読割 50
電子書籍
【期間限定価格】球形の季節(新潮文庫)
著者 恩田陸
四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじな...
【期間限定価格】球形の季節(新潮文庫)
球形の季節(新潮文庫)
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球形の季節 (新潮文庫)
商品説明
四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた……。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した! 新鋭の学園モダンホラー。
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紙の本
閉じ込められた少年少女たち
2020/10/16 14:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
周囲を山や川で囲まれた、架空の地方都市・I市の閉塞感が伝わってきます。子供から大人へと生まれ変わる、高校生たちの不安と期待にも重なりました。
紙の本
彼らの選ぶ道は何なのか
2010/08/17 02:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:依空 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで読んだ恩田さんの作品同様、独特の雰囲気を持っている1冊です。
谷津の町の設定や情景描写がしっかりと書かれているので世界観が安定していて、この谷津の町で起こった出来事に自分も引き込まれそうです。
読んでいてどこか淡々としたものを感じましたが、「噂」「金平糖を使ったおまじない」「不思議な力・世界」といったキーワードが作品をぐいぐい読ませる魅力になっていて、いつの間にか最後のページになっていました。
ただ、何とも言えない世界観と雰囲気に呑まれて、正直良いとも悪いとも言えない読後感です。
視点がころころ変わることはあっという間に最後まで読めた理由だと思いますが、あまりにもその視点が多すぎてまとまりに欠けていた気もします。この視点は誰だ?とちょっと混乱して前のページに戻ることもありました。
視点を「地歴研」のメンバーだけに絞っていれば、もっと彼らに感情移入できたのになと思います。
不思議な噂から始まり、谷津と隣り合わせの「世界」の存在の知覚、その「世界」へ跳ぼうとする少年少女たち。
この作品では、多感な時期である高校生の心理描写がしっかり書き込まれていて、自分が高校生の時のことを少し思い出しました。
誰もが人とは違う「特別」の存在になりたいと思っていたあの頃。
でも、自分がその「特別」の1人にはなれないと気付いて焦っていたあの頃。
それをしなやかに受け止めて大人になっていく人もいれば、あがいて作品の最後みたいに「跳ぶ」ことを決意する人もいる。
どちらも共感できる感覚です。
この時期の少年少女の描写が丁寧に書かれている辺りも恩田さんらしく、作品の魅力のひとつであると思いました。
紙の本
自分で切り開いてこそ価値がある
2004/07/10 15:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
恩田陸「球形の季節」は素晴らしい。東北の小さな地方都市。そこで奇妙な噂が4つの高校を中心に広まった。4つの高校生で作られている「地理歴史研究会」なるメンバーが噂の発信、真相を探るべく4校の生徒を対象にアンケート調査を開始したが、噂どおりに一人の女子高校生が行方不明となる。不安と恐怖を感じつつ真相究明に再度取りかかるメンバーの前にまた新しい噂が流れ始めるのであった。
言いしれぬ恐怖感が漂う中、高校生たちが探るべく真相とは? …バラしても本書の魅力を妨げるものではないと思うのですが、やはりルール違反ですので止めておきましょう。全く系統もテーマも違うのですが宮部みゆきの「クロスファイアー」が頭をよぎりました。この作者も高校生を登場させても違和感なく書き上げる作家の一人ですね。存在感ある若者たちが本書を素晴らしい作品にしています。
「さあ、決めてみろ。やりたいことがいっぱいあるんだろ?勉強なんか大嫌いなんだろう? じゃあ、とっと始めたらどうなんだい? 自分の人生とやらを。何を犠牲にして、何をして食べていくのか、どういう人間になりたいのか? 右を歩くか左を歩くか。ささ、早く始めたらどうなんだい? 何かを決められる人というのは、よほど恵まれている人かよほど選択肢がないないのかどちらかだ。けれど世の中はそのどちらでもない人が圧倒的多数をしめている」と一人の女子高校生言わせています(長い引用でスンマセン)。親の干渉からか、若い人の多くは自分の人生がまるで決められたレールに乗せられているように感じているようです。そして、そこから這い出たい、その世界を捨てたいと。しかし現実の壁が、先に挙げた女子高校生の台詞のように、立ちはだかっている事に気づき、立ち止まるわけです。そう、そのように現実に直面して自分で世界が切り開けないなら導いてあげようと大きな手が広げられます。しかし、その手を振り払い自分の力で進む道を選択するのです。
紙の本
少し怖くて少しノスタルジックで……
2002/07/12 02:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
もしかすると、この小説の舞台は、わたしが幼少の頃を過ごした、
あの東北の町では……などと考えてしまうほど近しいあたりを舞台
にした物語だったので、まことに訴えかけてくるものが多々ある作
品でした。
かつて体験したことのあるような気持ち、かつて見たことがあるよ
うなヴィジョン、かつて抱いていたような世界認識をおぼろに思い
起こさせられ、ノスタルジックな思いにとらわれてしまいました。
この作品のホラー的な要素にしても、この名状しがたい奇妙な雰囲
気は、奇妙だけど、しかし多くの人がかつて憶えたことのあるもの
なのではないでしょうか。そう思わされる懐かしい匂いのする作品
です。
紙の本
「場」に宿る虚実の間
2002/07/07 13:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:がんりょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ときどき「場」には不思議な力が宿ることがある.
それは,墓地だったり,人気の無いトンネルだったり,山の上の祠だったりするが,何か目に見えない力を感じて,そこに近づく人を押し返すのである.
本作品は村全体に力が宿っている東北の村を舞台に,そこで生まれ育った少年少女達の経験する不思議な体験を作者特有のやさしいタッチで綴っている.
現実を忘れて,虚と実の微妙な間にある世界にどっぷりつからせてくれる一冊である.
紙の本
恩田陸の「場所」
2001/02/21 08:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:seimei - この投稿者のレビュー一覧を見る
四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が次々と広がる。退屈な日常、管理された学校、眠った町。そして、少年少女たち、人間、全てを裁こうとする最後の噂が発信される。
宮部みゆきさんは、よく少年の心情を描くのが巧いといわれます。(わたしもそう思いますけど)、恩田陸さんは、少年・少女そしてこの世代の持つ独特の雰囲気と心情を、物語に取り込むのが巧いなと感じます。特別な人間になりたいと思いつつ、もう「特別な人間」になれない事もきずいている世代。こう思っているひとりひとりはもちろんのこと、その重なり合った想いも、社会のシステムと絡めて描き出し、ファンタジーとしている。そして解説に書いてあるように「場所」を物語の発生装置としています。同じく解説に、恩田さんを「夢の地理学の探求者」と表しているのは、いいえて妙だと思います。
電子書籍
『球形の季節』は話が見えてくるまでに少々時間がかかりますが、東北の谷津(やつ)という村にある4つの高校(男子校2校、女子高2校)で広まった奇妙な噂がなぜか真実になるというファンタジー系のストーリーです
2018/02/25 07:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『球形の季節』は話が見えてくるまでに少々時間がかかりますが、東北の谷津(やつ)という村にある4つの高校(男子校2校、女子高2校)で広まった奇妙な噂がなぜか真実になるというファンタジー系のストーリーです。4つの高校共同クラブである「地理歴史研究会」のメンバーが噂の出所を確かめようと4校一斉アンケートを実施します。この「地歴研」のメンバーとその友人たちが主要な登場人物ですが、視点が固定されていないため、一部「ん?これは誰の視点?」と戸惑うことも。
その世界観は、系統的には『夜の底は柔らかな幻』や『終りなき夜に生れつく』に連なる「不思議な土地」「別次元につながる場所」を題材としていて、谷津という土地ではよく行方不明者が出るという設定で、いなくなった親しい人の帰りを祈って石を拾って持ち帰り、洗って他のところに積み上げるという風習があります。多感な年頃の高校生たちがその不思議な「アレ」へ跳ぶか跳ばないかあるいは跳べるか跳べないかで振り分けられるような、奇妙な終わり方をします。
現状に満足し、「特別」を望まず、外に出たいとも思わない少女・みのりが、飛ばずに残る者を代表し、彼女が谷津に伝わる石の祈りを継承する決意を固めるところで話が締めくくられていますが、本当に誰かが居なくなったのかどうかについては明記されていません。このため読後感がすっきりせず、なんとなく不思議ワールドに放り出されたままのような感覚が残るような気がします。この『球形の季節』は話が見えてくるまでに少々時間がかかりますが、東北の谷津(やつ)という村にある4つの高校(男子校2校、女子高2校)で広まった奇妙な噂がなぜか真実になるというファンタジー系のストーリーです。4つの高校共同クラブである「地理歴史研究会」のメンバーが噂の出所を確かめようと4校一斉アンケートを実施します。この「地歴研」のメンバーとその友人たちが主要な登場人物ですが、視点が固定されていないため、一部「ん?これは誰の視点?」と戸惑うことも。
その世界観は、系統的には『夜の底は柔らかな幻』や『終りなき夜に生れつく』に連なる「不思議な土地」「別次元につながる場所」を題材としていて、谷津という土地ではよく行方不明者が出るという設定で、いなくなった親しい人の帰りを祈って石を拾って持ち帰り、洗って他のところに積み上げるという風習があります。多感な年頃の高校生たちがその不思議な「アレ」へ跳ぶか跳ばないかあるいは跳べるか跳べないかで振り分けられるような、奇妙な終わり方をします。
現状に満足し、「特別」を望まず、外に出たいとも思わない少女・みのりが、飛ばずに残る者を代表し、彼女が谷津に伝わる石の祈りを継承する決意を固めるところで話が締めくくられていますが、本当に誰かが居なくなったのかどうかについては明記されていません。このため読後感がすっきりせず、なんとなく不思議ワールドに放り出されたままのような感覚が残るような気がします。この不思議な余韻が恩田陸らしいと言えばそうかも知れません。が恩田陸らしいと言えばそうかも知れません。
紙の本
噂がもつ実体とは
2002/05/28 09:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ある噂」について調査する「地歴研」のメンバーたち。その噂とは、要約すると「エンドウさんが宇宙人にさらわれる」というような内容のもので、興味で調査はしていても、何てことのないタダの噂だと思っていたのに、その噂通り、遠藤という女子生徒が行方不明になってしまったことから雲行きが怪しくなってきて…という、青春ミステリーです。
何気なく、私たちが日常、耳にし、口にしている噂話の数々。けれども、それらの言葉にはある種の力があり、その噂が、実現することを意図して流されていたとしたら…。「嘘もつき続ければ本当になる」というけれど、噂も、それ自体が実体を持つ可能性はあり、その怖さを感じました。
ただ、この作品は、そういうちょっとした不気味さが、高校生たちの爽やかさに押され気味の感があり「新鋭モダンホラー」と裏書にありましたが、それには少々及ばず…というのが正直な感想です。とはいえ、面白く読めました。特に、一つの噂が実行されても、また次の噂が生まれ、そして、おそらくこれが最後だろうという噂にまで到達した時のゾクゾクした感覚は印象的でした。
紙の本
ふと現れる非日常の気配。
2001/05/25 10:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
閉ざされた空間、昔から起こっている不審な出来事、ふとした拍子に現れる非日常なものの気配。そういうものの描写が上手くて文章もきれいでした。
ただ、思ったより爽やかさのない、どろっとした終わり方だったな…という印象を受けました。噂というのが面白いけど、結局分かったような分からないような…。青春小説というには登場人物もみのり以外は鬱屈してる気が。
紙の本
すっきりしない
2021/04/12 22:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中盤から展開が気になって作品に引き込まれていったが、ラストが今一つ府に落ちない。想像力を掻き立てられるといえばそれまでたが、もう一捻り欲しいと思った。