鈍色幻視行

投稿元：

レビューを見る

呪われた映画
夜果つるところ
出演者が無理心中？凶器がない。警察は捜査終了
原作者は行方不明。生存確認していない

編集者と夫の弁護士は二週間の旅行
豪華客船のスイートルームで関係者が集まり
監督、脚本家、文庫本編集者、
当時の話をする
著者と名のる女が二人いた
姉妹漫画家は漫画化を計画
ゲイの映画評論家は著者が男なのでは？

投稿元：

レビューを見る

客船という限定的な場所と旅という時間の制約、その効果
共に考え、感じ、過ごしたような一体感
複数の視点は混乱なく、感覚は研ぎ澄まされてゆく
白黒ではない鈍色の意味
静かな読後感

投稿元：

レビューを見る

船旅をたっぷり擬似体験させてもらいました。雅春ポジションで。お菓子作りが趣味の人のくだり、わかる気がする。まんまと『夜〜』読みたくなった。クリスティも！

投稿元：

レビューを見る

映像化しようとすると災いが起こる、呪われた小説「夜果つるところ」。
この本についての取材をするために豪華客船に乗り込んだ小説家蕗谷梢は、関係者たちから語られる様々な話に絡めとられていき……。15年に及ぶ連載を経て刊行されたこれぞ恩田ミステリ！→

過去の恩田さんのミステリとホラーが満遍なく混ざり、絡まり、昇華された作品だと思う。これはすごい。読んでいる時のわくわく感。読み進めると出てくるホラーテイストな謎。一癖も二癖もある登場人物たち。主人公二人も過去にそれぞれあり、内省しながら話は進む。

ああ！私が好きなやーつ！！→

前半の停滞した感覚、後半の動き出す事実、終盤の盛り上がり……これこれ！これが読みたかったぁぁぁぁ！

あ、このお話、きちんと閉じてます。おそらく綺麗に閉じている。
この設定、この題材できちんと閉じるお話というのが、「今の」恩田さんのミステリだなぁ、という感じした。


以下、リアルタイムツイート

ちょっと待って……これは……この感じは……私が大好きな、たまらなく大好きな「三月は深き紅の淵を」テイストではないか！！
うわぁぁぁ！恩田さんが書く違うお話であの感覚をもう一度味わえるとか……！
え？マジ？20年以上経ってまた味わえるの？最高やん……！！

これが……好きな作家さんが生きている世界……！！
最高だぁぁぁぁ！！（落ち着け）

いや……これは「まひるの月をおいかけて」も混ざってるな。
あ、違うわ。「木漏れ日に泳ぐ魚」かな。
今までのアダルト版恩田陸が混ざり合っている感じを受ける。

とても良い。

なるほど……「夜果つるところ」も気になるし、「飯合梓」も気になるわ。
で、「飯合梓」名義の「夜はつるところ」が私たちの世界で出版されているのか……

え？ヤバいやん！恩田先生ガチやん！最高ですありがとうございますまさかまたこのタイプの話が読めるとかもう私一緒ついていく（早口）

（三月は深き紅の淵を→麦の海に沈む果実、の流れだよね。
でも、今回は作者も含めて、なんよなぁ。この辺り、「灰の劇場」にも通じる気がする。個人的な感覚で）

クライマックス近くで過去の恩田さんの作品タイトルが出てきて、ぞくっとした。
（意味は違うから意図はされてない……と思う）

ああ……好きだ。残りページ数少ないのにまだまだ盛り上がるこの感じ……最高だよ……。

投稿元：

レビューを見る

映像化しようとすると必ず死者が出てしまうという呪われた小説。
その小説と謎に包まれた作家の真相を求めて関係者に話を聞く船旅に出る主人公。

最初はホラーミステリーなのかなと思ったけど、
その体で読むと若干キツいかも。
この話はもっと深い一言じゃ言い表せないような人間のぼやっとした心理の話と言う気がした。
ある登場人物が言う｢真実は虚構の中にしかない｣とはまさにそうだなと思った。
実際は全部が曖昧…
主人公達と船で旅をして、帰ってきた時にはフゥと思わず息をついてしまった。

投稿元：

レビューを見る

CL 2023.8.5-2023.8.7
いくつもの謎を乗せて船は海を行く。
三度映像化が頓挫した呪われた作品「夜果つるところ」
顔も年齢も素性も、生死さえハッキリしないその作者。
前半皆んなで話している時はそれぞれの関係や話の焦点がわかりにくかった。個別のインタビューになったら一人づつのキャラが立ち上がってきて面白くなった。
読了して、この長い作品のテーマはなんだったのか？と思い悩む。

投稿元：

レビューを見る

「夜果つるところ」という作品を巡って関係者が船旅をしながら語り合う。主人公は作家と弁護士の再婚カップル。二人の視点で、かって映画化する時に舞台が炎上し死人が出たり、二度目の映画化でも俳優の心中事件が起きたりした呪われた作品の謎に迫る。作者飯合梓についての考察もなかなか興味深かった。
そして作品を語りながら、それぞれの参加者の人生が表れ浄化あるいは納得していく時間となっていく。文中でも述べられているが大団円だ。
歳の差カップルのQちゃんが魅力的。そして「夜果つるところ」を早く読まなくちゃ！

投稿元：

レビューを見る

いやぁそういう終わり方ですか。と思った。裏切られたような気もするけど、納得感のある結末。梢の語る、編集者緋沼が飯合梓だった説。そして、その後はだれも言葉を発することなく終わる。
653ページの厚さであったが、一気に読んだ。細かく章立てされていて、テンポよく、とても読みやすかった。作者の紡ぐ言葉が、滑らかで、するすると流れていくように読めた。一方で、舞台に変化もなく、あまり想像力を必要とする物語でもないので、あまり頭を使わなくても読めたという見方もできる。
豪華客船という舞台で、個性豊かな登場人物たちが、たった一人の謎の作家について語るという、ありそうだが私には初めての設定は面白かった。推理小説のようにも思ったが、結局はそうではない、そんなお話。
語られる「夜果つるところ」は、作者が次に発表する作品ではなかったか。その宣伝にここまで書くとはすごい。ハードルも上がるのではないかと思う。余計なお世話か。なかなか楽しめた。

投稿元：

レビューを見る

あー、恩田陸の世界だ！
この厚さといい、内容といいたまらない。
ずっと気になってた本作がようやく読めて嬉しい限り。
皆が語り合う、「夜果つるところ」の作者飯合梓の人物像がぞわぞわして怖い。
呪われた作品を船上で語り合うことが、もー怖いし、そこから何が出てくるのかぞくぞくした予感に溢れ読んでいて楽しかったー。
どうやって終わるんだろうと思ったら、大団円でちょっとだけ拍子抜け。
まぁでもいいラストだったかな。
「夜果つるところ」ももうすぐ読めるし楽しみ。

投稿元：

レビューを見る

私の中の恩田陸ぅ〜！を、味わい尽くす本。
雅春やQちゃんのような、少年がそのまま大人になったような男性キャラ、毒と華が共存する真鍋姉妹、目に心地いい脈絡のないお喋り、顔の見えない不在の女、海に溶けていく終わり方…「ああそうだったそうだった、恩田陸ってこんな感じだった」。
自分は今「物語」を読んでいて、決してそこ(虚構)には行けないのだと焦がれて、切なく懐かしい気持ちにさせてくれる。だから好きな作家さんなんだと思う。
あと武井京太郎氏へのインタビューが、フィクションへの愛に溢れていてとても良かった。