紙の本
足利尊氏を主人公とした一代記
2023/06/26 21:57
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
足利尊氏を主人公とした一代記であるが、主人公を取り巻く弟・直義、足利氏家宰・高師直らの視点から主人公を描く形になっている。茫洋としたとらえようのない人物であったようだ。世間の欲望の上にぽっかりと浮かび上がる化身のようなものだという表現が作中にあるが、鎌倉幕府執権北条一門を滅ぼし、幕府を起こすために、直義や師直らにより神輿として担ぎ上げる人物としての主人公は、担ぎ上げてくれた人々を、内ゲバのような戦いの中で失い、自らは遅ればせながら自立していったようだ。室町幕府成立前後の世の流れが、よく理解できた。
紙の本
読みにくいのに引き込まれる
2023/12/03 10:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人物名が通り名など、歴史物特有のややこしさがあり、文章も分割表記で読みにくいな…と思った。
ところが!読み始めるとどんどん引き込まれて寝る間も惜しんで読みたくなる。
鎌倉幕府滅亡から室町幕府創立という、誰もが知っている時代背景たが、今までの尊氏像や一族に拘る武家の認識が一変する掘り下げ方。
是非、じっくりと読み耽ってほしい一冊。
紙の本
鎌倉末期から室町初期
2023/11/05 17:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
足利尊氏の一生を、弟直義と高師直の視点から語られる。
庶子に生まれ、家督から遠いところにいた尊氏が嫡兄の早逝で当主となり、後醍醐天皇の討幕行動に巻き込まれつつ転戦し、やがて室町幕府を樹立していきますが、その姿は無欲で何事も他人事で仕事のできないこ「極楽殿」として描かれています。
室町幕府はその成立頃から終始人間関係が複雑で、っていうか勢力図が目まぐるしく入れ替わり、煩雑だけど反面とても面白い。
紙の本
後半ダレた
2023/11/13 11:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
室町幕府を開くまでは面白かったんだけど。
その後は、ずっと内輪もめ。
描写も、史実にちょこっとフィクションを加えたくらいの感じで。
面白みがなかった。
電子書籍
長編でした…
2023/08/25 17:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さくら - この投稿者のレビュー一覧を見る
足利尊氏の人となり、足利幕府のありようが分かった気がする。尊氏と直義兄弟の境遇と才能が足利幕府を作った、鎌倉で幼少期を過ごした幼い兄弟が二人で成した征夷大将軍だった。
投稿元:
レビューを見る
足利家の側室の虚子の兄弟
兄はダメ弟は切れ者
中継ぎで跡取り候補になる
順番を守らないとまずいので兄が渋々足利家の長となる。
北条の傀儡幕府を潰そうと後醍醐天皇が兵を出す
尊氏が兵を出すと人を惹きつける能力が高い
弟直義は兄の支援にまわる
叔父師直もならう。従兄弟上杉もならう
反乱軍を叩くはずが天皇家から北条を潰せの勅命
寝返り成功。足利家は一役新幕府をたてるが後醍醐天皇が尊氏を征夷大将軍にしない
その後、高師直の勢力が増す
義直が取り巻きに煽られて軍を向けるが師直が数で圧倒する。煽った物を引き渡す要求するが流刑になった。
直義の養子の直冬。実父は尊氏が勢力を増す
九州をまとめて京都に向かう
師直は出家をする。丸腰の状態で仇討ちされ死ぬ
尊氏は南朝との戦いで忙しい
事務仕事を直義に押し付けた尊氏は南朝後醍醐天皇には甘い。戦わない
直義は病死
直冬は行方不明
投稿元:
レビューを見る
p88 御曹司とは、そもそも家督を継げない部屋住みの次男三男以下に使う言葉である
p158 八幡宮は、全国に群居する清和源氏の氏神だ
p297 人は勝っている時でなく、負けたときの態度によってその真価が問われる
p308 何事も命あっての物種である
p425 衰微した山内上杉家(憲房の関東管領家)から家督を譲られ、上杉政虎と改名し、さらに得度して謙信と名乗るようになる。上杉謙信である。これより二百数十年後の話だ
投稿元:
レビューを見る
尊氏、直義の兄弟関係を軸に、あらゆる立場の人々がそれぞれの道理で動いて、歴史が動いていく。
空っぽな世間、水と例えられる尊氏。義務、責任といったすべきことにとらわれ続ける直義、師直が泥沼にはまっていく様。
面白い。
投稿元:
レビューを見る
足利直義と、兄の尊氏の兄弟の歴史小説。
名前くらいしか知らず詳しくなかったが。この一冊を読んですっかり好きになってしまった。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見てたので、その後の時代の話なんだなと、想像しやすくて良かった。
後醍醐天皇のアグレッシブさに驚くわー。
そんでもって、政治って難しいんだな、と思った。
面白かったー。
垣根涼介さんの歴史小説は、非常に好きだわ。
投稿元:
レビューを見る
個人的にはよく分かっていなかった鎌倉時代の終焉から室町・南北朝の時代への歴史の流れが分かりやすかった。足利尊氏とその弟の足利直義、そして高師直を中心に、極楽殿と揶揄された尊氏が征夷大将軍として室町幕府を開いていく流れの中で、公家との関係や地頭・領主の動きが描かれ、応仁の乱から戦国へと進んでいく背景もしのばれた。
23-19
投稿元:
レビューを見る
自分の先々は、存外己の料簡では決められぬ。周りにいるすべての人々の思惑、時代の潮流、そのようなもので大方が決まる
人は皆、様々なものが絡み合う浮世の奔流に、絶えずあちらこちらに流されて行くものだ
総大将にとって最も大事な資質とは、その実質がどうであれ、配下のものや友軍の将に、絶対的な信をもたれることである。どんなに苦しい戦況に陥っても、総大将が必ずやたすけてくれることを信じて逃げずに踏ん張り抜くことができるからだ。
戦いは味方が一体化している方が最後には優勢になる
投稿元:
レビューを見る
時代物
足利兄弟こんな感じだったのか
ともあれどの将軍もカリスマ性ってあるんだよなと振り回される優秀な家臣たちもあるあるで、ドラマのようなお話
開いて4段組で読み応え充分
投稿元:
レビューを見る
最近の垣根涼介氏にとってはすっかりお家芸となった感のある時代物、今回焦点が当てられているのは室町幕府初代将軍の足利尊氏とその弟の直義。
うつけながらも不可思議なカリスマ性を持ち人心を惹き付ける兄と、あたかも怜悧なマシーンかの如く合理的かつ的確に実務を捌いていく弟のパーソナリティが見事に融合し、新しい幕政を創り出していくプロセスが鮮やかに綴られている。
いつも直義や有能な執事である高師直らの言うことを素直に聞き従うはずの尊氏が、弟が決死の窮地に陥っていることを知り血迷った挙句に独断でその命を救うべく出兵し、後に当人の直義が兄に激怒しつつも我知らず落涙してしまうというシーンは、間違いなく作半ばにおける大きなクライマックスである。
もちろん小説なので先述の兄弟の書き分けも含めすべてが著者の解釈の内という注釈はありながら、世俗の欲に塗れた後醍醐天皇の脂ぎったぬらぬら感や、楠木正成と新田義貞の器量の違い、そして南北朝の対立構図がまさに生まれゆく過程等がヴィヴィッドに描写されているあたりも、読み応え充分の見どころと言えよう。
ただ、史実を基底とする以上、無闇に端折ることができないという縛りがあるためか、単純に小説として長く、速いテンポで数多繰り返される小競り合いや戦の挿話が途中から単調かつ冗長に感じられるというきらいは否めない。
さらに、タイトルにもある尊氏の"極楽殿"ぶりを描き伝えるくだりが完全にパターン化してしまい、マンネリズムに陥っていることも確かである。
こちらも史実にある通り、物語の終盤に差し掛かり、まさしく表裏一体と称するのがふさわしかった兄弟の心がすれ違い、その距離が離れていくのは少し寂しい。
滑稽さすら漂わせつつここまで流れてきたストーリーが俄かに緊張を高めていく中、果たして著者はどう話を終わらせるのか…?
旧態依然とした政治のシステムを否定して破壊し、理想とする新しい仕組みを創造すべくもがいてきた足利ブラザーズや高ブラザーズも、結局のところ先達と同じ負のサイクルに嵌り、世は再び戦乱へと向かう。
互いの主張はこじれもつれ合い、争いが争いを呼んでますます深くなっていくが、それぞれの言い分や主張にはそれぞれの正義があり、善悪二元論で読者が判断できるようなものではない。
垣根氏は明確に意識してそのように書くことにより、諍いに囚われた人間というものの本質的な愚かさを描こうとしたのかもしれない。
短く乱暴に包むなら、"壮大な兄弟喧嘩"だったとも言えるこの物語は、色即是空の境地を我々に示し、幕を下ろした。
蛇足ながら、垣根氏は今作で直木賞を受賞されているが、候補になった2作含め他の過去作品の方がふさわしかった…と個人的には感じる。
「我らに出来るのは、その一分ほどの裁量の中で、出来る限りのことを為すだけなのだ」
「怒りとは、そして不満とは、すなわち煩悩に基づく。(中略)悲しいことに人の多くは、それなくしては生きられない。浮世に生きるべき道標を見つけられない。(中略)
欲望が、この世を激しく突き動かしている。水平線の彼方まで今まさに盛り上がりつつある高潮が、���たしても此岸に押し寄せ、すべてのものを洗い尽くそうとしている。
直義はその激浪が押し寄せてきた瞬間に、尊氏という波をも同調させようとしているー。」
投稿元:
レビューを見る
できるなら初めからやってほしかった高氏くん、
それでも何故か人望あるのが眩しくて誇らしかったんだろうな。
そこで妬んだり嫌ったりできず自分が支えなきゃと
思っちゃったのが運の尽きといいますか・・
器用貧乏のケがあるのでつい直義くんに思い入れてしまう。
投稿元:
レビューを見る
足利尊氏,直義,高師直の三人による足利幕府を作る物語.
直義,師直に担がれて人たらしの空っぽ高氏の在り様が語られ,史実に沿いながらも直義の心情に深く切り込んでいく様は読み応えがあった.
主軸ではないが,後醍醐天皇の人を蔑ろにする様に怒りを感じ,楠木一党の末路を思うとしみじみ悲しい.