:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
2023年のプロ野球開幕に合わせてオープンした日本ハムファイターズの新球場エスコンフィールド。新球場建設という巨大プロジェクトの、球場建設地選定にスポットを当てたノンフィクションです。
札幌ドームを本拠地としていたファイターズが、なぜ札幌ドームを出て新球場建設を求めたのか。その発端となる背景や、動き出した新球場建設計画の中で候補地選定の段階において、実際に選定された北広島市と、札幌ドームが位置する札幌市との交渉の推移まで、詳細に描かれています。
「なぜ札幌ドームを出るのか」、「人口数万人の地方自治体(北広島市)になぜ新球場が必要なのか」等々新球場建設プロジェクトは「既存の枠組みの否定」の連続です。その一つ一つに向き合って議論を重ねるプロセスが丁寧な取材で明らかにされています。
描かれているのはファイターズの球団職員の方々や、北広島市、札幌市の市職員の方々。普段はプロ野球球団の運営の裏方や行政の裏方を支える人たちです。一人一人の現在の職場にたどり着くまでの経緯やエピソードを丁寧に描くことで、一社員、一公務員である彼らがなぜここまで熱く、真摯に向き合って交渉を重ね続けたのかが伝わって来ます。
本書最終章で候補地選定の結論が出される日本ハム臨時取締役会の様子は、それまでの様々な経緯を本書を通じて疑似体験してきた読者にも、緊張感がひしひしと伝わって来ます。
札幌市vs北広島市、札幌ドーム残留派vs新球場建設派、といったステレオタイプな対決構造ではなく、本書あとがきに「球団にも大都市にも地方都市にも、善と悪、勝者と敗者の分かりやすい境界線は見当たらなかった。それぞれに行動原理があり、正義があった」と記されているように、どの立場の人も公平に描かれているのが読み終えて感じる清々しさの源であるような気がしました。
落合博満氏を描いた「嫌われた監督」、清原和博氏を描いた「虚空の人」など著者の鈴木氏の本で期待を裏切られたことは一度もなかった中、アスリートではなく新球場建設に携わった裏方さん達を描く本書も期待を裏切らない素晴らしいノンフィクションでした。
投稿元:
レビューを見る
【ボールパークを創りたい、その夢を北海道で実現した男たちの物語】ファイターズ本拠地移転。13年前今までとは別の土地にボールパークを創る構想が生まれた。それを形にする為に戦った男たちがいた。
投稿元:
レビューを見る
面白かった
感じたことを思いついたまま書く
前沢さんとは絶対、友だちになりたくないな
場を凍らせるエピソードをみると
まったく空気読まなそう
「野球好きなやつ
絶対、フィールド・オブ・ドリームス大好き説」
は立証された感あるな
九章の運命の日は、
結果はわかってても少しドキドキする
札幌市の担当とも同士という絆があったんだな
とそこだけは、ちょっと意外だった
ボールパーク
エスコンフィールド
には、ぜひ成功してもらいたい
投稿元:
レビューを見る
一気に読み込んだ。 北海道日本ハムファイターズが、札幌ドームを離れ自前の野球場、エスコンフィールドを作るまでのドキュメンタリーである。
今やエスコンフィールドは、日本でも 一・二を争う人気の野球場となった 。しかしその実現には、関係者の目に見えない努力がある。それをフラットな目線で丹念に追いかけたドキュメンタリーだ。
関係者の生い立ち、日本ハムと置かれた状況、札幌ドームとの確執。それを踏まえて、ひとりの男が立ち上がる。一度は夢物語として却下されるものの、心の奥底に留めた思いが消えることはなかった。
一度は日ハムを離れた男だが、彼が日ハムに投げ掛けた思いは、人を動かす。そして会社を、自治体を動かし、ついに夢にまで見たアメリカのようなボールパークを北海道に現出させる。ブルドーザーのごとき働きで。
エスコンフィールド関連の話は、ややもすれば札幌市を悪代官のように見立て、北広島市がホワイトナイトとして立ち上がるような論調が目につく。しかし著者はどちらにも片寄らず、関係者の思い、苦悩、利害者の対立を深い取材のもとにえぐり出している。特に札幌市の懊悩は、この書籍がでなければ明らかにはならなかっただろう。
素晴らしい本だ。もいっかい読むか。
投稿元:
レビューを見る
嫌われた監督も好著でしたが、この作品も素晴らしかった。新球場の招致に成功した北広島市と失敗した札幌市の両自治体の苦悩を臨場感たっぷりに描き出していました。もちろん、球団と親会社とのやり取りも。さらっとした1行に綿密な取材の跡がうかがえます。ファイターズファンのみならず、野球ファンにオススメの1冊です
投稿元:
レビューを見る
エスコンフィールド(ベースボールパークタウン)を構想した男たちの物語。とは言っても、それを練り上げ、建設地の決定までの軌跡。様々思惑、葛藤があり現在の北広島市に建設が決まった。札幌市は大都市がゆえに札幌ドームと球団との交渉がうまくいかず、また候補地選定においても北広島市に後れを取ってしまった。2023年3月無事開業しプロ野球は開幕した。しかし、まだボールパークタウンの夢はつぼみが開いたばかり。大きな花を咲かせ実となるまでには時間がかかる。実際球場へのアクセスの課題が浮かび上がってきた。今後も注目したい。
投稿元:
レビューを見る
タイトル通り北海道にボールパークを創る話。計画から建設地決定までの話。
ちょっと本屋で立ち読みしたらグイグイ引き込まれて購入。面白かった!善と悪というハッキリしたものがなく、それぞれがそれぞれの思いを持って行動した結果なのだなぁ…と。札幌市の歯痒さを知り、この都市の持つジレンマを初めて知ったかも…当時は知らなかったので(−_−;)
投稿元:
レビューを見る
文体に引き込まれ、面白くて一気に読みました。北海道に新たなボールパークを創る夢を実現しようとする男たちの物語。スポーツ選手を主人公としていないスポーツノンフィクション。
世代的に「フィールド・オブ・ドリームス」のエピソードはたまらない。また見たくなりました。そして来シーズンこそ、エスコンフィールドで野球観戦しようと思いました。新庄劇場は来年も盛り上がりそうです。
著者の「嫌われた監督」ももちろん読みました。次回作が楽しみな作家さんです。
投稿元:
レビューを見る
「嫌われた監督」著者によるルポタージュ。
相当な取材をされた力作です。
出来たばかりのエスコンフィールドで
ここまで内情を描くとは脱帽です。
日ハムが札幌市から出て行ったしまったことは
いかなる理由があれど、個人的には札幌市長の最大の
失政だと思ってますが、先日選挙で再選されました。
それが日ハムに対する札幌市民の冷めた部分が体現されたと
思っております。
※アンビシャスというタイトルはボーイズビーアンビシャスから来ているのですが、札幌のプロバレーボールチムー名が「アンビシャス」なので、混同する方もいるかも、です。
投稿元:
レビューを見る
2023年のプロ野球開幕に合わせてオープンした日本ハムファイターズの新球場エスコンフィールド。新球場建設という巨大プロジェクトの、球場建設地選定にスポットを当てたノンフィクションです。
札幌ドームを本拠地としていたファイターズが、なぜ札幌ドームを出て新球場建設を求めたのか。その発端となる背景や、動き出した新球場建設計画の中で候補地選定の段階において、実際に選定された北広島市と、札幌ドームが位置する札幌市との交渉の推移まで、詳細に描かれています。
「なぜ札幌ドームを出るのか」、「人口数万人の地方自治体(北広島市)になぜ新球場が必要なのか」等々新球場建設プロジェクトは「既存の枠組みの否定」の連続です。その一つ一つに向き合って議論を重ねるプロセスが丁寧な取材で明らかにされています。
描かれているのはファイターズの球団職員の方々や、北広島市、札幌市の市職員の方々。普段はプロ野球球団の運営の裏方や行政の裏方を支える人たちです。一人一人の現在の職場にたどり着くまでの経緯やエピソードを丁寧に描くことで、一社員、一公務員である彼らがなぜここまで熱く、真摯に向き合って交渉を重ね続けたのかが伝わって来ます。
本書最終章で候補地選定の結論が出される日本ハム臨時取締役会の様子は、それまでの様々な経緯を本書を通じて疑似体験してきた読者にも、緊張感がひしひしと伝わって来ます。
札幌市vs北広島市、札幌ドーム残留派vs新球場建設派、といったステレオタイプな対決構造ではなく、本書あとがきに「球団にも大都市にも地方都市にも、善と悪、勝者と敗者の分かりやすい境界線は見当たらなかった。それぞれに行動原理があり、正義があった」と記されているように、どの立場の人も公平に描かれているのが読み終えて感じる清々しさの源であるような気がしました。
落合博満氏を描いた「嫌われた監督」、清原和博氏を描いた「虚空の人」など著者の鈴木氏の本で期待を裏切られたことは一度もなかった中、アスリートではなく新球場建設に携わった裏方さん達を描く本書も期待を裏切らない素晴らしいノンフィクションでした。
投稿元:
レビューを見る
今年のプロ野球開幕前に、日本ハムの素晴らしい新球場 "ES CON FIELD" の紹介番組を見た。
お披露目にあたり、ホームベースからバックネットまでの距離が短い規格違反のニュースも球場の宣伝に一役買っていた。
球場の規格も知らずに造るような間抜けな設計はしないはずなので、私は確信犯だと思っている。
野球のルールブックを2冊所有しているが、どちらも真っ先にグラウンドのルールとしてサイズに関する記述がはっきりと書いてある。
規格違反は一箇所だけだが、観客席数も球場の広さも札幌ドームと比べて随分と小さくなったのは少し残念だ。
私は巨人ファンだったが、今の巨人には全く魅力を感じない。
巨人以外で特に推しのプロ野球球団もない。
高校野球(東京予選)は球場にも観に行くし、春夏の甲子園大会も毎回欠かさずテレビで観る。
高校野球で結果を出した選手がプロでも活躍する姿を見るのは楽しい。
つまり、ドラフトで獲った選手を育てて地道にチーム作りをしている姿勢が伝わってくる球団が好きだ。
そういった視点でプロ野球を見ているので日本ハムはいい球団だと思っている。
ダルビッシュ有、大谷翔平の両名がどうしても目立つが、それ以外でも若手選手を大事に育てていることが伝わってくる。
日本ハムもかつては巨人と同じ後楽園球場や東京ドームを本拠地としていた。
札幌ドームを本拠地に変えて北海道のチームに生まれ変わっていたので、チーム運営も順調なのだと思い込んでいた。
だが、札幌ドームも借りていたので、設備の改修も思うようにできず、賃貸料も高く、ゲームがあるときの売り上げも札幌ドームに入るなど不満が多かったらしい。
親会社がプロ野球に対する情熱が薄ければ、ダメなら身売りを考えるので、自前の球場を造るという発想は持つはずがない。
しかも、この新球場の建設には何と600億円もかかっているのだ。
本書では、新スタジアム構想を実現へと導いた立役者としてプロジェクト・リーダーの前沢氏を中心人物としているが、
日本ハム本社の旧社長一族の、「スポーツと生活が近くにある社会」の実現というビジョンが強い後押しとなっていることは明らかだ。
球場を含めた「ボールパーク」にするという計画が前提条件なら、最初からしがらみの多い札幌の可能性はなかったに等しい。
前沢は駆け引きとかなく、本音で物事を進める人物像になっているが、札幌をうまく利用して北広島から好条件を引き出す戦略に見える。
本心は札幌でやりたかったのだろうが、いつまでたっても札幌側は前沢の思い通りに動いてくれない。
そんな事情もあって北広島でやるしかないとの思いに至り、「何処で何をするかより、誰とやるかを重視する」との発言が出たのだろう。
学校でも仕事でも普段の生活でも人間関係が一番なのは誰もが身にしみて感じていることだろうが、2択の状況では口にすべきではないと思った。
この発言は、「札幌には一緒に仕事をしたいと思える人材はいない」と言っているのに等しいので、札幌市とは軋轢ができてしまいましたね。
北広島を「ボー���パーク」タウンにするには新駅の建設を含めてまだまだ長い年月がかかる。
順調に発展していくことを願って陰ながら応援したい。
札幌ドームには行ったことがあるので、新球場 "ES CON FIELD" にもいつか行きたい。
投稿元:
レビューを見る
さすが鈴木忠平。単なる球場建設の話(いろいろモメてはいましたが)を、ストーリー構成、人物描写を巧みに描くことで、感動作に仕上がってました。札幌市の高飛車な態度が北広島移転の原因なんでしょうけど、そこはあえて掘り下げず、札幌市もいろんな問題があって北広島に負けてしまったのはしょうがない、とオブラートに包んで上手に描いたのが、この本を下世話な作品にしなかった勝因かと考える。