- 販売開始日: 2011/09/02
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-124710-6
孤剣―用心棒日月抄―
著者 藤沢周平 (著)
藩主毒殺の陰謀の証拠書類をもって姿を消した恐るべき剣鬼がいる。藩取り潰しを目論み、公儀隠密も暗躍する。お家の危機を救うべく、密命を帯びて青江又八郎ふたたび脱藩、江戸へ。頼...
孤剣―用心棒日月抄―
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商品説明
藩主毒殺の陰謀の証拠書類をもって姿を消した恐るべき剣鬼がいる。藩取り潰しを目論み、公儀隠密も暗躍する。お家の危機を救うべく、密命を帯びて青江又八郎ふたたび脱藩、江戸へ。頼むは身一つ剣一つ。用心棒稼業に糊口をしのぐ又八郎を待ち受ける三つどもえの死闘。
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藩主毒殺に関わる文書を巡る争奪戦。文書を持つ大富静馬。それを狙う大富家老一味と公儀隠密。文書奪還の密命を帯び用心棒で糊口を凌ぐ青江又八郎の、孤独の闘いが始まる。
2010/07/28 18:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
【あらすじ】
間宮中老の召還により国に戻った青江又八郎は、大富家老と侍医村島による藩主毒殺の証言をし、旧録の馬廻り組百石に戻され、祖母と許婚由亀と暮らし始めた。
ところが藩に異常事態が起こった。大富家の処分を終えたものの、藩主毒殺の企てに加わった一味を処分するための連判状と手紙類、大富の日記が消えていたのである。
その書類一切を持ち出した者は大富静馬。大富家老の甥にあたる。彼は脱藩の際、襲ってきた公儀隠密を斬っていた。
大富静馬の持ち出した藩主毒殺を証拠立てる書類一切が、公儀隠密の手に落ちれば、藩の取りつぶしは必定。
藩政を掌握した間宮中老は、いまだ蠢動する大富家老一味の目を欺くため、又八郎に再び脱藩と書類の奪還を命じた。
少ない当座の金を渡されたのみで仕送りはなし。静馬捜索の藩の支援もない。
又八郎は、江戸で再び暮らしを立てるため用心棒となる一方、大富静馬と書類を狙う大富家老一味、公儀隠密との孤独の闘いを始めた。
【書評】
用心棒日月抄シリーズ第二弾。
前作「用心棒日月抄」で、国に帰藩を果たし旧録に戻された青江又八郎だったが、一安心したのも束の間、本作品で再び脱藩者として、江戸に舞い戻ることになる。
本作品では、前回につづき又八郎に厳しい境遇が与えられる。
藩命でありながら間宮中老からの支援は一切なし。自力で暮らしを立てなければならず、藩主毒殺の証拠書類を狙うのは、又八郎の他に、藩主毒殺と関わった証拠消したい大富家老一味と、藩の落ち度を掴みたい公儀隠密。そして書類を持つのは東軍流の剣客大富静馬。
またしても用心棒で稼ぐ羽目になりながら、孤立無援の状況でいかにして書類を奪還するのか。
この本流とともに、例のごとく、全八話に変わり種の用心棒稼業が描かれている。
前作での忠臣蔵が関係してくるような趣向はないものの、随所に見られるユーモアは健在。
長い間の用心棒稼業で疑り深くなった又八郎と、書類奪還を命じておきながら一切支援をしない間宮中老との掛け合いに始まり、変わり種の用心棒を斡旋する口入れ屋吉蔵、用心棒仲間の細谷源太夫らのコミカルな交流が楽しめる。
さらに吉蔵の口入れ屋に新しくやってきた貧相な風貌の米坂が用心棒仲間に加わり、前作で国へ帰還する又八郎を襲った女刺客佐知が、動きのままならない又八郎の密命を助け、交情を深めるという、新しい登場人物の活躍もある。
そういう訳で、前作同様、夢中になって読み終えることができる作品だが、次はいったいどういう『災難』で用心棒に舞い戻るのか、意地悪な気持ちで第三弾「刺客―用心棒日月抄」に手が伸びている。
ところで巻末に、『藤沢周平の文体』と題して向井敏氏の解説が掲載されている。
剣客小説において、藤沢周平の張りつめたような端正で切れの良い文体が、いかに望ましいかを述べているが、転じて、この用心棒日月抄シリーズで試みられた、のびやかで柔軟な描法の結実を語り、例文を用いたそれらの丁寧な解説がとても印象に残る。藤沢作品の面白さの一端を窺える解説である。
そういう向井氏の解説は、淀みなく流れる川のように自然で、一つの読み物として受け入れられるのは、向井氏が『文章読本(文春文庫)』で文章の表現をまとめていることと、無関係ではないだろう。
自分もこういう文章が書けるようになりたいものである。
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第一弾:用心棒日月抄
第二弾:孤剣―用心棒日月抄
第三弾:刺客―用心棒日月抄
第四弾:凶刃―用心棒日月抄
孤剣 用心棒日月抄
2022/09/02 20:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作の最後に出て来た大富静馬との戦いが描かれている。
壊滅させたはずの大富派とつながっている国許の勢力なども登場し、青江は再び脱藩して江戸に出る。各話ごとの用心棒家業と、全編通しての静馬との戦いも面白い。
由亀が好きだ
2018/02/21 20:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暇ではいけないはずの誰か - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作より緊迫した展開が続き、緊張感をもって読むことができた。
こういうミステリ要素も上手いなぁ。
さて、このシリーズの解説ではしきりと佐知の良さに触れられている。
しかし、私は由亀に強く惹かれてしまう。
実の父を斬った許婚と、父が死に際に残した言葉をひたすら信じ、縁談をかたっぱしから断わり、20になっても許婚である又八郎を待ち続ける。なんといじらしいのだ...
それに、ようやく手に入った日常が、又八郎に下された密命によってまた壊れるとなったときも、その夜こそ感情を露わにするが、翌日には、妻として家を守る覚悟を決めている。又八郎には危険が待ち受けていると薄々気が付いているのに、である。
当時の時代背景を考慮しても、彼女のメンタリティは驚嘆に値するのではないだろうか。
そんなわけで、このシリーズを通して、私は由亀をずっと応援している。
誰か同じ思いの者はいないだろうか。
藤沢さんの用心棒シリーズ、第二弾
2007/09/26 18:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご存知、浪人青江又八郎を主人公とした、用心棒日月抄シリーズの第二作です。
前作で、藩主毒殺の陰謀を巡るお家騒動は、
藩政の主流派の交替劇もあり、一応解決したのですが、
粛清された大富一派の大富静馬が、(恐らく)陰謀にかかわった、
連名の血判状を手に、江戸に逃亡します。
これが幕府公儀隠密の手に渡っては、御家の一大事と青江又八郎が
またもや、浪人に身をやつし、大富静馬の後を追います。
というのが、バックボーンの設定で、
またもや、青江又八郎の江戸での浪人生活が始まります。
前作からの、いつものメンバー、口入れ屋の吉蔵に、浪人仲間の細谷、
に加えて、浪人仲間に痩身でちょっと頼りなさげな米坂、
国許からの謎の女忍、佐知なんかも登場してきます。
前作の用心棒日月抄が、ヒットしたので、
「先生また、一つ、、、、」と編集者に言われ、浪人生活を余儀なくされる、
青江又八郎が不憫!?。
前作は、なにやら、不穏で不可解な動きがあると、
忠臣蔵関係の集団がバックにいるとなっていたのですが、
今回は、忠臣蔵はもうつかえないので、前作以上に国許からのしがらみ、
刺客、などが、又八郎の身に迫ってきます。
全体の雰囲気は、前作と全く同じで、
藤沢さんの作風としては、ふり幅をめいっぱいエンタメに振った感じで
ユーモラスなところも、あったりします。
総じて安心して、プロの作家の仕事に身を任せて読んでいけます。
毎日、それこそ、米びつを覗き込み、お金を数えながら
生活する又八郎とともに、江戸での用心棒稼業の金銭感覚も
身についてきました。
用心棒の手当てですが、一日、二分だといいほうみたいです。
二日で一両になる、一両になると又八郎はよく言っています。
(やっぱり小判になると、違う!?)
この二分をめぐって、壮絶な駆け引きがよく展開されます。
前作では、許婚の敵討ちなく、簡単に帰国となり
興醒めと書きましたが、
今回は、ちゃんとラストに静馬との一大決戦がありますよ
乞ご期待。
くノ一との
2025/02/02 10:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻は主人公の脱藩に赤穂浪士 忠臣蔵の話を交えて大変に凝った構成であったが、本巻は真っ直ぐな構成になっている。その代わり、くノ一の「佐知」との交流の描写に力が入っている。たしかに魅力的な人物像が描き出されている。それに引き換え、国元で留守を守る妻の由亀の存在があまり言及されないだけになお一層哀れである。
孤剣
2020/02/19 19:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
登場人物の姿を見、声を聴いているような臨場感がありました。何とも言えない端整な文章で、今でも大人気であることに納得しました。