我々は子作り力で生き延びた。
2023/11/01 09:37
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
4万年前までは共存していた我々ホモサピエンスとネアンデルタール人のうち、なぜホモサピエンスだけが生き延びたのか、という考察がとりわけ面白かった。一般的通説は「ホモサピエンスのほうが賢かったから」であるが、実はネアンデルタール人のほうが相対的にも絶対的にも大きな脳を持っていたそうだ。現代人の脳はむしろ縮小しているそうだ。著者は「ホモサピエンスのほうが多産だから。」との仮説を立てている。少子化の現代日本のことを思うと考えさせられる。著者の自戒を込めた「仮説」についての態度も印象的である。
とても親切で詳細な人類の起源の解説書
2021/08/24 13:47
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投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホモサピエンスとそれ以前の人類について、とても詳細な解説を試みた本です。化石分析などで現在までに分かっている最新研究の進み具合がよく分かりました。長い時間をかけて沢山の人類が進化し、そして消えていったことに驚きを禁じ得ません。必ずしもホモサピエンスがネアンデルタール人よりも優秀だったから生き延びることが出来たわけではないかもしれない、というのは目から鱗の話でした。単に子供の数が多かっただけという可能性もあるというのはなるほどなあと思いました。人類の古き繁栄を想像すると不思議な気持ちになりますね。
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投稿者:451 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜヒトが特別なのか?
説明のために使われる比喩が秀逸。
そして、最新の研究も反映されていて非常に有意義な本。
楽しく読める入門書
2018/08/26 22:51
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投稿者:らぴす - この投稿者のレビュー一覧を見る
この分野の本を読むのは初めてだったけれど、世間一般に何となくひろまっている思違いを正しながら、基礎知識のない私にもとても判りやすく展開し、大変面白かった。面白いというのは、興味深いと楽しいの両方の意味で。
もっとこの分野の本を読んでみたいと思わせる、入門書として理想的な本。
もちろん同じ著者の本も読みたい。
人類はもう1種類しか残っていない
2018/04/22 17:23
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投稿者:UMA1001 - この投稿者のレビュー一覧を見る
我々が生き残って来たことは本当に奇跡に近いのか、必然的に1種類は生き残れるのか考えさせられる。わかりやすく、多くの仮説もある紹介しながら説明してくれる。心に残ったのは、強いものが生き残るのではなく、多くの子孫を残せるものが生き残る。全勝する必要はなく、相撲で言えば8勝7敗で行けばどんどん上に上がっていけるそうです。
ネアンデルタール人がもし今も生き残っていたらと考えてみるのも面白
2022/11/04 13:11
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人にもっとも近縁な生物から25番目に近縁な生物までは、すべて絶滅していて、26番目に近縁な生物がチンパンジーだというのは興味ぶかい。脳の容量がヒトより多かったネアンデルタール人がもし今も生き残っていたらと考えてみるのも面白いかも
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投稿者:ワズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新書に挑戦してみよう、ということで読んでみた本です。それまでに片手で数えられるほどしか新書を読んでいませんでしたが、とてもわかりやすかったです。
人間は特別。自分が人間に生まれたせいなのか、昔からそう思っていました。でも、何故なのかはよくわからない。そんな疑問を解決してくれたのがこの本です。
人類の進化についてほとんど無知だった自分でもサクサクと読み進められたので、是非読んでみてほしいです。
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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分がホモサピエンスだという事は、日本で日常生活している上では、全く意識すらしない。しかし、この本を読むと、ネアンデルタール人との違いなどを考えてしまう。自分の進化のことなのに、知らない事ばかりというのが面白かった。
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すごい!
あまりの面白さに一気に読んでしまった。
著者は『進化の教科書』の訳者でもある。
直立二足歩行、社会集団、骨格の変化、脳の増大化、言葉、、、
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「一度でいいから、ネアンデルタール人と話してみたかった。」
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「ただ想像することしかできないが、今の私たちが考えていないことを、昔の人類は考えていたのかもしれない。たまたまそれが、生きることや子孫を増やすことに関係なかったので、進化の過程で、そういう思考は失われてしまったのかもしれない。ネアンデルタール人は何を考えていたのだろう。その瞳に輝いていた知性は、きっと私たちとは違うタイプの知性だったのだろう。もしかしたら、話せば理解し合えたのかもしれない。でも、ネアンデルタール人と話す機会は、もう永遠に失われてしまったのである。」
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これはおもしろかった。きっと文章がうまい。理解しやすい。説得力がある。どうして今まで同じ著者の本を逃していたのか。しかしながら、残念なことに私の記憶力不足のため、そのおもしろさを十分にお伝えすることができない。ぜひ、直接読んでみてほしい。頭に残っていること1つめ。ミトコンドリア・イブはヒトの起源ではない。少し考えればわかることなのに、気付けていなかった。要するにミトコンドリアのDNAは母親からしか伝わらない。それで、母の母の母の・・・とたどっていくとアフリカに住んでいた1人に行きつくというのだが、そこからだけどんどん広がっていったと考えるのはおかしい。男の子しか産まなかった母のミトコンドリアDNAはそこで受け継がれないことになる。そんなことはあちこちで起こっているはずであって、ミトコンドリアDNAをたどってもそれほどの意味はない。そういうことができるという事実があるだけだ。覚えていること、2つめ。直立二足歩行は草原で目立つ。つまり肉食獣に狙われやすい。そして走るのが遅い。カバですら桐生くんより速いのだから、すぐにつかまってしまう。ならばなぜ、直立二足歩行をするようになったのか。唯一ヒトだけが。いろいろな理由が考えられている。本書では次のような見解が述べられている。すなわち、ヒトは空いた前足(手)で食糧を運ぶことができた。さらに、我々の二足歩行は燃費がいい。長距離を歩くこともできたという。集団で生活をしていた我々の祖先は、そうして十分な食糧を手に入れ、ネアンデルタール人よりも、少し多くの子孫を残すことができたのだろう。本当にこの1週間ほどの間、ちょっとしたミステリーでも読むかのごとく本書に引き込まれました。
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「我々はなぜ我々だけなのか」川端裕人ブルーバックスとよく似たテーマの本が続いた。この分野いろいろと発見があってちょっとした推理SF的で楽しい。原始人という言葉が懐かしい。
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「我々はなぜ我々だけなのか」に続く、人類の歴史をたどりながら、絶滅していった数多くの別の人類との違いを記した一冊。
こちらの方が生物学的な雰囲気が強いですが、八勝七敗のようなたった一番の違いが私たちと彼らを分けていったという論述に、何とも不可思議さと残酷さを覚えます。
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疎林 チンパンジーとボノボで約1.2% ゴリラで約1.5% 集団生活の中で一夫一妻的なペアを作ることは難しい 人類とチンパンジー類が分岐したのは約700万年前 アウストラロピテクス・アファレンシスの化石の中で最も有名なものは「ルーシー」と呼ばれる若い女性の化石だ 臼歯 年子 「おばあさん仮説」閉経後も長く生きる 大きな脳というものは、たくさんダウンロードしてしまった有料アプリのようなものだ 直立二足歩行の隠れていた利点 ホモ・エレクトゥスの化石 トルゥカナ・ボーイ8歳160㎝成長を終えていた可能性があるのでせいぜい170㎝ 初めて走った人類 足の指は短い 大臀筋 三半規管が大きい ハゲタカ ハイエナ 肉を手で持って、走って帰れるのだ。そしてメスや子供に分配するのである。 上がった体温を下げるために汗をかいて、その汗を蒸発させることによって体温を下げる。 アフリカの暑い草原でホモ・エレクトゥスに追跡されれば、多くの哺乳類は逃げ切ることができないだろう。 体毛がなくなると、紫外線を含んだ日差しが肌に当たる。紫外線から肌を守るためにメラニン色素が増えて、肌が黒くなる。したがって、肌が黒くなった時期は、体毛がなくなった時期に一致するというわけだ。 食人が日常的に行われていたとすれば、他者への共感も持っていなかっただろう。 剝片はくへん 投槍器とうそうき カレドニアガラス 8勝7敗でいい ミトコンドリアDNA 交雑 椅子取りゲームのように、1人が座れば、もう1人は座れなくなるのだ。 もしもホモ・サピエンスが、あらゆる点でネアンデルタール人よりも劣っていたとしても、ホモ・サピエンスの方がたくさん子供を産んでたくさん育てれば、ネアンデルタール人は絶滅するしかないのだ。 1+1が2より大きくなる。それが協力というものだ 使わなくなった有料アプリを少し整理している時期なのだろうか 考えることはAIとかに任せて、人類の脳はさらに小さくなっているかもしれない。もしかしたら、そのAIに絶滅させられて…いや、そういう未来にならないと信じたいけれど。
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年明けからこっち、すっかり人類史に嵌まっています。
本書は、地球上にはかつて多様な人類がいたのに、なぜ私たちホモ・サピエンスだけになってしまったのか―という謎に迫ります。
未読の方の興趣を殺いではいけませんので、その謎の答えについては本書をお読みいただくとして、ここでは触れません。
ところで、私たち人類はどうやって誕生したのでしょうか?
私たちの祖先は、アフリカの森に住む類人猿でした。
アフリカは当時、乾燥化が進み、森林が減っていました。
私たちの祖先は木登りが下手で、つまり個体として弱くて、森では生きられなくなりました。
それで仕方なく、疎林や草原に出て行きました。
そして、食料を手で運搬して妻や子に食べさせるために二足歩行を進化させ、人類が誕生したと言われています(最も有力な仮説です)。
私たちの出自が「弱い」ことに由来していたというのは、何とも示唆に富む話です。
人類が進化する過程で犬歯が縮小した事実や現生のヒトと類人猿のデータなどを合わせて総合的に考えると、人類は元々、平和な種なのだというのも誇らしいですね。
冒頭で、「謎の答え」については触れない、と書きましたが、少しだけ。
実は、既に絶滅したネアンデルタール人は、私たちホモ・サピエンスより脳の容量が大きかったことが知られています。
ネアンデルタール人の脳の容量は1550ccで、1万年くらい前のホモ・サピエンスは1450cc、ちなみに現在のホモ・サピエンスは1350ccです。
脳が大きいからといって直ちに頭がいいとはなりませんが、ネアンデルタール人が相当な知性を備えていたのは事実のようです。
「ネアンデルタール人は何を考えていたのだろう。その瞳に輝いていた知性は、きっと私たちとは違うタイプの知性だったのだろう」(222ページ)
そんなことを想像するのは、楽しいことですね。
私たちの祖先と人類の歴史について気軽に知ることができるだけでなく、ロマンもかき立ててくれる良書です。
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とある展覧会に行った際,人類の進化について,自分が学んだことよりも,かなり知見が発達していることに驚き,興味を持ちました。
近いテーマの「我々はなぜ,我々だけなのか」とは,違った切り口で記載されており,こちらの本の方が,なぜホモ・サピエンスだけが生き残っているのかという謎に迫っています。
ネアンデルタール人は,ホモ・サピエンスより脳の容量が大きかったのに,なぜ絶滅したのか。脳が大きい方が知能が発達するから,生き残るとは必ずしもいえないとは目からうろこでした。
ホモ・サピエンスが,ついネアンデルタール人他の人類を虐殺して絶滅させたと思ってしまいがちでしたが,ホモ・サピエンスの台頭が,他の人類の絶滅に関係していることは間違いないにしても,偶々そのときの環境に適し,子孫をたくさん残せたという偶然の要因による可能性も大きいというのは,少し救われた気がしました。
ロマンが尽きないテーマであり,今後の研究の発展が待たれるところです。