国盗り物語(二)(新潮文庫)
著者 司馬遼太郎
気運(しお)が来るまで気長く待ちつつ準備する者が智者。気運が来るや、それをつかんでひと息に駆けあがる者が英雄。──それが庄九郎の信念であった。そして庄九郎こそ、智者であり...
国盗り物語(二)(新潮文庫)
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商品説明
気運(しお)が来るまで気長く待ちつつ準備する者が智者。気運が来るや、それをつかんでひと息に駆けあがる者が英雄。──それが庄九郎の信念であった。そして庄九郎こそ、智者であり英雄だった。内紛と侵略に明け暮れる美濃ノ国には英雄の出現を翹望(ぎょうぼう)する気運が満ちていた。“蝮(まむし)”の異名にふさわしく、周到に執拗に自らの勢力を拡大し、ついに美濃の太守となった斎藤道三の生涯。
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斎藤道三はいい蝮だったのか
2020/06/24 17:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫版で4冊となっている長編歴史小説の2巻め、「斎藤道三 後篇」である。
最初に断っておくと、新潮文庫版で1、2巻が「斎藤道三」で3、4巻が「織田信長」となっているが、この2巻めで斎藤道三が姿を消す訳ではない。
この巻でようやく幼いうつけ者信長が登場し、道三の娘である帰蝶の婚礼が整う前夜あたりまでが描かれているから、このあともまだ道三は描かれることになる。
司馬遼太郎さんはこの長い物語を雑誌に連載するに際して、道三のことを「妙な人物をかく」と記した。続けて、「奇人ではない。どこにでもいる。われわれの性根の内部にもいる」と書いた。
この巻では、自分の主人であった国守土岐頼芸を美濃の国から追いやる「蝮」の道三の姿を描いているが、そういう悪のような部分も「われわれ」の内部にあると司馬さんは見ていたのかもしれない。
さらにいえば、この歴史小説の合間に「斎藤道三という苛烈な「悪人屋」を書こうとしたのは、自分へのけいべつから出発しているらしい」と、自身の内情まで吐露している。
斎藤道三には悪だけではない、人間としての魅力が濃厚にある。
斎藤道三という人物が面白いのは、彼ひとりではなく、彼の「国盗り」がふたりの「弟子」によって引き継がれていく点にもある。
ふたりの「弟子」。すなわち娘婿の織田信長と、道三の妻の甥の明智光秀である。
この二人がその未来においてどう交わるか歴史の事実として知っている読者にとって、わくわくしないはずはない。
いずれにいても、この巻ではまだ道三は生きている。
道三
2020/05/24 05:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
所謂二人道三説が主流になる前の古い時代の小説だから一人説なのは仕方がない。信長との対面や道三の最後など読みどころは沢山ある。