663年の白村江での敗戦の後、緊迫した国際状況の中で権力集中を目指して律令国家が生まれるプロセスを描いた「日本誕生の物語」
2020/03/27 20:30
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
東アジアの政治・軍事ダイナミズムのなかで誕生した「日本」。当時の未開な氏族制社会に中国から律令制という文明を接ぎ木し、それがこの国でどのように根付き、それがどのように国を変えたか。実に歯応え読み応えあり。著者は、大化の改新の主体が孝徳天皇だったととらえ、唐の圧力に対抗するため朝鮮三国と共通する国家機構をつくる試みだったとみる。しかし唐に対する方針は定まらず白村江の戦いに至る。200ページ強と新書としては平均的な分量だが、歯応え十分で中身は濃い。激動する東アジアの国際情勢がいかに古代日本の針路に影響を与えたかを改めて教えてくれる一冊。
古代国家を対外関係から探る
2020/09/06 14:29
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投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代日本に中国の影響を受けて成立した律令制や、日本に持ち込まれた文明を、隋・唐という中国の国家、朝鮮半島での緊張関係の中での交流から解き明かす。
思っていたよりも読みやすかった
古代日本の唐風化
2020/07/23 11:38
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投稿者:K2 - この投稿者のレビュー一覧を見る
7世紀から8世紀にかけての律令制の形成や展開を、唐風化の視点で解説。礼における吉備真備、仏教の鑑真を大きく取り上げているのが印象的だった。従来から注目されている9世紀後半の貞観期に画期を認め、その後の10世紀こそ「古典的国制」と呼ぶのに相応しいとの展望を示す。唐風化を目指しながら、古代日本は貴族制に帰着することになる。
黎明期に光を当てる
2020/07/02 17:35
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が国家としての形を成してきた時代の、唐隋の影響の大きさが伺えます。学問としての歴史が軽んじられている、現代への鋭い指摘もありました。
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投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
飛鳥・奈良時代に国を安定させるため、命を賭して隋唐で政治・文化を学んできた留学生の状況が理解できた。それにより、日本式の律令制度ができた。特に吉備真備の執念・行動力は尊敬以上に値する。
今の政治家・官僚は少しでも見習ってほしい。
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<目次>
はじめに
第1章 遣隋使と天皇号
第2章 東アジアの緊張のなかでの権力闘争
第3章 律令制の形成と「日本」
第4章 固有法としての律令法
第5章 官僚制と天皇
第6章 帰化人と知識・技術
第7章 吉備真備と「礼」
第8章 鑑真来日と唐風化の時代
おわりに
<内容>
タイトル以上に7世紀から8世紀の日本史を最新の知識でまとめた内容となっている。特に近年の東アジア史の中の日本、という感じがよく出ている。
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飛鳥時代から奈良時代に至る6世紀-8世紀に成立したとされる大和朝廷による律令制度、これを隋や唐という律令の規範に照らし合わせながら、その導入に至る経緯や国際情勢について時代を追う形で確認していく。次第に明らかになっていくその全体像が至る形は、唐風様式の受入れとその継続というものだった。
そして律令制度は形を変え意味合いを変えて、それでも形式上は廃止されることなく明治維新を迎えることになるのである。
これは、例えば天皇の即位にあたっても、江戸時代最後の孝明天皇までは唐風の装束で、つまり中国式の衣装で即位の式典が執り行われてきたことの背景である。
今、天皇の即位にあたって、「古式ゆかしい」衣冠束帯を身に着けた儀式が紹介されるのだが、実は本当のところは江戸時代まではそんなものは着ておらず、中国の服を着ていたのである。これが真の伝統と言えるだろう。
隋と唐、そして律令のなんという影響力だろうか。
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奈良時代について、つい政治史などに目が行ってしまうのだが、このような制度史的な部分はやはり重要。なるほどと思わせる部分多々。歴史はいろいろな面から見ないといけないと改めて思った。
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さすがは古代史の大家、と思わせてくれる重厚な新書。しっかり、たの研究者の説などをわかるように示してくれているのが非常にありがたい。かつ、鬼ノ城や吉備真備など、岡山愛が感じられるのも新書らしくて良い。隋唐といいつつも、特に唐の文化が日本に与えた影響というのは、やはりとても大きかったのだなと改めて考えさせてくれた。
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日本古代の律令国家形成を、隋唐文明との関わりから著述しています。時代は遣隋使が派遣された推古朝から、中国の礼が継受されて儀礼が整う弘仁・貞観期までを扱っており、途中で律令制の概説(官僚制や戸籍・民衆支配など)を挟んでいます。
帰化人が国家建設に果たした役割や、吉備真備や鑑真ら海を渡った人々の功績が、それぞれ章を立てて解説されているところが印象的です。やはり古代史、律令国家は面白いと思わせる一冊です。
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タイトルの通り、律令国家成立に至る過程を、中国を中心とする東アジア情勢との関連の中で解き明かしていく。資料や先行学説の紹介もきめ細かく、古代史研究の最前線に触れることができる、充実の一冊である。
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日本の奈良時代、大陸に遣唐使を送ることによって唐の最新の優れた支配体制を学び、それが律令制という形で結実する事になる、その変遷を史料を追いながら解説した本。難しい漢字が多数出てきて読めない事もあり、自分には少し難解に感じた。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou29001.html
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20200818-0829 大和朝廷の成立、壬申の乱から天平時代、平城京に至るまで、隋唐の影響は大きかったことを再認識させられた。
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遣隋使を派遣することになる緊迫の東アジア情勢から書き起こされ、隋唐文明を一通り受容し律令国家として基礎が固まる嵯峨天皇あたりまでを一気に解説します。コンパクトですが安易な部分はありません。「倭」ではなく「日本」を国号として認めさせる場面は日本が志高い青年に思えます。遣唐使が求めたものは珍品装飾品の類ではなく万巻の書物でした。必死に外国人を受け入れ、高僧鑑真を招聘する姿に「坂の上の雲」を目指す日本人が重なりました。中国の歴史ドラマを見ていると玄宗皇帝が日本に暦を下賜したと言っています。吉備真備が持ち帰り、藤原仲麻呂が施行した「大衍暦」でした。当時最先端のテクノロジーですね。
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国郡里制や条里制について知りたかったので期待と異なる内容だったが、知らない事ばかりで興味深く読めた。特に平安以前の日本政府がこんなにも外交を活発に行っていたとは全く想像外だった。