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紙の本
すきとおった景色が、幻燈スクリーンを流れていく・・・・・・。そんな素敵な詩が、いっぱい。
2009/03/22 14:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
賢治の眼に映った岩手の自然の風景を、ささっとスケッチして掴まえてきたような詩が、この一冊の中にいっぱい詰まっています。
青白い光を放ち、ぺかぺかと明滅する鉱石の間を、しゅうふっふと息を吐きながら、岩手軽便鉄道が走っていたり。海のように光る山から、ホウと声を立てながら風が走ってきたり。すきとおった景色が、幻燈機のスクリーンを流れていく・・・・・・。そんな気がして、とてもいい心持ちになりました。
賢治のすぐ下の妹、とし子(宮澤トシ。1898-1922)の死に立ち会った賢治の深い悲しみ。妹に呼びかけるいくつかの詩に、胸がぎゅっと絞られましたね。「永訣の朝」「松の針」「無声慟哭」、この三つの詩です。
「早春独白」の中、次の詩句はいいですねぇ。くらくらっときました。
< ・・・・・・雨はすきとおってまっすぐに降り 雪はしづかに舞ひおりる 妖しい春のみぞれです・・・・・・ >
さて、風の一等賞のメダルはどの詩にあげようかな。「眼にて云ふ」、これに決めました。こんなにもすきとおって美しい詩も、そうはないですから。おしまいの三行の言葉が、ことのほか、綺麗。
余談ですが、この「眼にて云ふ」と「生徒諸君に寄せる」の中の詩句が、伊坂幸太郎『魔王』の物語で、かなり印象深い使われ方をしています。
紙の本
青空
2002/07/25 00:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アセローラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この詩集に「眼にて云ふ」という詩があります。賢治が命の危険にあるときに書いた詩です。人から見れば賢治の姿は痛々しくて眼もあてられないほどだろうけど、賢治の目にはきれいな青空が映っている…。この詩は、坂口安吾も好きだといっています。賢治の詩といえば「雨ニモマケズ」が有名ですが、「眼にて云ふ」はもちろん、他の詩にも賢治の思いと命が吹き込まれています。
紙の本
かなしけれ=愛(かな)しけれだろうな
2005/06/02 11:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:湖衣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ささいなきっかけで食わず嫌いが完治する。
宮沢賢治の詩というと、口語体の軽い詩ばかりと思っていてきちんと読もうとすら思わなかった。
ちょうど最近、矢野絢子さんという高知在住の歌手が「敗れる少年の歌へる」という文語詩に曲をつけていて、この詩の入っている文庫を探したら新潮だけだった。
きみの星こそかなしけれ
天沢さんのセンスの良さ、信頼できる編纂。
紙の本
幻想的なだけではない
2019/08/15 04:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮沢賢治というと、銀河鉄道の夜のような幻想的な作品のイメージが強いけれども、この詩集からはなんというか、生々しい命というものを感じる気がする。
言葉の選び方は所々学者っぽいところがあるけれども、その固めの表現と感情の動きが独特の雰囲気を出している。