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みんなのレビュー33件

みんなの評価4.4

評価内訳

高い評価の役に立ったレビュー

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2001/04/30 13:27

亀裂を生きる物語

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 解説にもあるように、デュ・モーリアの作品で日本語で読めるものといえば、新潮文庫の『レベッカ』だけだった。私もそうたくさん読んでいるわけではないが、どうしてこうも面白い作家がもっと日本で紹介されないのか、という不満はあった。だから本書の出版も、解説にある今後の企画も、実に喜ばしい。
 ジャンルとしてはミステリーロマンスのように言われることが多いデュ・モーリアの小説は、恐怖と謎とロマンスの混じり合う世界である。だが、あらためてこうして短編集を眺めると、その物語世界の豊かさ、多様さに驚かざるを得ない。
 ヒッチコックの映画化による「鳥」がいちばん有名だろうが、原作の緊迫感は映画をはるかに越える。ある日突然鳥が人間を襲い出すという話は、主人公が異変に気づく冒頭から、壮絶な戦いの末に取り合えず身を守る終わりまで、鳥がなぜ人を襲い、また今後どうなるかという重要な問いに対して一切の答えを与えていないのであり、それが怖い。
 おそらく最も多くの人が最も面白いと思いそうなのは、最後の「動機」である。幸福の頂点にありそうな婦人が突然自殺し、動機は全く考えられない。だが、粘り強い私立探偵の追求で、わずかな1本の糸から驚くべき過去が浮かび上がる。どうです、読みたくなりませんか。何しろ昔の作家だから、昨今のトリックに比べれば、わかってしまえば「コロンブスの卵」かもしれないが、そこに浮かび上がる人生の、この構想力はどうだろう。
 他に突然神秘の山に消えた妻を追い求める夫の苦悩を描いた「モンテ・ヴェリタ(真実の山)」の濃密な情念の世界、死んだ妻の呪いを受けた夫の運命を描いた「林檎の木」のじわじわと迫りくる恐怖感、などなど、デュ・モーリアを知らずに損をしている潜在的ファンはたくさんいるはずで、その人たちに嬉しい8編である。
 読み通して思うのは、どれもがきわめて心理的なドラマだということ。突然何か異様なことが起こるパタンが多いが、そこには常に当事者と部外者とのずれがある。そのために部外者は謎に苦しみ、あるいは当事者は人に理解されない恐怖に苦しむ。デュ・モーリアの心理描写は絶品だが、そこで我々は、人間の真実とはいかに心理的なものであり、またそれゆえ人は周囲とのずれにいかに苦しまねばならないかを思わずにはいられない。基本的に娯楽小説でも、そうした深みのある作家なのである。

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低い評価の役に立ったレビュー

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2001/01/18 20:49

ミステリーコーナーより

投稿者:吉野仁 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「レベッカ」「鳥」など、映画化作品で知られるデュ・モーリアだが、本書はその魅力と才能をあらためて感じさせる短篇集である。なにげない日常の亀裂から見える世界の歪みを繊細な五官でとらえ、意外な結末の物語を紡ぎだしている。さりげない小道具がアクセントを加えていたり、深い余韻を残すエピソードを挿み込んでいたりするのだ。しかも収録された8編、それぞれにテーマ、スタイル、文体などが異なっているうえ、単にサスペンスを醸しだし逆転のラストへと向かう作品ではない。現代に生きるわれわれの心に訴える物語が並んでいる。時代を経ても、まったく古びていないのだ。
 表題作「鳥」はヒッチコック映画とは違う静かな凄味を感じさせる。本作のなかでも最高傑作は、「モンテ・ヴェリタ」。これはコンラッド「闇の奥」の〈地獄〉を〈天国〉にひっくりかえし、そこに近代人がもとめる「神性の真実」を暴露した名品だ。 

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33 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

謎多き世界。

2022/02/22 16:21

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る

突然人を襲い始めた鳥の大群、「鳥」。青年が心惹かれた女性を追い求めたがその結果は……、「恋人」。若き日の友情と恋と神秘の山の存在、「モンテ・ヴェリテ」。妻を亡くし、解放されたはずの夫は庭の林檎の木が疎ましく目に映り始める、「林檎の木」。水辺で見掛ける夫婦とその子ども、「番」。ちょっと外を歩いて帰宅したら見知らぬ人がいて、自分の存在を否定されてばかり、一体何故、「裂けた時間」。出産を間近に控えた人妻は何故自ら命を絶ったのか、夫の依頼を受けた探偵が探る、「動機」。

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紙の本

粒ぞろいです。

2021/02/04 09:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ダフネ・デュ・モーリアの本は、『いま見てはいけない』を以前読んだことがあり、また読みたくなって買ってしまいました。
つまらなかったらどうしよう……という心配は、まったくの杞憂でした。
個人的には、『いま見てはいけない』よりもこちらの方が好みです。
「鳥」はあまりにも有名ですが、それ以外の各作品素晴らしく、粒がそろっています。
ミステリー小説の面白さを存分に味わわせてくれます。

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紙の本

面白いです

2019/06/01 00:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Tahokonyatoki - この投稿者のレビュー一覧を見る

物語の展開が巧みで、どんどん引き込まれていきます。

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紙の本

圧倒的な恐怖。

2015/08/24 17:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ef - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは、もうヒッチコックの映画の方で有名ですよね。その原作。
 私は、リアル・タイムでは見ることができなかった年代ですが、ヒッチコック大好きです。
 著者のダフネ・デュ・モーリアは、「レベッカ」なども著している作家さん(これもヒッチコックによって映画化されていますね)。
 どうしても映画の「鳥」の方が圧倒的にインパクトが強くて、なかなか原作を読まない一冊になっているかもしれません。
 ここでも、ヒッチコックの線でご紹介です。

 主演のティッピ・ヘドレン(メラニー役)は、ヒッチコックお好みの女優さんだったらしいです。
 出だしは、メラニーは都会的な小生意気な女性として描かれています。
 鳥屋さんに入るのですよね。そこで、プレゼント用のつがいのラブ・バードを探していた男性、ミッチ(映画ではロッド・テイラー)と出会います。
 この時点では、鳥は愛でるべき対象として描かれています。

 田舎のミッチの家を訪ねるメラニーなのですが、そこで初めての鳥の襲撃に遭います。
 カモメが彼女をつつくんです。

 さあ、そこからどんどん鳥たちの襲撃が始まっていきます。
 鳥たちの襲撃によってガソリンスタンドが炎上するシーンは記憶に残ります。
 電話ボックスに逃げ込んでも、そこに鳥たちが体当たりしてきます。
 また、びっしりと電線にとまっている鴉たちのなんと恐ろしいこと。
 襲撃の「動」も怖いのですが、襲撃を予期させる「静」の鳥たちがなんとも不気味です。
 
 ミッチの母親は、この街にやってきたあなたがこの厄災の元凶なのだと詰め寄ります。
 この頃のメラニーは、最初の小生意気な雰囲気ではなく、傷を負いながらも子供達を守る女性として描かれる様になります。

 町中鳥たちが包囲し、襲っているような状況になります。
 メラニーは、ミッチ一家と一緒に家に立てこもるのですが、鳥たちは容赦なくドアを突き破り、暖炉から侵入しようとします。
 何百種類、何千羽の鳥たちが人間を襲います。
 動物が人間を襲うというテーマの作品は数々ありますが、その傑作ではないでしょうか。

 このままでは危ない! ここから脱出する!
 そっと、そっと。
 静かに車のエンジンをかけるミッチ。
 周りはびっしりと鳥たちに囲まれています。
 少しでも刺激したら襲われてしまう!
 何と緊張感があふれるシーンでしょうか。
 雲の切れ間から流れ落ちる光りがびっしり蝟集した鳥たちを照らします。
 
 「これも持って行って良い?」と、プレゼントのつがいのラブ・バードが入った鳥かごを持ってくる子供。
 「いいよ。さあ行こう。」

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紙の本

亀裂を生きる物語

2001/04/30 13:27

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 解説にもあるように、デュ・モーリアの作品で日本語で読めるものといえば、新潮文庫の『レベッカ』だけだった。私もそうたくさん読んでいるわけではないが、どうしてこうも面白い作家がもっと日本で紹介されないのか、という不満はあった。だから本書の出版も、解説にある今後の企画も、実に喜ばしい。
 ジャンルとしてはミステリーロマンスのように言われることが多いデュ・モーリアの小説は、恐怖と謎とロマンスの混じり合う世界である。だが、あらためてこうして短編集を眺めると、その物語世界の豊かさ、多様さに驚かざるを得ない。
 ヒッチコックの映画化による「鳥」がいちばん有名だろうが、原作の緊迫感は映画をはるかに越える。ある日突然鳥が人間を襲い出すという話は、主人公が異変に気づく冒頭から、壮絶な戦いの末に取り合えず身を守る終わりまで、鳥がなぜ人を襲い、また今後どうなるかという重要な問いに対して一切の答えを与えていないのであり、それが怖い。
 おそらく最も多くの人が最も面白いと思いそうなのは、最後の「動機」である。幸福の頂点にありそうな婦人が突然自殺し、動機は全く考えられない。だが、粘り強い私立探偵の追求で、わずかな1本の糸から驚くべき過去が浮かび上がる。どうです、読みたくなりませんか。何しろ昔の作家だから、昨今のトリックに比べれば、わかってしまえば「コロンブスの卵」かもしれないが、そこに浮かび上がる人生の、この構想力はどうだろう。
 他に突然神秘の山に消えた妻を追い求める夫の苦悩を描いた「モンテ・ヴェリタ(真実の山)」の濃密な情念の世界、死んだ妻の呪いを受けた夫の運命を描いた「林檎の木」のじわじわと迫りくる恐怖感、などなど、デュ・モーリアを知らずに損をしている潜在的ファンはたくさんいるはずで、その人たちに嬉しい8編である。
 読み通して思うのは、どれもがきわめて心理的なドラマだということ。突然何か異様なことが起こるパタンが多いが、そこには常に当事者と部外者とのずれがある。そのために部外者は謎に苦しみ、あるいは当事者は人に理解されない恐怖に苦しむ。デュ・モーリアの心理描写は絶品だが、そこで我々は、人間の真実とはいかに心理的なものであり、またそれゆえ人は周囲とのずれにいかに苦しまねばならないかを思わずにはいられない。基本的に娯楽小説でも、そうした深みのある作家なのである。

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平穏な日常を破壊する「戦争」の影

2001/03/11 06:57

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:OK - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『レベッカ』で有名な英国作家の短編集。収録作は「恋人」「鳥」「写真家」「モンテ・ヴェリタ」「林檎の木」「番」「裂けた時間」「動機」。初紹介作はないものの一冊での完訳ははじめてになるらしい。さすがに筋書きはたいがい先が読めてしまうのだけれど、どっぷりと作品世界にひたってたのしむことができた。これが筆力ということなんだろう。とりわけ、(ヒッチコック映画で知られる)「鳥」の冷酷で凄惨な襲撃場面、「写真家」での異様な情事(フランス映画みたいな雰囲気)、「モンテ・ヴェリタ」の月光に照らされた異界の寺院、「林檎の木」の不吉な林檎の木の姿など、それぞれ独創的な映像が脳裏に刻み込まれる。
 作品的にはなんといっても「鳥」「写真家」「モンテ・ヴェリタ」の並びが強烈だった。ほかは比較するとやや落ちるかもしれない。ちなみに「裂けた時間」は北村薫の『スキップ』の元ネタではないか?と某所で話題になったことのある作品。いちばんミステリ的な筋立ての「動機」はなぜか『氷点』みたいな話だった。あと、どれとは指摘しないけどわざわざ原題と異なる邦題をつけたせいでネタバレになっている作品があるのは意図不明。
 話の構造としては、退屈で平安な日常が理不尽な「死」や「暴力」によって脅かされあるいは崩壊する、というような筋書きのものがめだつ。そのあたりの不安の根源はどのあたりにあるのかと考えてみるに、どうも「戦争」という要素は無視できないんじゃないだろうか。じっさい「恋人」「モンテ・ヴェリタ」「裂けた時間」には第一次もしくは第二次世界大戦への直接的な言及があるし、さらに「恋人」での次のようなやりとり、

「あの連中がどうかしたの?」ぼくは訊ねた。「空軍に何かされたのかい?」
「連中は、わたしのうちをつぶしたのよ」彼女は言った。
「でもそれはドイツ軍だよ。イギリス空軍じゃないだろ」
「おんなじことよ。連中は殺し屋だわ。そうでしょ?」(p.36)

 これを読んだあとでは、「鳥」で閑静な農村を理由なく破壊・殺戮しつくす凶暴な野鳥の群れに、大戦中のドイツ軍戦闘機による爆撃の影を重ね合わせたとしても決して牽強付会ではないだろう(ちなみに鳥たちを何とかしようとした英国軍の飛行機はあっさり撃墜されてしまう)。この作家がどのような戦争を体験したのか(あるいはしていないのか)は全然知らないのだけれど、戦争のような不条理な暴力で「退屈で平安な日常」がいかにもろく破壊されてしまうものなのか、そのような日常生活がどんなにかけがえのないものなのかを、きっと身を持って知ったことのある人なんじゃないだろうか。ここに集められた物語たちの「本物」感は、そういったところからも生まれているように思える。
 「裂けた時間」で、主人公の婦人はみずからの人生をふりかえって穏やかに述懐する。

「すべては過ぎていく」ミセス・エリスは考える。「歓びも哀しみも、幸せも苦しみも。きっとわたしの友人たちは、こんな生活は退屈だ、変化がなさすぎると言うだろう。でもわたしは、この暮らしに感謝しているし、満足している」(p.393)

http://members.jcom.home.ne.jp/kogiso/

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ミステリーコーナーより

2001/01/18 20:49

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:吉野仁 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「レベッカ」「鳥」など、映画化作品で知られるデュ・モーリアだが、本書はその魅力と才能をあらためて感じさせる短篇集である。なにげない日常の亀裂から見える世界の歪みを繊細な五官でとらえ、意外な結末の物語を紡ぎだしている。さりげない小道具がアクセントを加えていたり、深い余韻を残すエピソードを挿み込んでいたりするのだ。しかも収録された8編、それぞれにテーマ、スタイル、文体などが異なっているうえ、単にサスペンスを醸しだし逆転のラストへと向かう作品ではない。現代に生きるわれわれの心に訴える物語が並んでいる。時代を経ても、まったく古びていないのだ。
 表題作「鳥」はヒッチコック映画とは違う静かな凄味を感じさせる。本作のなかでも最高傑作は、「モンテ・ヴェリタ」。これはコンラッド「闇の奥」の〈地獄〉を〈天国〉にひっくりかえし、そこに近代人がもとめる「神性の真実」を暴露した名品だ。 

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2004/09/24 14:02

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2005/10/10 16:10

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2006/05/25 11:08

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2008/07/07 09:40

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2009/10/30 20:56

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2009/11/08 22:16

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2009/11/24 13:23

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2012/03/14 18:51

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