意識高い系への痛烈な皮肉
2024/10/03 16:55
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ
見た目が爽やかだけど中身が伴わないイベントサークル代表の大学生、見栄えがする人材派遣会社(竹中先生の会社がモデルかな?)に就職したものの、そして最後はクラフトビールが置いてあってやDJも登場する銭湯の主人、彼輪を作者は意識高い系と一くくりにして揶揄う、とくに第4章の銭湯の主人には笑えるどころか、憎悪までいだいた、夕方のニュース番組にも客足が落ち込んでいる銭湯を立て直そうと若者が立ち上がったという構成をよく見る、そのたびに若者はそれで喜ぶだろうけど昔からそこに通っていたお年寄りたちはどうなるのよ、登場人物の一人、真鍋と同じように憤っていた。それって、何か違うんじゃないかと。それにしても沼田、お前、もっと頑張れよ、というか彼も本気出したらすごい奴と思わしていただけの意識高い系か
全世代への皮肉小説
2024/06/19 18:40
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投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
直木賞候補。
主人公は変わっていくものの、連作になっている。まさかの沼田が主役級で驚いた。
内容はかなりアイロニカルで、書かれているようなZ世代ではないものの、カルチャー、サブカルチャーへの対し方には自覚もありそわそわする。ただ、これをそうだそうだと満足げに読める人も合わせて皮肉ってるような感じもする。受賞となるかはわからないが面白い。
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
タワマン小説とか、なんのことか分からないけど、これが今の若者のリアルな感覚?
でも、どの時代でも意識高い人はいるし、口先だけの人もいるし、
結局は個人の問題だと思うけどね。
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【彼はなぜ、22歳にして窓際族を決め込んでいるのか? 】自分の可能性を知りすぎてしまった令和日本の「賢すぎる」若者たち。そんな「Z世代のリアル」を驚異の解像度で詳らかに。
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組織で「仕事」に取り組むとき。
例えば、組織に新たなメンバーを加える際。
意思決定者に承認を得ることは必須であり、その承認がどのような原則に基づくのか。
データやロジックのみで語れるものなら、承認者は不要とも言える。
そこの原則に、政治的正義、politically correctness、つまりデータでもロジックでも、本当の、正義でもないものが採用されるとき、世界は狂う。
誰か、ときの権力を掴んだもの、もの達の政治的な意図に、最大限阿ったもの、もの達が世の経済的利得、名声を獲得する。
つまり「正しさ」や「美しさ」は、政治に押し潰される。
そうして、阿り、結果して、押し潰す側となった人たちは、ただ目端が効いているだけで、阿り、世を偏らせ、住みづらいものにしていることには、無頓着だが、なかには途中から気持ち悪さに居心地の悪い思いを抱えるものも後をたたない。
「平和」や「平等」を80年以上謳歌し、混乱少なく過ごしてきた日本社会が、それゆえの歪みを抱え、軋んでいることを感じた。
沼田氏の描写は、太宰治さんの作品の登場人物を想い起こさせるものだった。
「結局そうして今も、就活で人事部に喜ばれそうな、意識の高い仲間たちと一緒に、チームワークを大事にしながら、ビジネスごっこをしているだけなんじゃないか?」
p28
「人生に対して真面目な人のほうが道徳的に優れているとか、経済的に成功に近いとか、そんなことは関係ないのだろう。むしろ自分の意思とは関係なく誰か賢い人の意見に全ベットするとか、思ってもないことを言うとか、そういうことができる器用な人のほうが、人生をうまく進められるんじゃないか。」
p40
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タイトルにひかれて購入。気付けば全部読んでしまっていました。
こういう人たち居るよねって思うところもあれば、自分はどうなんだろうって色々考えさせられました。
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これが「タワマン文学」ってやつ……なのか?!
帯にあった「Z世代の取扱説明書」はちょっと違うかな
「こじらせ男子沼田くんとそれを取り巻くZ世代の若者たちの物語」って感じ
沼田くんの愛の物語
前作のタワマンは雰囲気ちょっと違うようなのでそっちも読みたいな
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前作的な空気感を期待して読んだが、作者が違うのか?と思うほど、作風が違う。また、現代のお仕事小説的なノリでいつ、盛り上がるのか?と待っているうちに、終わってしまった。正直今作は全く響かず、良さが見つけられなかった。
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SNSに投稿していた“タワマン小説”が話題になりデビューした著者の新作。平成28年から令和5年までの間に沼田というキャラクターと関わった4人の視点で描かれる、宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』と似た構造の連作短編集。ただし読後感は真逆。それぞれの登場人物が抱える葛藤や辿る結末はどれも苦く、何より冷笑的で飄々と人生を渡り歩くかに思われた沼田でさえもああいう着地になるとは。ある意味で非常に残酷な物語。現代的な価値観の中で幸せを見出そうともがき苦しんで散った若者たちの鎮魂歌なのかもしれない。個人的には大学のサークル時代を描いた1本目が、ちょうど意識高い系ブームの頃に大学生だった世代ということもあって刺さった。ちなみに帯には「<何を考えているのかわからない>Z世代の取扱説明書」というキャッチコピーが踊っているが、これを読んだとてZ世代の若者と良い感じに付き合えるかどうかは不明だと思うw
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ペラい
話題性重視というか…
Twitterのインフルエンサーが著者の小説は、内実伴わないことが多いような
キャッチーな要素や環境がふんだんで、Z世代ってこんな感じなんですか?というある種の学びはあるが
一瞬で読み終えてしまった
読後の満足感に乏しい
消費されるための本というか…
若者には刺さるのだろうか?
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タワマン文学という簡単に括られた前作よりも、哲学的で面白い。
著者のペンネームで、現代社会を揶揄する言葉・麻布競馬場。つまり、自由でみんな動いているようで、資本主義という競馬場をグルグル周回・競争させられている感じがとてもうまく描けている。
単にヒアリングを重ねた解像度の深さかなと。
『なんとなくクリスタル』があのバブル時代にヒットした感じに近しいと思う。
タワマンより庶民派に近づいた内容で、非常にわかりみが深い。
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元ネタがわかる露骨な描写、揶揄するために単純化された人物、記号的な出番のみの多くのモブに満たされ、浅薄な印象。
SNSに氾濫するキラキラした「正解」と、それを斜めに受け取ること、そのどちらも風刺する暗さ。
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麻布競馬場さんが書く「就活」、そしてその後の人生。
前作のような展開を期待して絶対におもしろいだろうと思って読んだのだけど、文体や作風もがらっと異なるように感じられた。
平成28年、平成31年、令和4年、令和5年、時系列で綴られる四つの連作短篇から成っているのだけれど、語り手(主人公)が毎話ちがうので人生ゲーム要素を感じられなかった。
意識高い大学生集団をシニカルに描いた第一話は良かったのだけど、その後に続くだろうと思われる主題が曖昧なまま終わってしまった。ビジネスシーンのディティールばかりやたら細かく、情景描写や起承転結が圧倒的に物足りなかった……。
沼田、という癖のある男性がキーパーソンらしく共通して姿を現しているのだけど、彼の人物造形もいまいちピンとこず、ただ不気味なだけの印象に終始したのが残念。
令和の時代では、沼田のようにほどよく&要領よく手を抜きながら働くのが正解な働き方ということだろうか。それはきっとその通りなのだろうけれど。
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Z世代、意識高い系。今の十代後半から二十代の若者たちのことか。
高学歴で高スペックなのにどことなく薄っぺらい。従順で温厚で体温の低そうな彼らを知るための仕様書のような。
沼田という一人の捉えどころのないオトコとかかわることで人生が動いていく若者たち。
結局沼田って何者だったんだろう。一章ごとに変化する沼田の印象。嫌悪したり、同調したりしつつ、少しづつプラスが増えていった暁のラスト。
このもやもやは、自分の中の沼田成分への嫌悪なのか。そうなのか。
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意識高い系と言われる若者たちを描いたビジネス書的でもあり、社会を風刺しているような純文学性、タワマン文学/Twitter文学とも名付けられ、ジャンルが定まっていない新しいタイプの小説だった。
沼田が、吉原や寛人に寄せる特別な執着・思い、異なる4人の主人公からなる短編を通じて沼田の人生を描いている小説性が1番好きなところ。
優秀で、吉原のような人のためにはハードワークも厭わず働き続ける、そんな沼田はこのままでいいのか、、?と可哀想になってくる。