紙の本
老若男女、たくさんの人に読んでもらいたい作品
2023/09/28 16:14
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:302 - この投稿者のレビュー一覧を見る
盗撮や児童ポルノ等のニュースが毎日流れるなか、以前からモヤモヤしていたことを改めて考えさせられた。
誰かを傷つけることや法をおかすことは確かにやってはならないこと。
でも、根本にある性癖や性嗜好を否定するのは違うのではないか?異常性癖、性嗜好異常といわれているが、「異常」「正常」は誰が決めたのか?
多様性が叫ばれる現代で、矛盾しているんじゃないか?
誰もが自分は「正常」「普通」と思っていたり思い込んでいるけれど、そうではないんだということ。その価値観を他人に押し付けず、正常か異常かのどちらかだと決めつけず、「そういう人もいるのか」「そういう考えもあるのか」とただ認めること。それができたら、少しは生きやすくなるのではないか。
知らなかったことや、印象的な文章もたくさんあり、今読んで本当に良かった。これからどんな世の中になっていくかわからないけれど、何十年か経って読んでみると違う捉え方になるんだろうなと思う。
電子書籍
生きづらさ
2023/10/14 23:59
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投稿者:よこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
難しいテーマでした。
「多様性」「繋がり」正当で聞こえの良い言葉。
その意味は個人によりけり。
無理に理解する必要はないけど、無関心はまた違うなぁと。
同じ時代に生きる人たちが生きやすい世界になりますように。隣にいる人に優しくあれますように。
映画化が楽しみです。
紙の本
わからない
2023/06/12 19:01
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投稿者:ママさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
多様性って何なのだろうって考えてしまいました。
レインボーの性の多様性だけを考えていましたが、あぁ、違うのではないか、と。
とても難しい、近くにいる人でも理解してあげられないかもしれない、自分がそうなのかもしれないと悩んでしまう小説でした。
紙の本
繋属と分断
2023/08/09 00:32
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝井リョウ×多様性の組み合わせで、
本屋大賞にもノミネートした作品ということで、
ちょっと切り口に期待しすぎたかも。
多様性を目指す社会が
分断を産むという視点は
そんなに目新しい感じはしないし、
いろいろと現実にある要素をとりこんだわりには、
どのエピソードもこれといったエンディングはなく。
もっと「何者」のときのような
これまで立っていると思っていた場所がごっそりなくなるような、
そんな読書体験を期待してしまっていた。
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自分の想像の範囲を超えることができないなら、安易に相手を理解しようなんて事は言えないのか、いや、それは考えること自体放棄してないか。なんてことがぐるぐる頭の中で回り整理がつかない。まだ時間はかかりそうだ。
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うわー、問題作ー!!
というのが読後の素直な感想
どんな反応をしたらいいのか難しい
終わり方も放り出された感じで
この後の登場人物がどのような世界で生きていくことになるのか…
映画化するんだよね
難しいテーマなのでどういう反応になるんだろうか
朝井リョウさんは今まで読後に「やっぱりそんな好きじゃないなぁ」と思うことが多かったけれど
今回は「嫌いではないけれど…」というくらい
尖り方が私には刺さらない作家さんなのかもしれない
もしくは刺さりすぎて気持ち悪いのか…
でも今回の作品は一気読みしてしまった
途中で読み止めるのが辛かった
「多様性」という言葉
その言葉について登場人物の一人は思う
「多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ」
世の中の主流の人に許されるマイナーと、許されないマイナー
結局世間は「明るく」「正しい」という人が作っているんだという現実
『多様性を認めよう』という言葉に深く傷ついている人がいるということを思うと世界の深さ、広さに呆然としてしまう
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自分はこの正欲まっしぐらな人間で、それ故気付かないうちに他人を傷つけているのではないかと思ってしまう作品でした。
ただそんな自分を今更変えられないし、変えようとも思いませんが、発言や行動には気を付けたいと思います。
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息子が不登校になった検事の啓喜。容姿にコンプレックスを持ち、兄の部屋を覗いた事で男性恐怖症になった女子大生の八重子。水にしか欲情できない夏月。この3人を中心に、それぞれの物語が進む中で児童ポルノ発覚という事件に繋がっていくお話。
稲垣吾郎ちゃんが映画に出演するということで読んでみる。啓喜役かな?常識的パパという感じ。
「正」しい性「欲」について、多様性について、色々考えさせられた。以下、ダラダラと感想。
とりあえず、水フェチの3人が意味不明。
正直、3人が何故そんなに他人と距離をとっているのか?という疑問がずっとあって。水にしか欲情しないという事が、周囲とそこまで距離とらなきゃいけない事?友達になるのに、そんなプライベートな心の内まで話さないとダメなん?とか、めちゃくちゃひっかっかてしまった。友情でも恋愛でも、人との繋がりを性欲云々でしか考えられないのが、もうちょっと気持ち悪い。もっと他にも好きなものとか興味あるものとかあるやろ!っていうね。
水の動画くらい、自分の家で撮れば良くない?もちろん公園でも良いけど。なんでわざわざ小学生のyoutuberにやらせようとするの?しかもコメントが危ないって気づいてるなら、注意してやれよ、大人なんだから。そんなことする義務も義理もないのはわかってるんだけど、その辺が好感も共感もできない一因なのよ。
夏月にしても(仕事場での人間関係のウザさはともかく)そんなに親との関係に悩むくらいなら、さっさと実家でて自立すれば?とかね。彼女は佳道と再会して夫婦として前向きになったし、大学生の大也くんも八重子との会話で成長できる?な最後になってたから、まぁ良いんだけども。
そこまでが長くてイライラしちゃったよ。八重子がハッキリ反論してくれて、やっとスッキリした。現実問題、彼女の抱えてる悩みの方が大変よ?比べるものではない、というのも重々承知してますが。
その後の展開は、3人にとって不運だった。朝井さん上手いなぁ。ドラマチックな展開になって、読者にとってやっと3人が肯定される立ち位置になったかな?
会社の上司の田吉。あのタイミングでの彼の証言、これまたお見事という感じ。彼の醜悪さが際立つ。3人が言うところの「多数派」の代表みたいな田吉。でもね、会社での行動や発言は、普通にパワハラでセクハラだから。全然多数派じゃないから。
他にも色々な角度から語れるような小説で、それはきっとよく出来た面白い物語なのだろうと思う。
いつもと違って小説世界に没入はできなかったけど。
それだけが残念だったかな。
映画、楽しみです。
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同じ雰囲気の作品を最近読んだような。。
凪良ゆうさんの流浪の月。
普通とは何か。
多様性とは何か。
本能とは何か。
正義とは何か。
愛とは何か。
このあたりのことを、改めて直視せざるを得なかった。
流浪の月は、じんわり、けれどずっしりくる感じ。
本作品、ロジカルに追いつれめられる感じ。
どちらも胃がぎゅっとなり辛くもありましたが、読む手が止まらないすばらしい作品でした。
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2023.9.5読了。
たまたまだけど、多様性に関する物語を続けて読んだ。最初はとっつきにくいかと思ったけど、どんどん引き込まれていった。
正しさとは。
見た目や性の対象に関する多様性が叫ばれるようになって久しいように思うけれど、本当の意味での多様性とは…。自分自身常に迷いながら生きている自覚はあれど、正しさに対するジャッジを自分の中の当たり前で下している中で、他者を傷つけている可能性。なくはない。夫や両親や兄妹、自分のこども。近しい間柄であっても本当の心のうちはその人にしかわからない。その人が何を考えているのか…。常に考えすぎると身動き取れなくなりそうだけど、傲慢で自分勝手な価値観を押し付けるのはやめよう。人の話を聞こう、そう思う。
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「自分は押しつけられている側だ」と思って読み進めていくうちに立ち位置が分からなくなる。
そして否応なしに気付かされる。
無意識に押しつけている自分の中にある正しさ。
それも時には無自覚に。
被害者ヅラしている自分と対峙して胸がザワザワした。
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多様性とは、と問いかけられる作品。結局人は自分の理解できる範疇内でしか理解できないんだよな、というのが最後まで読んだ感想。面白かったのだけど全編通して不穏な感じで、途中、なんとなく読むのがしんどくなってしまった。
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ジェンダーにLGBTQ、不登校、動画配信、フェティシズム、クレプトマニア…2020年代に入ってから特に社会問題として耳目を集めることが多い様々なトピックスがこれでもかとぶち込まれている、最近よく見るタイプの小説ではある。
旧態依然とした日本の社会制度の象徴たる存在としての検事、引きこもりの兄に屈託し自身のルックスにコンプレックスを抱く女子大生、平々凡々とした世の価値観に馴染めずすべての事象に対してアイロニカルで特異な性癖を持つ30歳手前の女性等々…それぞれの登場人物の立ち位置を巧みに書き分けあるいは重ね合わせ、普遍的な課題を炙り出し物語に組み込んでいく技術はさすがだ。
動画投稿サイトのコメント欄にコミュニケーションを隠れ蓑にしたフェティシズムが溢れている(?)、という病理構造は初めて知り、勉強になった。
「多様性とは、都合よく使える美しい言葉ではない。自分の想像力の限界を突き付けられる言葉のはずだ。時に吐き気を催し、時に目を瞑りたくなるほど、自分にとって都合の悪いものがすぐ傍で呼吸していることを思い知らされる言葉のはずだ。」
こんな表現で、まさに不都合を糊塗し実体のない綺麗事として濫用される"多様性"に我々が覚えている痛烈な違和感を、ものの見事に描写している。
ただ、プロットを形成する核心の1つである"水フェチ"に関しては、それが即反社会的な犯罪行為に直結するものではなく、人生に絶望する材料としては弱過ぎる…と感じられてしまうのが残念だった。
余談ながら、朝井リョウ氏が書く小説の登場人物には"桐"という漢字が名前に使われている人が多いように見受けられるが、これは如何に?
特に今作、"桐"に加え"夏"まで入った女性が出てくるのはさすがに本筋と関係ないところで気になるので、どこかで修正しても良かったんじゃないかと思う。
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2023/09/14読了
性的マイノリティについては、自分では理解ある方だと思ってた。 わりと最近、いわゆるLGBTをカミングアウトしてきた友人もいたが「みんな違ってみんないい」的な感じで嫌悪感を抱くこともなかった。でも、この本読んでなんか後頭部を思いっきり殴られたような衝撃受けた 知らなさすぎたし、少数派の人たちのこと、わかったつもりになってて、でも実は色んなこと誤解してたなって反省した。 大げさだけど人生観変わった気がする。
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正しい欲…正しい性…正欲であり性欲である。
但し、それ自体に正しいかそうでないかのジャッジをくだす必要はないし、自分にとっての正しい欲を他人にすべて晒す必要もない。
人が生命として存在するうえで不可欠なことは子孫を絶やさないということがあると思う。
人を人たらしめることのひとつとして命を後世に繋げるという役割から逃れることもできない。
と言う至極自然で極めて当たり前という前提で私たちは生きている。
(ここから先は誰かを傷付けたり、不愉快な思いにさせてしまうかもしれません。)
とは言え…生まれながらに耳が不自由であったり、足が不自由であったり、脳にある一定の特徴があったり、持病を抱えていたり…所謂〝普通〟の境界線ギリギリの場所に立っている人たちはたくさんいて、そして〝普通〟に立っている人たちは彼らに対して「優しく」あろうとする。
だけど、LGBTQに対してはまだまだ厳しい世界なのは否めない。
〝性〟に関わらない『自分と違う』ことに人は優しくなれるのに、それが〝性〟に関わることとなると途端に『自分と違う』ことに嫌悪を表す。
多分、それが私たちが本能的に持ち合わせている生存するための摂理に反しているからじゃないかと思う。
私は専門家ではないのでよく分からないけど。
生まれ持ったものであるなら変えようがない。
機械音痴に「エンジニアになりなさい」
手が不自由な人に「ピアニストになりなさい」
運動が苦手な人に「サッカー選手になりなさい」
とはなかなか言わないけれど〝性〟に関しては全員に同じ価値観を求めるのは突き詰めると不思議な気がする。
そこには『みんな違ってみんないい』は通じることはなく『まともではない』になる。
何に対して〝性欲〟を感じるのか。
今作はLGBTQが題材ではない。
そうではない、もっと複雑で〝普通〟の範疇を超えた場所にある孤独と葛藤が描かれている。
「正欲」はそれについて分かりやすく、かつ〝普通〟であることの傲慢さを教えてくれる。
だけど残念なことに解決策はなくて、ただ理解するにとどまる。
それでも理解するというだけでも大きな一歩のような気はしている。
と言うか…最近流行りの「多様性」という言葉。
〝普通である私〟が大前提にあって「私って〝そうでない人〟に寛容でしょ。」という究極の線引きに聞こえるのは私だけ?
今年の15冊目