紙の本
高校生諸君、ぜひこれを今読んで、そして25年後にもう一度読んでみてください。
2007/06/10 14:48
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一次大戦下、アメリカ人フレドリックはイタリア軍で傷病兵搬送任務にあたっていた。彼は戦地で出会ったイギリス人看護師キャサリンと恋に落ちる。凄惨な戦争のもとでも彼女との日々に癒されるフレドリック。しかし戦況は厳しく、ドイツ軍の大攻勢のためイタリア軍は敗走をよぎなくされる。そのさなか、フレドリックは戦線を離脱してキャサリンのもとへ帰ることを決意し…。
今から四半世紀も前の高校時代、大久保康雄の翻訳で「武器よさらば」を読んだことがあります。若い二人が理不尽な戦争によって翻弄されていく悲しい物語に心揺さぶれたことをよく憶えています。
私が好きな高見浩の手でこの物語が新たに訳し直されたと知り、もう一度二人の運命と伴走してみることにしました。
死と隣り合わせの日々に熱を帯びる若い男女が、高校生であった私の目には憧憬の対象として映ったものです。故郷である地方都市以外で暮らした経験のない私が、自分の人生ではなくこうした小説の中にしかまだ見出すことのできない、波乱に満ちた物語に憧れを持つのは無理からぬことでした。
あれから幾星霜。人生を歩んできた末に今回再読して印象に残ったのは、少し別の側面でした。
本書124頁で、フレドリックは会話をかわした従軍神父がいつの日か故郷のアブルッツィに帰ることを静かに祈ります。町はずれを流れる小川。そこに棲む鱒。涼しい夏の宵。栗林を縫って行なわれる秋の狩り。一緒に昼食をとる地元の農夫たち…。彼はそんな様子を思い描きながら眠りにつきます。
そう、なんてことはない、波乱とは縁遠い村の日々には、戦争のない幸せがある。しかし変哲のない生活にありがたみを感じることのできる平和が今は遠のいてしまっている。そのことを描く、とても美しいこの場面を私は幾度も読み返しました。
この場面に胸打たれる私が25年後の今ここにいる。そのことを感慨深く思った読書です。
紙の本
武器よさらば
2020/08/26 22:02
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ人でありながら、第一次世界大戦にイタリア兵として参戦していた主人公だが、戦いの中で負傷し、従軍看護婦と恋に落ちる。戦争という個人を超えた国と国との衝突と、愛という個人と個人のやり取りが対比として描かれ、主人公は愛を選ぶ。戦争が悲観的に描かれる中、その選択は好意的に思われるし、実際二人以外の出来事は邪魔に思える。
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軍兵に志願した米国人・フレデリックは、現地の看護婦・キャサリンと恋に落ちる。戦時下で恋に落ちた男女を待ち受ける悲しい運命。
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第一次世界大戦、赤十字社に従軍してイタリア戦線にひっぱられた。
そこでヘミングウェイは迫撃砲弾の破片をうけて倒れて、ミラノの陸軍病院に送られた。
アグネス・フォン・クロースキーというGerman Americanの看護婦と恋に落ちる。
このヘミングウェイの経験が「武器よさらば」の下敷きになる
。問題は実際のヘミングウェイは「武器よさらば」ほどの熱愛をしているか、していないかということ。彼の結婚離婚歴を考察すると、この小説に描かれている極限状態における純愛をしていたのかもしれないと思ってしまう。それにしてもヘミングウェイはもてる。
19歳 看護婦アグネスと恋におちる。
22歳 8歳年上のハドリーと結婚
28歳 1月ハドリーと離婚、夏「ヴォーグ」誌のパリ駐在記者ポーリンと再婚。
38歳 女流作家、特派員マーサと恋におちる。
41歳 ポーリンと離婚、マーサと3度目の結婚
46歳 マーサと離婚
47歳 タイム誌の特派員メアリーと4度目の結婚
父親と同じように猟銃で自殺しているのは本当か。
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第一次世界大戦中のイタリア戦線、ヘンリー中尉は病院で働くキャザリンと恋に落ちる。敵の攻撃で負傷したヘンリーは、キャザリンと病院生活を楽しむ。しかし、傷が治ったヘンリーは戦線へ戻ることになり、キャザリンと離れ離れになる。
軍からの脱走、スイスへの逃亡、しかし、ヘンリーの戦争は終わらなかった。ラストが悲しい物語です。
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2008/4/15
現在でも、イタリアにとってカポレットが
トラウマになっているのが頷けました。
中盤以降、主人公とキャサリンの仲の
情熱的な盛り上がりが目立ってくるので、
読んでいてこちらまでテンションが上がってきます。
親友のリナルディ、神父、少佐など、
魅力的なサブがたくさん登場するのも良いですね。
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ヘミングウェイ自身にも従軍経験があり、そこでの経験を基に書かれている。
ハードボイルドに乾いた簡潔な文体は、逆にその恋愛を際立たせている。
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栄光に輝くはずのものに、なんら栄光はなく、
犠牲というものは、その肉を埋葬する以外の処置をとらないだけのちがいで、
シカゴの屠畜場のようなものだった
詰まるところ
争うからいけない。
シニカルでしかない
ロストジェネレーション。
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ヘミングウェーらしい長編と思える作品
自分の戦場での体験と想像力を駆使した描写が現実も上回るリアルさを生み出している
それだけにラストの喪失感というか虚脱感が大きい
現代の古典と言える大作です
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『ぼくは何も言わなかった。神聖とか、栄光とか、犠牲とかいう言葉や、むなしいといった表現には、いつもぼくは当惑した。
ときどき、呼んでもきこえないような雨の中に立って、ただ叫び声だけしかきこえないときに、そうした言葉を耳にしたこともあるし、また、ずいぶん前のことだが、ビラはりが、ほかの布告の上にはっていた布告で、そういう言葉を読んだこともあった。
しかし、ぼくは神聖なものは何も見たことがなかった。
栄光に輝くはずのものに、なんら栄光はなく、犠牲というものは、その肉を埋葬する以外の処置をとらないだけのちがいで、シカゴの屠畜場のようなものだった。
たくさんの言葉が聞くに耐えないものになり、結局は地名しか威厳をもたなくなった。番号なども同様だった。ある日付や、場所の名前といっしょに書かれたものだけが、口に出せるものであり、何らかの意味を持っていた。栄光、名誉、勇気、神聖などという抽象的な言葉は、村の名前、道路の番号、河の名前、連隊の番号、日付などという具体的なものとならべると、何か不潔だった』
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第一次世界大戦を舞台に、戦場で生まれた仕官と看護婦の燃えるような恋。常に死と直面する現場の中で繰り返される愛の言葉。しかし結末はあまりにあっけなくやりきれない思いを残します。誰もが経験する死を簡単に受け入れてしまう結果に、生命に対する作者の諦観を感じるのは私だけでしょうか。
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友達に勧められたヘミングウェイの本です。
戦争の話でハードボイルドな感じです。暗い雰囲気が自分の趣味には合わなかったです。
好きな人は好きだと思います。
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高校でヘミングウェイ読んではまった。いちばん彼の作品でよみやすい。一次大戦の只中の実体験が元。戦争小説ではなく実は甘い恋愛小説。恋愛したふたりが戦争から逃げていく。しかしヘミングウェイが文体がかたくて頭痛いけど実体験なのがいい
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クライマックスの呆気なさ、そして淡々と描かれた悲しみ。
戦争の愚かさ、それとともに米欧の「微妙な」関係について、知ることができる本です。
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久しぶり?に長編の本を読んだ。
戦争に振り回される、男女。
心に、静かに訴える本だと感じた。