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あんじゅう 三島屋変調百物語事続 みんなのレビュー

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みんなのレビュー297件

みんなの評価4.3

評価内訳

297 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

「あんじゅう」、宮部みゆきの小説で最後に描かれるのは人間だ。

2010/10/06 15:29

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「おそろし」に続くシリーズ2作目。まずは3つの「うまい」。タイ
トルがうまい。「あんじゅう」は「暗獣」である。中の話のタイトルは
漢字にしてある。それをひらがなにしたことでグッとやわらか味が出た。
イラストがうまい。新聞小説で毎回入っていた挿絵をうまくレイアウト
している。南伸坊のイラストは作品世界を見事に表現していて素晴らし
い。そして、最後、「序」がうまい。初めて読む新聞の読者に主人公お
ちかが百物語を聞くようになった顛末を説明しているのだが、その手際
のよいこと!見事と言うほかない。

 さて、4つの物語でできたこの小説、「おそろし」に比べると軽めな
話が多い。どれも好きなのだがやはり「暗獣」にはやられてしまった。
誰もが怖がって近づかない幽霊屋敷に一人ぼっちで住むもののけ。そん
な屋敷にわけあって住むことになった老夫婦、ある日、彼らは出会う。
妻初音の小娘のような、好奇心旺盛で恐れを知らぬ性格もあって、しだ
いに交流を深めていく2人と1匹。そのもののけは「くろすけ」と呼ば
れるようになり、夫婦は彼?をとても大切に思うようになる。そして…。
くろすけの存在のあわれさ、せつなさが心を打つ。最後は本当に号泣も
の。これはもう思い切り泣くしかない。僕もちょっぴり涙し、心の中で
ワンワン泣いた。

 あとの3編も心に残る話ばかり。前作「小暮写眞館」もそうだが、宮
部みゆきの小説は幽霊やもののけが出て来ても、怪異な現象が起こって
も、真ん中にはいつも「人間」がいる。だからこそ、その物語が読む者
にしっかりと届くのだ。今回から三人組のいたずら小僧や巨漢の偽坊主、
おちかも気になる凄腕の若侍など、助っ人たちも登場してシリーズのこ
れからも期待できそう。あ、最初の「うまい」にもうひとつ。宮部みゆ
きは終い方もうまい。ハッピーエンドにしても何にしても、物語の終わ
りが心にジンとしみるのだ。というわけで「あんじゅう」、何はともあ
れ、泣きましょう。

ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より

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紙の本

多彩なキャラクターが楽しめる百物語

2010/08/28 12:35

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

『おそろし 三島屋変調百物語事始』の続編。
心に傷を負ったおちかは、叔父の袋物屋で働きながら
「黒白の間」といわれる座敷で「百物語集め」を始めます。
叔父の代わりに不思議な話を聞き始めているのです。

「語りて、語り捨て。聞きて、聞き捨て」が決まりの
この座敷だけのなかの秘密の話です。

お旱(ひでり)さんが取りついた小僧・平太の「逃げ水」
引きこもりの隣のお嬢さんの輿入れにまつわる「藪から千本」
小石川の紫陽花屋敷に住む「くろすけ」の「暗獣」
偽坊主・行念坊が語る「吼える仏」

前作に比べ、百物語にふさわしく、あやかしの話が多くなってきます。
やはり表題になっている「暗獣」がいい。
人の住まない屋敷に出る「くろすけ」と
そこに一年だけ住む隠居の武士夫婦との交流が楽しく、悲しい。
人とあやかしは決して共に生きてはいけないのかもしれません。

また、「藪から千本」では疱瘡の神さまに輿入れしたという女性、
お勝が登場し、その後、三島屋で働くことになりますが
この女性が魅力的。しっとりとしていて、しっかり者。

この小説、百まで続きそうな勢いで
それくらい宮部みゆきならやってのけると思われて
本当に楽しみになってきました。

またあやかしの話だけではなく
江戸の風習なども盛り込まれて、飽きさせません。

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紙の本

夢を食べる獏のごと

2010/09/17 21:00

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

三島屋変調百物語シリーズの第二弾では、暗い過去を抱えている17歳の娘・おちかが「語りて、語り捨て。聞きて、聞き捨て」の掟を守り、引き続き、人々が体験した不思議な物語の聞き手となる。決して良いことばかりを聞いていくのではないので、語った本人がすっきりしたとしても、聞き手であるおちかの心に厭な話の余韻がずっしりと残ることだってある。それでも敢えて、全てを受け止めてゆくところに、おちかの成長と癒しへの道があるのだろう。

4つ並んだ話は、最初の『逃げ水』あたりは怖いというより可愛らしい妖怪の印象が残るが、『藪から千本』からどんどん人間の怖さを描く方に比重が置かれ、最後の『吼える仏』で頂点に達する。表題作では、人間の身勝手さと妖怪の無邪気さという、従来の固定観念を覆したような設定となっており、妖怪の哀しい定めが切ない。今後も妖怪噺と並行して人間の愚かしさ、恐ろしさが語られてゆくだろうが、そんな恐ろしい話の聞き手を、はたして年若いおちかがつとめられるのか。不安も募るが、一方で心強い味方が登場しているので、さらなる人間関係の広まりと豊かな作品世界に期待をこめて、第三作を楽しみに待とうと思う。

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紙の本

うまい!!

2010/11/08 17:24

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆこりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ある事件がもとで心に深い傷を負い、神田の三島屋という袋物屋を営む
叔父夫婦のもとで暮らすことになったおちか。彼女は、人びとが心の
内に抱える「不思議」を聞き出していた。ある日おちかは、「紫陽花屋敷」
と呼ばれる空き屋敷にまつわる不思議な話を聞く。そこには、意外な
「不思議」が隠されていた・・・。表題作「暗獣(あんじゅう)」を含む4話を
収録。三島屋変調百物語シリーズ2。

まずひと言。うまい!本当に宮部さんはうまい!それぞれの話の中に
込められた作者の思い。そのひとつひとつが、読んでいてしっかりと
伝わってくる。きちっとしたテーマを持ち、ストーリーを構成していく。
読み手をしっかりと物語の中に引き込んでいくその巧みさには、ただただ
感心するばかりだ。
どの話も甲乙つけ難しという感じだが、特に心に深く響いたのは「暗獣」
だった。くろすけがなぜ生まれたのか?そして、くろすけの宿命とは?
人とくろすけとのふれあいがほのぼのとしている分、ラストは悲しみが
深かった。いつまでも余韻が残る話だった。「逃げ水」は、誰からも
必要とされなくなってしまうということの悲哀を描いている。人でも神でも、
存在価値を認めてもらえないということは本当につらいことだと思う。
「藪から千本」は、ひとり娘を愛する気持ちは同じなのに、心の中に
闇を抱えてしまったために起こった悲劇を描いていて、読み応えがあった。
「吼える仏」は、外部との接触を絶った里で起こった出来事を描いている。
人の心は、仏にも鬼にもなる。人の心の醜さが里の運命を変えていく
さまに、ぞっとする思いを味わった。
起伏に富んだストーリー展開や、登場人物の細やかな心理描写も、読み手を
充分満足させる。読後も満足♪とても面白い作品だった。

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紙の本

この世で一番怖いものは

2010/08/03 11:05

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:こぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る

三島屋の行儀見習いおちかが訪れるお客様から聞くものは
不思議なお話。
納められているお話は
それぞれに物の怪よりも幽霊よりも
怖いものは人の心の中に棲むものだと教えてくれる。
畏れを忘れ神と祭ったものを粗末にする人間。
仲良さ気にみえてその奥に隠れた嫉妬憎しみ複雑に絡まった人間の心のもつれなど。
表題作あんじゅうは、少年たちはもちろんあんじゅうと名付けられた物の怪がかわいらしくそしてしんみり心にしみてくるものがあり秀逸。
いつもながら宮部みゆきの描く子供たちの生き生きとして無邪気でたくましい姿に心癒されほっこりした。

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紙の本

お話がいいのは当然ですが、たくさん載せられた南伸坊の絵がいいです。しかも、伸坊の装幀がこれまたいい。中身と外見のバランスと、宮部が登場人物たちに向ける視線の優しさ、今、時代小説を書かせたらこの人が一番じゃないでしょうか・・・

2011/03/12 21:01

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんとも可愛らしいカバーです。前作『おそろし』とは全く違うグレーを基調にしたものですが、色の配合のせいでしょう、とても温かみがあります。しかも、〈あんじゅう〉がとてもいい。ま、初めてこの真っ黒な豆のようなものを見た私は「これってまっくろくろすけ?」なんて思いこそすれ、まさかこれが〈あんじゅう〉とは思いもしなかったことは確かです。

ちなみに、デザイン関係者の名前を列記すれば

装画・挿絵・装幀 南伸坊
本文デザイン 山影麻奈
DTP 平面惑星

となります。この本のいいところは挿絵が沢山はいっていること。YAや児童書でもここまで沢山の挿絵を載せた本があったかな、と思います。そして、それがカバー画以上にいい、というか可愛らしい。ちょうど今、桜庭一樹の『本に埋もれて暮らしたい 桜庭一樹読書日記』を読み終えたところですが、そのなかで桜庭も挿絵を完全収録した本について絶賛自邸ます。

今まで何度も書いてきましたが、新聞や週刊誌などに連載された挿絵を本にするときに収録しないというのは、納得できません。絵入りは大人向けにふさわしくない、というなら連載時だって不要でしょうし、逆に連載時に必要なら単行本にだってあって悪いはずがありません。挿絵とルビ、これは活字文化を守るためにも必要で、その見事な成果がこの本です、といっても過言ではありません。初出は「讀賣新聞」2009年1月1日~2010年1月31日朝刊。

閑話休題。では、カバーに描かれている黒豆みたいなものは何なのでしょう。出版社のHPには
                 *
江戸は神田、袋物屋の三島屋には、不思議を語る部屋がある。ほっこり可愛く、ちょっと奇妙で、きゅんと切なく、ぞおっと怖い、四つの話のはじまり、はじまり。〈画〉南伸坊
                 *
とあります。目次にしたがって各話のタイトルと簡単な内容紹介をすれば

序   変わり百物語:江戸は神田、筋違御門先の三島町の一角にある袋物屋の三島屋。主人の伊兵衛が女房のお民と興した店に、姪で17歳になる娘が行儀見習いでやってきた。名前は、おちか。不幸を背負った姪に叔父が命じたのは・・・

第一話 逃げ水:灯庵から紹介されてきた金井屋の番頭・房五郎は連れてきた奉公人の染松を指差して「こやつが近づくと、井戸からも水瓶からも花活けからも、家中のありとあらゆる場所から、水が逃げるてしまいます」と忌々しそうに吐き捨て・・・

第二話 藪から千本:元気ものの者の染松改め平太が去った三島屋はどこか寂しげ。そんなとき、おちかに舞い込んだ越後屋の清太郎との縁組の話。どこか気の乗らないおちかは叔父夫妻と清太郎たちとともに梅屋敷の散策に出かけたが、そこで見たのは三島屋の隣家、針問屋住吉屋夫妻と一人娘、そして・・・

第三話 暗獣:三島屋の丁稚の新太は毎日近くの手習所に通っている。その新太が額にたんこぶを作って帰ってきた。おちかと新しく雇われたお勝が聞き出すと、直ちゃんに殴られたという。直ちゃんを連れて謝りにきた若先生・青野利一郎は少年の父親にかけられた疑いのことなどをおちかに語るが、意外な真相が・・・

第四話 吼える仏:おちかが自分で百物語の相手に選んだのは、青野利一郎が子供たちのお目付け役にしている風来坊の偽坊主・行然坊。修業を途中で投げ出した男が語る山奥の小さな村での出来事。本物の僧侶が代官のように纏め上げた村で、行然坊の前に姿を現した痩せ衰えた男は・・・

変調百物語事続:おちかが気にしている青野利一郎も、行然坊も三島屋の前を素通りするだけで挨拶もしてくれない。気軽に声をかけてくれた三人の子供たちも物陰に隠れているばかり。そして三島屋の忠義一途の番頭・八十助まで店そっちのけで外にでかけるようになり・・・

となります。読み終わって思うのは、やはり南伸坊の絵が素晴らしいということ。どことなく、やなせたかし、の絵を思わせるところもありますが、南ってこんな絵を描いていた? っていいたくなります。人間は若々しく、おちかなんてやたら元気がありそう。これが前作『おそろし』だったら、ちょっと似合わない気もしますが、心の強さを取り戻したこの巻にはぴったり。でもやっぱり可愛いのは〈あんじゅう〉でしょう。

今回、いいのは子供たちです。『ぼんくら』に登場した子供たちのような愛らしさ、こんな子供たちが身近にいたら楽しいだろうな、と思わせるようなところまではいきませんが、でも宮部がファンタジーに登場させた子供たちとは明らかに違います。異性への想いの真剣さが違う。無論、お話のほうもそういう展開をするのですが、こういう姿勢はどうも時代小説にこそ似合うんです。

子供たちは、みな手習所〈深考塾〉に通っています。今年の春の出替わりで奉公にあがってきた新参者の丁稚の新太も、その友だちでのいたずら三人組 の金太と捨松と良介も、三島屋の先にある八百屋、八百濃の養子の直太郎も、みな塾の習子です。彼らは、大人のいうことを聞かず、勝手な行動をとったりしますが、現代小説に登場する子供とは違います。なにより彼らには、若先生・青野利一郎がいます。

前半は、『おそろし』に登場した清太郎とおたかが、おおちかに絡んで軽い縁談のような話になっていきますが、いつの間にやらその線は消滅して、利一郎がおちかの心を占め始めます。ここらの描き方が、あっさりしていて、それがとても気持ちがいい。宮部の小説にはドロドロした、あるいは軽薄な男女関係が登場しないような気がします。痴話げんか染みたじゃれ合いを主人公たちが繰り広げることは殆どありません。それがいいんです。

替りに描かれるのは、家族です。両親は娘を思い、娘は両親のことを気にかける。兄は妹のことを心配し、妹は兄の幸福を祈る。それは人情小説として涙を誘うようなものではありません。恋愛同様、くどくはない。さらりとしています。しかも、これまた軽いユーモアもある。でも、そこにある熱い思いは読者に十分に伝わります。宮部の時代小説のよさがあふれる作品と言えるでしょう。

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紙の本

温かみのある装丁と、神話的なストーリー。

2011/07/03 08:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

青を基調とした装丁が素晴らしいと、まず第一に思った。『おそろし』の装丁は、彼岸花の影というか…本当に縁起が悪そうな感じでしたが、今回は全然違った趣向なのかと思わせる。その表紙に、襖からこちらを覗く謎の影?物体?がありますが、その正体はきちんと本書の中で明かされます。第二に、挿絵が可愛らしく、すごく良かった。おちかの表情や顔つき、言葉では表現し辛い『くろちゃん』の様子や、色んな登場人物の容姿などの特徴もきちんと追うことができた。総じて、読み易く、挿絵のおかげでイメージも掴み易く、情景を思い描きながら読破できた。

印象的だったのは『逃げ水』。人間の都合で振り回される、一人の神様の話。なんだか切ない気分になりました。人は困ると神頼みをしたくなるものですが、一度それが満たされてしまうと信心が薄れてしまったりします。自分のこれまでを振り返り、考えさせられたりした。困った時だけ祈るのではなく、普段から感謝の気持ちを念じるのも大切なことかもしれない。今、普通に生活出来ていることは、決して当たり前なことではない。飲むためのお水がある、住む場所がある。有り難い事づくしだ。

あと『暗獣』が切なかった。幽霊屋敷と噂になって誰も近寄らない空き家に住むくろすけ。くろすけを可愛がり、住み始めた夫婦がいた。弱り始めたくろすけ、原因を探り続ける夫婦。その因果関係が明らかになっていくと、哀しくなってくる。くろすけと仲良く暮らしていきたいけれど、くろすけの事を想えば一緒に暮らしてはいけない。また、くろすけも夫婦に遠慮したり、思い遣ったりするふしがあるのが涙を誘う。

おちか自身の日常生活や、色恋の話も蔑ろにはされていないので、読んでいて飽きなかった。今回は、どちらかというと神仏のお話が目立った。登場人物の喜怒哀楽、江戸時代の流行や、人情の機微。宮部みゆきさんの巧妙な描写や表現力、魅力が満載の一冊だと思う。ページ数は結構多いのだけど、それがあまり気にならなかった。NY在住なので、新刊は紀伊国屋で買うしかないのだけど、円高だからアメリカ$だとすごく高く、原価は¥1800なのに$32近くした。買うまでにだいぶ躊躇したけれど、思い切ってお財布を開けて良かったと思えた。宮部みゆきさんの時代小説ははずしたことがないし、これからも楽しみにしています。

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紙の本

こわかわいい 三島屋変調百物語事続

2023/05/07 14:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る

いつもは、ゾッとするようなこのシリーズなのですが、この小説は可愛いと怖いが混ざった感じです。いえ、怖くないのです。おとぎ話のようでホッコリしました。

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紙の本

おちかと、彼女の大切な人々が、現実の中で前に少しずつ進んでいく物語。 その姿は、心の奥の大事なものに火を灯してくれる。

2022/08/31 11:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る

神田三島町の袋物屋の三島屋。
主人伊兵衛の姪のおちかは、実家の川崎宿の旅籠丸千から行儀見習いの名目で託されている。

おちかには、三島屋に託されるわけがあった。

「人は、身体を動かしていると物想いを忘れる。だからこそおちかは働きたがったのだし、同時にそれは、厳しく躾けられ使われることによって己を罰したい、罰してほしいという切実な願いでもあったろう」(序 変わり百物語 P6)

少しの偶然から伊兵衛の趣味の囲碁部屋「黒白の間」で、一度に一人ずつ、一話語りの百物語の聞き集めが始まった。

「『神様でも人でもさ、およそ心があるものならば、何がいちばん寂しいだろう』
 それは、必要とされないということさ」(第一話 逃げ水 P113)

「人は、心という器に様々な話を隠し持っている。その器から溢れ出てくる言葉に触れることで、おちかはこれまで見たこともないものを、普通に暮らしていたなら、生涯見ることができないであろうものを見せてもらってきた。
 そこに惹かれている」(第二話 藪から千本 P151)

「『世間に交じり、良きにつけ悪しきにつけ人の情に触れていなくては、何の学問ぞ、何の知識ぞ。くろすけはそれを教えてくれた。人を恋ながら人のそばでは生きることのできぬあの奇矯な命が、儂の傲慢を諫めてくれたのだよ』
 だから加登新左衛門は、子供たちに交じって暮らす晩年を選んだのだ。
 人は変わる。いくつになっても変わることができる。おちかは強く、心に思った」(第三話 暗獣 P502)

「『騙(かた)りが易しいのは、己は信じておらんことを、言葉だけをつるつると吐いて、他人に信じさせようとするからじゃ。真実(ほんとう)のことを語るのが難しいのは、己でも信じ難いことを、ただありのままに伝えようとするからでござろうな』」(第四話 吼える仏 P598)

人間にとって、最も難しいことのひとつは、人間関係だろう。
お互いに、そして世間に関わり合うからこそ、悩み、傷つき、苦しむ。

だが、それを癒やすヒントも人との関わりの中にこそある。

百物語は、始まったばかり。

おちかと、彼女の大切な人々が、現実の中で前に少しずつ進んでいく物語。

その姿は、心の奥の大事なものに火を灯してくれる。

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紙の本

ほのぼの、せつない

2017/01/18 10:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る

あんじゅうの挿し絵が可愛らしい。おひでりさんも。
おひでりさんは神様(モノノケ?)だから恐ろしげな描写もあるけれど、少女の姿だからかやっぱり可愛らしい。
平太にどんだけ待たせると怒ったおひでりさんは、もしかしたらはやをどうこうするという力も無かったのかもしれないと思いました。
この本ではほかにも子供が出てきますが、皆愛嬌があります。
江戸時代ということもあるのでしょうが、宮部みゆきさんは幼い子供を可愛らしく描くのが上手いですね。

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2010/08/23 16:53

投稿元:ブクログ

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2010/08/23 15:22

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2010/07/27 19:39

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2010/08/12 10:40

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2010/07/27 10:27

投稿元:ブクログ

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