律令国家と隋唐文明
著者 大津透
中国の王朝が隋から唐へと移り,朝鮮半島から戦火が迫る.古代日本の律令国家は,そうした極度の軍事的緊張のなかから生まれた.国土防衛と権力集中への模索から,海を介した人々の知...
律令国家と隋唐文明
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商品説明
中国の王朝が隋から唐へと移り,朝鮮半島から戦火が迫る.古代日本の律令国家は,そうした極度の軍事的緊張のなかから生まれた.国土防衛と権力集中への模索から,海を介した人々の知的交流,制度にとどまらない文明の継受によって,独自の国制を築く過程を描き出す.東アジアを舞台とした,「日本」誕生のドキュメント.
目次
- はじめに――鬼ノ城にて
- 第一章 遣隋使と天皇号
- 第二章 東アジアの緊張のなかでの権力集中
- 第三章 律令制の形成と「日本」
- 第四章 固有法としての律令法
- 第五章 官僚制と天皇
- 第六章 帰化人と知識・技術
- 第七章 吉備真備と「礼」
- 第八章 鑑真来日と唐風化の時代
- おわりに
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663年の白村江での敗戦の後、緊迫した国際状況の中で権力集中を目指して律令国家が生まれるプロセスを描いた「日本誕生の物語」
2020/03/27 20:30
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
東アジアの政治・軍事ダイナミズムのなかで誕生した「日本」。当時の未開な氏族制社会に中国から律令制という文明を接ぎ木し、それがこの国でどのように根付き、それがどのように国を変えたか。実に歯応え読み応えあり。著者は、大化の改新の主体が孝徳天皇だったととらえ、唐の圧力に対抗するため朝鮮三国と共通する国家機構をつくる試みだったとみる。しかし唐に対する方針は定まらず白村江の戦いに至る。200ページ強と新書としては平均的な分量だが、歯応え十分で中身は濃い。激動する東アジアの国際情勢がいかに古代日本の針路に影響を与えたかを改めて教えてくれる一冊。
古代国家を対外関係から探る
2020/09/06 14:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代日本に中国の影響を受けて成立した律令制や、日本に持ち込まれた文明を、隋・唐という中国の国家、朝鮮半島での緊張関係の中での交流から解き明かす。
思っていたよりも読みやすかった
古代日本の唐風化
2020/07/23 11:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
7世紀から8世紀にかけての律令制の形成や展開を、唐風化の視点で解説。礼における吉備真備、仏教の鑑真を大きく取り上げているのが印象的だった。従来から注目されている9世紀後半の貞観期に画期を認め、その後の10世紀こそ「古典的国制」と呼ぶのに相応しいとの展望を示す。唐風化を目指しながら、古代日本は貴族制に帰着することになる。
黎明期に光を当てる
2020/07/02 17:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が国家としての形を成してきた時代の、唐隋の影響の大きさが伺えます。学問としての歴史が軽んじられている、現代への鋭い指摘もありました。
熱き留学生
2020/04/02 18:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
飛鳥・奈良時代に国を安定させるため、命を賭して隋唐で政治・文化を学んできた留学生の状況が理解できた。それにより、日本式の律令制度ができた。特に吉備真備の執念・行動力は尊敬以上に値する。
今の政治家・官僚は少しでも見習ってほしい。