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闇の守り人 みんなのレビュー
- 上橋 菜穂子 (著)
- 税込価格:781円(7pt)
- 出版社:新潮社
- 発売日:2007/06/28
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文庫 第23回路傍の石文学賞 受賞作品 第40回(2000年)日本児童文学者協会賞 受賞作品 第40回日本児童文学者協会賞 受賞作品
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紙の本
心の闇、想いの闇。
2008/08/09 13:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫化をきっかけに読んでみた「守り人」シリーズ二作目。今回も「もう一つの世界」、ここでは地底の国という別世界との接点が重要な舞台であるが、女であり、用心棒である主人公バルサが辛い過去を直視する、心の整理のための生まれ故郷への旅という設定だからでもあるのだろう、一作目よりも随分と人間の心への関わりが深く現れた作品になっている。
自分に尽くしてくれた人間が「それでいい、と思っていればいるだけ、その恩は重荷にも感じられる」といった複雑な感情は、どう処理していけばいいのだろう。そしてその相手自身も、「重荷と思わないで欲しい」と苦しんでいるとしたら。。。ああ、人間はなんと面倒なものかと思われるだろうか、面倒だがなんと可愛いものかと思われるだろうか。処理し切れなかった思いは、死後はどうなるのか、残されたものはなにができるのか。「闇の守り人」は一つの「片づけ方」を読ませてくれる。
「闇の守り人」というタイトルにもなった役割の設定も、主人公や登場人物の将来をも暗示しているようでなかなか面白かった。
一作目で語られた過去の陰謀が、実はもっと根の深いものであり、語られ方によりこんなにも事実が曲がって伝わる、伝えることができる、というところ、個人の心の中には「そう信じたいと思っていれば嘘もすぐに信じられる」部分があること、そしてそれを利用する人間がいること。一作目と同様、著者の人間観察、歴史や伝承へ言及する言葉は重い刀で切り込んでくる。
大人も読める児童文学としてこのシリーズは評判が高く、一作目よりもこちらの方が大人には評判がいいのだそうである。それはこんな風に人間の想いの深さ、複雑さ、悲しさが濃く表に現れているせいだろうか。個人的には、ふわり、と広がった一作目の方が、重く刺さってくるこちらよりも好みではあった。いろいろな見方の面白さ、と言う意味では一作目の方が多角的な気がするからだ。(私が子供だ、ということか?それもよし、である。)
著者は一作目を読まなくても充分面白いように書いているが、ところどころにでてくる、バルサが懐かしむ前作に登場した人たちも、その人たちがどれだけ彼女に関わっているか、一作目を読んでいたほうがよく伝わると思う。
人間の世界と重なるような別の世界の存在がここにもあるのだが、国が違えば関わり方も、呼び名も違う、という設定も、前作を読んでいればより広がりがあって面白いだろう。できたらやはり一作目から読むのがおすすめである。
紙の本
過去と向き合い乗り越えるバルサ
2022/02/27 17:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
故郷カンバルに戻ったバルサが過去と向き合い、地の底で乗り越える様が良かった。
カンバル荒涼とした景色、地の底に広がる意外な世界がそれぞれ美しかったり、バルサが助ける少年カッサの覚悟にも感動したり、読みどころがたくさんあった。
紙の本
故郷は優しかったか
2016/04/20 13:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いなみの - この投稿者のレビュー一覧を見る
故郷へ向ったバルサが知った新たな闇ジグロのはまった罠の正体、山の王の前で判明した宝石を譲り受ける儀式、牧童が山の民の仮の姿であったことなど変幻自在なストーリーが最後まで一気に読ませるファンタジーの傑作であった。
紙の本
一気に読んだ
2016/03/25 11:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゴータマ - この投稿者のレビュー一覧を見る
精霊の守り人をNHKのドランで見た。原作を読みたいと思って探したら小説だった。小説を探したが売り切れ。そのためシリーズ化した第2作目ということで購入した。
仮想世界の王位継承に絡む権力争いに巻き込まれる主人公の活躍を描く小説。お金の単位や、言葉(単語)まで作り上げ、世界観を出している。登場人物の心の奥底まで描き、物語は膨らみを増している。
主人公は、最後に、心のふるさとというか郷(さと)の幼馴染に合いに行きたいということで旅立つところで終わっている。連作を期待させる終わり方だ。
ここでふと気が付いたのは、主人公が女であることの意味が薄い。名前にしても、行動にしても男っぽい。そこが気になり、評価を4点とした。
精霊の守り人のドラマは、子供を守るということで、母性を感じる仕立てになっているような気がするので、その点惜しいと思った。
しかし、次も読みたいと思ってしまう。
紙の本
ページが開かない!
2016/02/16 20:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:絶滅危惧種 - この投稿者のレビュー一覧を見る
三十路の槍遣いオバサン、バルサ。
亡き師匠ジグロの弔いに決起、故郷を訪ねるが…。
山地の痩せた土地柄の描写が美しい。それでありながらそこには青く美しい山々が存在するというコントラストがまた絶妙。
きっとバルサの眼にもそう映っているのだろうと思うと、次はどんな景色が飛び込んでくるのか、はやる気持ちを抑えられません。
タイトル通り、『闇』が多く出てくるため、読者の想像力(あるいは実際にそういうところを見た経験の有無)が、臨場感を盛り上げてくれる。そんな一冊です。
あとがきにもあるように、大人に人気があるというのは『闇』の中で何を想像できるのか、『闇』をただの言葉通りの黒いつかみどころのない壁としてではなく、『景色のあるもの』としてとらえられるかどうか。子供に比べれば、圧倒的に大人の方が、実体験では場数を踏んでいますからね。
それに、現在の世の中では、『闇』を見つけることの方が日本では難しくなっています。
ほぼ読み終えていますが、序盤のあるページがくっついていたため、そこだけ読み進めずにいます。皆さんも、購入するときには乱丁、落丁の他に裁断ミスがないことをお確かめください。
ハッ!それがこの本の闇?(想像して読めということ?!)
一本取られました。