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サリンジャー戦記 翻訳夜話 2 みんなのレビュー

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59 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

深い「読み」の記録

2003/08/21 00:07

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上さんとしては渾身の「訳者解説」が、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の巻末に掲載できなかったのがよほど残念だったのでしょう。それもあってか、その幻の解説を軸にして、早くも関連本が出ました。「翻訳夜話」の体裁を借りてはいますが、優秀な「キャッチャー」のサブテキストだと思います。って、当たり前ですかね。訳した本人が書いていらっしゃるんですし。
その「幻の解説」は、親切丁寧な種類のもので、これが巻末に付されていたならば、読後感もまた違ったものになっていたことだろうな、と思いました。

ホールデンがたびたび映画をけなしていたり、宗教を訊かれることを気にしていたことの理由とか、ひとつひとつのことにふーん、なるほどと思わせる経緯があったり(まあそんなことは些細なことなんですけど)、サリンジャーの人物像や時代背景などが明らかになってくるにつれ、作品の持つ意味合いが格段に深いものになること請け合いです。

サリンジャーがその極端な隠遁生活に陥るに至った経緯もある程度明らかになります。悲惨な戦争体験とか、父親の存在とか、その他いろいろなことがあってのことなのでしょうけど、作品が自分自身よりはるかに大きな存在になってしまったってことは、やはりとんでもなく怖いことなのでしょう。

そういえば、マイク・チャップマンの事件とかもありました。ってことも思い出させられました。そもそも小説ってそういう怖さを内包しうるものなんですよね。

でも本書を読んでいちばん感じたことは、まあ翻訳するんだから当然なんでしょうけど、村上・柴田の両氏ともに、テキストに対してもの凄く深い「読み」が施されているっていうことで、深く読むってことは、自分の知識やら人生観やら経験やらをすべて呼び起こして読むんだってことをいまさらながら認識したわけです。「翻訳」はその延長線上にあるものでしょう。

うんざりするくらい情報過多な世の中で、さらにここBK1に投稿などしたりしていると競争意識も高揚してしまって、「あれも読まなきゃこれも読まなきゃ」で、まるで消費的な読書になってしまっている自分に気づきます。たくさん読むことも必要だけど、ひとつの作品を深く読むことのほうが大切ではないか、もっと時間をかけて読まなければ、人間の「深み」を追求するための読書でなければ、すっかりそういう気持ちにさせられてしまいました。

日頃から、読み終わって、うーんもう一回読みたいな、って思う本はあっても、なかなか再読に至らないのが悲しい現状です。もう一回読みたいっていう気持ちは、もうちょっと大事にしてやらなくては。

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紙の本

なんと言っても「ライ麦」の解説

2023/03/17 17:21

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る

村上氏の物した「ライ麦」の解説が
読みたくて手にした本です。

当該作品に対する、訳者としての
村上氏の思い入れが伝わってくる、
非常に読み応えのある内容でした。

ただ、本編の筋に触れる部分が多いので、
これからライ麦を読もうという向きにヮ、
必ずしもおすすめしません。
つまり、既読者向けだと思います。

また、白水社のウェブサイトで読める、
野崎氏の解説と読み比べてみると、
両訳者の視点の相違が見えて
興味深く感じられると思います。

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紙の本

キャッチャーインザライの翻訳を読む前に読みたかったかも。

2020/08/04 15:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

サリンジャーのキャッチャーインザライの翻訳秘話。「翻訳夜話」が出版された2000年時点では、「サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の翻訳をすごくやりたいが、契約の都合で、僕が翻訳するのは不可能に近い」と村上さんは言ってたが、その3年には、堂々夢が実現。「翻訳夜話 2」では、柴田さんとともに、その訳書の魅力、謎・真実の全てを語り明した。つまり、通常、訳書の巻末にある解説がスピンアウトされて1冊になったという贅沢な話にも思えた。2冊続行して読むのがおススメ。

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紙の本

翻訳するにあたってのすごく深い内訳話のようなものが聞けた

2016/08/29 18:55

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、以前読んだがはっきり言ってあまり良く覚えていない。今回この対談を読んで村上春樹氏の、サリンジャー(特に「キャッチャー・イン・ザ・ライ」)についての愛が感じられた。この対談では、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を翻訳するにあたってのすごく深い内訳話のようなものが聞けた。ここまでさらけ出していいのかとさえ思ったほどだ。もう一度読み直してもいいかなと思った。

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紙の本

いくつかのややこしい現実的な問題

2003/08/09 21:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「本書には訳者の解説が加えられる予定でしたが、原著者の要請により、また契約の条項に基づき、それが不可能になりました。残念ですが、ご理解いただければ幸甚です。 著者」
 村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・レイ」の最後のページにさりげなく付けられた二行の文章の全文である。おそらくこういう文章がなければ特にどういうこともないだろうが、たった二行の文章があることで、一体何があったのだろうかと考えてしまう。野崎孝訳の「ライ麦畑でつかまえて」には訳者による解説がついていた。なのにどうして村上訳にはつかないのか。村上訳が気にいらなかったのか、同じ文学者という立場の村上による訳を気にしたのか。色々と下種(げす)は勘繰るものである。

 そのあたりの事情は、この新書のまえがきにあたる村上春樹の「ライ麦畑の翻訳者たち」に詳しい。村上春樹流にいえば、「やれやれ」というところだろう。その幻の解説がこの新書に収録されている。サリンジャーという作家の経歴とか「キャッチャー」が生み出した多くの波紋が丁寧に書かれた上等な訳者解説である。つまり、この新書で村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・レイ」が初めて完結するのだ。

 村上春樹の解説と野崎孝のそれ(私が持っているのは白水社の《Uブックス》で一九八四年に書かれたもの)とは違いは、原作者サリンジャーの経歴の詳細さだろう。村上解説には「我が父サリンジャー」など野崎が解説を書いてから出版された資料がテクストとして採用されているが、野崎にはほとんど情報がなかったようである。しかも、野崎が解説を書いてから二十年が経って、作品「キャッチャー」は色褪せないものの作者サリンジャーがどういう人物なのかほとんどの人が忘れているともいえる。村上はこの作品を古典と位置づけ、そのあたりの情報が重要であると判断したようだ。

 二人の解説の相違で面白いのが、ジョン・レノン狙撃事件の犯人チャップマンの扱いだろう。彼は事件を起こした際に「キャッチャー」本を所有していたことで有名だが、野崎にとって「新聞記事を読んだ記憶もある」程度の記述にすぎない。その点、ビートルズ世代の村上にとってはもっとこだわりがある。もっともそれは単に世代の相違だけかもしれないが、村上は野崎訳を肯定しつつも「時代に応じて」翻訳があってもいいとしているから、今後村上訳を読んだ若い人による新しい「キャッチャー」が登場するかもしれない。

 もし、できるなら村上訳の「キャッチャー」とこの新書をセットして販売すればいいのにと思うが、きっといくつかのややこしい現実的な問題があるのだろうな。やれやれ。

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紙の本

インチキなタイトルと柴田元幸の「芸」

2003/08/02 11:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る

 このタイトルは「騙し」である。これを見れば誰もがあの「翻訳夜話」の続編だと思うはずだ。ところが内容は似ても似つかない。
 「翻訳夜話」は翻訳の楽しさ・面白さを教えてくれる本だった。僕が「ライ麦畑」の原文/野崎訳/村上訳の全てを読んでみたのは、「翻訳夜話」でカーヴァーの原文と村上訳、柴田訳を比べる、そしてオースターの原文と村上訳、柴田訳を比べるという体験をしたから、そしてその面白さに嵌ってしまったからにほかならない。
 ところがこの「翻訳夜話2」の場合は、そのタイトルに反してサリンジャーの「作品」を語ることが主になっており、「翻訳」のほうは決して中心に据えられていない。翻訳を語る上で必然的に作品を語っているには違いないが、読者としてのフラットな感想ではなく訳者が高い地位から解説しているという印象を与えてしまっているのである。
 作家が作品を語るのは往々にして悪趣味である。訳者が作品を語りすぎるのも同様である。この本の場合、特に序盤が辛い。翻訳を語っているようで作品を分析しすぎている感じがする。

 とは言うものの、この本によって僕が村上春樹に対して抱いていた2つの疑問が解けた。
 村上が cool as a cucumber という慣用句を「キュウリのようにクール」と訳す(翻訳だけでなく自作の小説中にも出てくる)のはクリーシェとしての存在感を活かすためだということ。そして、「ライ麦畑」の中で数多く登場する you という単語をほとんどそのまま「君」と訳しているのは外国語の言語的様式性を重んじるからであって、ホールデンの言う you に聞き手としての仮定の対象を感じているからだということである。
 僕としてはいずれも牽強付会な感じがする。
 訳者としてクリーシェとしての存在感を活かしたいというのは解る。しかし、読者がその存在感を感じ取るためには cool as a cucumber という英語を事前に知っている必要があるのである。この慣用句を知らない人が日本語の文を読んでいていきなりキュウリに出くわしたら首を傾げるだけではないだろうか?
 そして、you のほうだが、これをいちいち訳出するのもどうかと思う。英語の you は日本語の「君」よりも遥かに利用範囲が広いのである。日本人が英作文すると必ず they や we を使ってしまうかなりの局面でアメリカ人はよく you を使ってくる。日本語としての滑らかさを考えれば主語は省略したほうが良い場合も多いのではないか?
 ただ、これを読んで少なくとも村上がうっかり訳してしまったのではないということが納得できたのは収穫である。

 という風に、この本には確かに翻訳について考えさせてくれる部分も少なくないし、語りすぎとは言え語られている作品論も非常に興味深い。特に僕のようなサリンジャーのファンであり村上のファンであり柴田のファンでもあるような人間には、気に入らない点もあるが読んでみると残念ながら面白い。そういう人は仕方がないから読みなさい、と言うしかないか? ただ、村上が語る作品論は影響力が強すぎて読者の身に染みついてしまうのではないかという不安がある。ひとつの読み解き方が固定してしまうのはそれこそ村上の本意にもとることなのである。そのことを肝に銘じて読んでほしい。

 最後に Call me Holden という章で柴田元幸の「芸」を見せてもらった。今までは翻訳の「技術者」という印象が強かったのだが(「技術者」というのは文字通り「技術を持った人」という意味であって、「機械的なことしかできない人」という意味ではない)、こんな「芸」ができるとは驚いた。いやいや楽しませてもらいました。

by yama-a 賢い言葉のWeb

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紙の本

サリンジャーの“イノセンス”をめぐって。

2003/07/28 17:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:奈伊里 - この投稿者のレビュー一覧を見る

たくさんのかつての読者がホールデンに再会し、たくさんの新しい読者がホールデンと(野崎訳から40年を経て)出会うことになった、村上春樹氏新訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。
この本の末尾には、「本書には訳者の解説が加えられる予定でしたが、原著者の要請により、また契約の条項に基づき、それが不可能になりました。残念ですが、ご理解いただければ幸甚です」という村上氏のことばが添えられている。

その幻の解説文が、本書で読める。出版直前に、サリンジャーのエージェントから待ったのかかった、その掲載。訳者の解説・あとがきとしては、例を見ない長さであり、とても力の入ったサリンジャー紹介になっている。村上氏は無念だったろうし、読者としても、是非新訳版に加えられていてほしかった。
でも、その幻の訳者解説を読むことで、逆にわたしたちは、サリンジャーがなぜそうも頑なにならなければいけなかったかを知ることになる。

ホールデンのごとく自分探しをして青春を送った後、悲惨な戦争体験をしたサリンジャー。
その後神経を病みながら、彼が執筆の足場にしたのは、戦争体験ではなく、イノセントな16歳の目から見た世界だった。
そして、色濃く自らを投影したホールデンという少年が生み出される。
多くの読者を獲得しながら、そのあと作家として成熟への道を辿らなかったのは、戦争体験や離婚など様々な現実から神経衰弱になった彼が、他者に“イノセント”なるものを求め、裏切られ、世界と直接繋がることをあきらめてしまったからだと分かってくる。
彼は、「キャッチャー」でホールデンが回転木馬に乗るフィービーに見た“イノセンス”を、実人生でも見続けようとしたのだ。もちろん、そんなことは叶わない。そして現在、彼は隠遁生活の中で、出版しない著作を今も書き続けているらしい。

本書では、名コンビの柴田元幸氏を聞き手に、村上氏が「キャッチャー」の翻訳といかに取り組んだかが語られる。

50年前のニューヨークで生きていたことばを、現代日本のどんなことばで置き換えるかという問題。
ホールデンが語りかけるYOUという存在をどう解釈し、どう訳出するかという問題。(「海辺のカフカ」を書き終えた直後訳業に入った村上氏が、カラスと呼ばれる少年をふまえて語っているのも面白い。)
ホールデンや、アントリーニ先生、フィービー、DBといった人物たちに、サリンジャー自身が如何に投影されているかという解釈の問題。

それらの問題に取り組む村上氏の指針になっていたのが、サリンジャーの“イノセンス”であったと、わたしには読み取れる。
その上で、彼はこう語る。
「僕は『キャッチャー』という小説が今でも若い人々に読み継がれ、評価されているのは、それがイノセンスを礼賛しているからじゃないと思うんです。そうではなくて、ホールデンという少年の生き方や、考え方や、ものの見方が、そういう時代的な価値観のシフトを超えて、優れて真摯であり、切実であり、リアルであるからじゃないかな。……ホールデンは特殊であることによって、読者のいろんな事情を吸い上げていくんです。それがホールデンという人物の機能なんです。イノセンスへの傾倒というのは、その機能のひとつに過ぎません」。
このあたりは、翻訳者としての村上氏と、作家としての村上氏が、対談しているようでもある。

「翻訳夜話」としては、一巻目とまったく違う様相を本書は見せる。
まさに、「戦記」だ。人間サリンジャーの。翻訳家村上春樹の。
そしてそれを、名翻訳家柴田元幸氏のキャラクターが、どんな読者でも入っていきやすい世界に、変換してくれている。柴田氏の案内人としての存在が実に効いているのだ。

「キャッチャー」の読後すぐにこの本が読めてよかったと思う読者は、わたしだけではないだろう。「キャッチャー」既読の方にも未読の方にも、お薦めします。

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2004/10/07 22:36

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