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投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山内一豊が関ヶ原の後に土佐に封ぜられ、徐々に一豊と千代の意向のみでことが進まなくなる。旧土佐領主長宗我部氏の遺臣たちとの抗争において千代はあくまで平和的な解決を望み、夫・一豊に今までそうしてきたようにそのことを進言するが、その立場がそれを許さなくなっていた。また、実子もできぬままで、家督は甥が継ぐことになったが、その甥に対する最後の手紙は感動的であった。記憶に残る話である。
出世物語、完結。
2015/08/25 22:56
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投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
関ヶ原の合戦は一豊がついた徳川方の圧勝に終わり、一豊は土佐一国24万石の領主になる。夫妻はとうとう一国一城の主に上り詰めたのだった。しかし、土佐の統治は思うようにいかず、一豊は千代の制止を振り切って思い切った手段に出る・・・
夫婦の二人三脚の出世物語、ここに完結。一国の領主にはなったものの、最後までめでたしめでたしのままでは終わらない内容が完成度の高い小説にしていると思う。
この話の終わりから約200年たつと『龍馬がゆく』になるわけですね
2006/09/01 23:59
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの関が原の合戦のくだりと、その後土佐に山内一豊が封ぜられ、晴れて一国一城の主になり、生涯を終えるというのが第4巻です。
関が原の合戦というと徳川家康率いる東軍と石田光成が参謀役を務めた西軍がいきなり関が原で戦ったような理解しかしていませんでしたが、これを読むとなかなか家康の権謀術数の限りをつくした後の実戦だったようです。
そんな中で山内一豊は徳川に味方することを早々と表明し、その行動をもって土佐を与えられることになるのですから、世の中何が幸いするかわかりません。しかもそれが、妻・千代の深い思慮もあってというのがこの『功名が辻』の表わしたかったところのようです。戦国から安土桃山時代の女性が本当のところどうだったのかはわかりませんが、これを読む限りでは千代はかなりの人間であり、夫・一豊は千代の思慮の中で動いて結果的に一国一城の主になれたのだろうと繰り返し思えてしまいます。
その一豊が土佐藩主となってからのくだりは、それまでの一豊と千代の姿からするとかなりの違和感があります。人間が分不相応のものを持った時の悲劇でもあるかのような姿になってしまいます。あるいは、個人ではなく組織を維持していくためには変わらざるを得ない人間の小ささを描いているのかもしれません。
結果的に、この土佐藩主のお国入りから基礎作りの過程が、後の幕末の土佐藩の人間の活躍の理由にもなっていくのですよね。
と言うことは、実はこの『功名が辻』は、『龍馬がゆく』の壮大なる予告編のようなものなのかもしれません。
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土佐24万石の主になった山内家。
旧領主の臣下に手を焼き、
(現代から見れば)思わぬ失政を
行ってしまうことになりますが、
血なまぐさく、どろどろした部分はこの部分だけ。
現実には、苦悩や怨念が募るような
場面も多々あったのでしょうが、
あくまでさわやかな4巻です。
利発さを無邪気さで隠すだけの才覚があった千代。
鷹揚、一途、思い切りの良さ、人の話を良く聞く、
といった、
目立つ才覚や天下をとるだけの度量はなくとも、
大将の器であった一豊。
どちらが欠けても
山内家土佐24万石はならなかったのでしょう。
英雄譚も痛快ですが、
アンチ・ヒーローなこういう話も、
また希望がわきますね。
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才覚のないことを判っていたのが一豊の良いところだったのに、目的が達成されるとそういう謙虚さが失われていったんですね。彼が犯した過ちのせいでかえって千代の偉大さが目立ったりして。。せっかくここまで来たのにちょっと最後がもったいなかった。自分を過剰評価したらいけませんー。
でもこの4巻全部すごいおもしろかった。オススメです。
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文体は簡潔であっという間に読めるけれど、話の裏にたくさんの資料からくる裏づけを感じさせられる。さすが司馬遼太郎氏
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ヒロイン千代のスマートな考えが、現代社会にも通じるものなので、
歴史物の小説にとどまらない、
自己啓発書の要素も含まれた作品です。
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「こまるなあ」
伊右衛門は髪の上の千代の手をそっとむこうへやった。
「これでも天下の国主さまだぞ。千代のもとにかえれば、なにやら子供あつかいにされるのでいやだ」
(P.213)
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遂に一豊が土佐20万石を賜る。しかし、土佐の一領具足たちに手を焼く。
なぜ、一気に一国一城の主になれたのかはよくわかりました。この巻は一豊と千代、両方の良い面と悪い面が見れました。一豊が千代に相談もなく虐殺を行い、千代がショックを受けた場面は千代の思いが伝わってきました。夢が叶ったというのにラストはハッピーエンドではなく、この巻はどうもあまり好きにはなれませんでした。人間、能力に見合ったことをした方がいいのだなと思いました。また、理想と現実についても考えさせられました。
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苦労を繰り返した末に勝ち取った土佐一国の地位。一豊と千代はついに山内家を小さな家から大きな家へ完成させました。
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なんか忙しくて今ごろ読了。読んでる期間は長かったけれど話はあっというまに過ぎていき、
いつのまにか家来が亡くなってたりしました(びっくりした)でもおもしろかった。千代可愛い
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大戦に勝利して、再開を果たした一豊、千代夫妻には土佐24万石という予想以上の恩賞が与えられます。
しかし、その結果肥大化した2人が作り上げた山内家は肥大化し、千代の手か離れたものとなってしまいす。
種崎浜の悲劇は悲しみが尾を引く最後ですが、千代の夢の終わりを感じさせる、この小説にふさわしい終わり方だったと思います。
それだけにあとがきがない方が、私はよかったと思います。
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一豊が一国を手に入れてから、人が少し変わったのが興味深かったところ。結局は一豊が亡くなり、千代が亡くなるところで終わっていた。
あの馬の話は信憑性が薄いということが意外。
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一豊の挙動により、どちら側につくかを迷っていた諸大名の態度が、家康陣営に就くことで一致する。この貢献を家康が大と見、一豊は土佐24万石を得ることができ、千代との約束を果たすこととなる。しかし、もともと、大名の素質にかけている一豊は、武力によって土佐の残党を制圧し、土佐の民の信頼を失うこととなる。地位を得ると、自分自身を失うという典型が現れている。千代の助言はおおむね正しいと言うべきか。
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山内一豊とその奥方千代が一国一城の主を目指し、ついには国持ち大名(土佐24万石)を得る話。主人公である千代の賢妻ぶりもさることながら、3代の武将(信長、秀吉、家康)に仕え、生き抜いた一豊の忠義一本道も凄いと思う。