紙の本
この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」
2015/08/31 08:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青年知識人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前著『この社会で戦う君に「知の世界地図」をあげよう』に続く、池上さんの東工大での講義録。受験を終えて、一つ上の世界で深呼吸しながら社会の動きにも関心を持ち始める理科系学生に、今の日本の状況がどのように形作られたのかを戦後の出来事を中心に簡明に解説している。各章とも、話の「マクラ」からぐいぐい引き込んでいく語り口はテレビのあの名調子と変わらず、読みながらも茶の間で液晶画面に向かっている錯覚に陥るようだ。公害・エネルギー・教育・学生運動・バブル崩壊・政権交代・・・と、浅い知識はあるものの、なかなか他人には説明できない事柄を改めて復習できる。一例を挙げると、戦後の農地解放(農地改革)によって、大地主の土地を安く入手できた小作農たちは、「やる気を出し」て生産性が向上する一方で、自作農となり自身の土地を得たことでその多くはやがて保守化し、「農村は保守勢力の牙城に生まれ変わ」った、という第2章での指摘。現在の保守政権が大事にしてきたのがどの階層でそれは何故か、すんなりと理解できた。ただ、池上さん流の結論の導き方が若干強引なくだりもあり、異説・反論を唱えたい向きもあるだろうが、それこそ学生ならずとも他書にあたるなりして、自分自身の戦後史観を築くのが良いだろう。池上さんが若い人たちに望むのもまさにその点にあると思う。
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まずは事実を知ることから!
2015/10/26 18:03
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投稿者:ぴーすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
池上氏も言う通り、「知っておくべき」ことなのだと思う。
目の前の時流(をあおるメディアとか)に乗せられて、事実関係も
確認しないで、反対を唱えても無理。
また、現在(最近はもっとあやふや?)の教育では歴史教育は
近代社会(殖産興業、富国強兵)で終わってしまって、大正デモクラシーから
第二次大戦への突入、その後、それこそ戦後復興の話などについてはあまりやらないですよね。
知りもしないで、文句を言うというのは、無責任。
それこそ、日本がつぶれかけた時代を乗り切った人たちが何をして、
それで今の私たちがいるのか、そういう意味で、必読の一冊。
議論はそれからだ。
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一つのきっかけになる本だと思いました。
2015/09/27 11:00
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投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る
難しい言葉を使わず、より真っすぐに伝わることの方を著者は重視しているように思いました。そして、どうとらえるかは、聴講している側に委ね、自身の考えなどで偏ることのないように、言葉の一つ一つを選んでいる印象を受けました。自分はどう考えるのか、の一つの出発点になるような講義だと思いました。
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教える側が体験してきた「現代の出来事」を「歴史」として教える難しさ。
分析ができていない出来事ならなおさら。
とはいえ、現代史は学ぶべきものだから現代の視点ではとるに足らない理由から起こってしまったことだとしても、共に分析したり想像力を働かせたりして考えていけたらいいと思う。
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愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ。
戦後から現代までの政治、経済、教育、エネルギーの変化、外交、の歴史をたどれる本。
読むと現代おきている社会の問題に対し見方がかわる。
戦後からの歴史の推移の経緯がわかりやすくかかれているので、社会の問題の成り立ちがわかる。
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東工大生が羨ましい.日本津々浦々ある大学の中で,これだけ近現代史の核を考えさせてくれる講義をするところが他にあろうや?昔も今も変わらず,東工大は前例に縛られず尖っている.
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戦後を知らない若者も、記憶がぼやけてきてしまった私達も必読の書ではないだろうか。
本書の内容(講義の内容)は親からの口伝による戦後史を含めればまるまる自分が今まで生きてきたど真ん中の歴史になる。
安保反対のシュプレヒコール、血のメーデー、変動金利への移行、成田闘争、沖縄返還、赤軍等々。
何と波瀾万丈な世の中を私はのほほんと生きてきた事かと反省しきりとなる。
けれどとりあえずそれらを体験したり、戦中戦後の世の中の事も親から聞いている。
意識せずとも昭和と一緒に歩んで来た。
よくも悪くも昭和から平成までの世の中の仕組みが身にしみているのだ。
しかしこの講義を受けている東工大生は、そして私達の子供は未体験であるだけでなくそれらを知らない。
過去の歴史認識が欠如していては若者たちのこれからが不安だ。
その若者たちだけでなく今の政治家も戦争体験者はいなくなりつつあるのだ。
これはこれからの日本が不安だ。
記憶が曖昧になってきた私達も一度本書で整理してみると良いのではないだろうか。
ただし、本書でも著者自身が述べているように「池上が言っている事は本当なのだろうか??」という疑ってみるという事は必ず必要だ。
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池上彰氏が東工大で主催する講義の内容のオムニバス。講義の趣旨としては「現代社会を理解するには、その少し前に起こった事を理解することが大切であり、歴史に苦手意識の多い理系の学生にその視点を与える」というもの。本書はその中でも日本に関わる問題が中心。解説されるトピックスとしては、憲法9条問題、日韓関係、沖縄の基地問題、日米安保の問題、原発とエネルギーなど、まさに今ニュースとして取り上げられている問題です。解説の分かりやすさはさすが。知っているようで、実はあまり理解できてなかったような部分の説明が、まさに「痒い所に手が届く」感じで展開されます。
しかし私が驚いたのは、池上氏も本書で触れられていますが、細川政権や村山政権の誕生や、東西冷戦とその崩壊、天安門事件、地下鉄サリン事件、阪神大震災、9.11テロなど40歳以上の人なら誰でもすぐに思い出せる大きな事件や出来事を、今の大学生より下の世代はほとんど実体験として持っていないという事実。ここ20年ぐらいに、実は現代社会を方向付ける大変重要な出来事がたくさんあったんですね。戦争を体験した方の経験を私たちの年代が受け継ぐのが大切なように、これらの出来事の意味や中身を自分の子供の世代にもちゃんと伝えないといけないな、と感じます。池上氏の受け売りですが、歴史の授業ではどうしても現代史、とくに近い過去の部分は手薄になりがちですものね。
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高校までの歴史の授業ではあまり真剣に扱わない、というか教える先生たちにとっては実際に生きてきた時代であるが故に歴史として認識されていない現代史を、池上流に解説してくれる本です。
東工大での授業がもとになっています。
正直、知らなかったり、適当に知っているふりをしていることが多かったです。
平成になって25年以上が経過し、大人たちにとっての現代は、若者にとっての歴史です。その断絶というのが、いつまでたっても問題が解決に向かっていかないことの裏にあるのかもしれない。
ただでさえ、日本は歴史について検証を詳しくすることなくうやむやに先送りする傾向にあるので、我々も事実を教えられなくても調べ、考えていくことが大切であると、痛切に感じました。
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東工大講義シリーズ第二弾。自信喪失した日本を変えるために、敗戦から甦った「ほんとうの戦後史」を学びたい人へ。
もともと子どもニュースでお父さん役をやってらした頃に見ていた世代です。こんなに活躍されるようになるとは・・・確かに分かりやすいし自分の主張を抑えて事実の説明に徹する姿勢がいいのかなと思います。私にとって戦後は生まれてもいない過去の話で、想像するしかできない時代ですが、知らずにいることは同じ過ちを繰り返しかねない愚者の行為です。こんなことがあったのかと時折新鮮に読みつつ、常に批判的に考える癖を身に着けなければと反省しました。それにしてもこの授業を生で聴けるなんて、東工大生が羨ましすぎる。
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池上彰教授の講義本は理解しやすく、ニュースで取り上げていた事柄の背景を知ることが出来ます。
なぜ、米軍基地と沖縄県、政府との対立は続いているのかを、頭では理解していても、時代背景が明確ではなかったのです。
琉球王国時代にさかのぼると、日本が侵略してきた。
琉球国王は沖縄県知事として日本に属するようになる。
その後、第2次世界大戦では沖縄は米軍との戦場となって、民間人が犠牲になる。(日本兵からも虐待や殺害を受けた)
米ソ東西冷戦時代は沖縄県が極東地区の軍事基地として
多くの建設が進み、米軍人が度々沖縄県民を暴行したりする事件が後を絶たない。
軍事基地移転問題を政府は空回りさせているだけで、
対応が遅れている。
そこまで背景として理解してくると、沖縄県知事が日本政府に対して行なっている行動が理解できるし、共感できる部分も生まれてきます。
その他、日教組や学生運動から日本赤軍、オイルショック、政治の変化などなど背景が少しずつ理解できる1冊です。
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タイトルとして戦後史の学び方だが、解説ではなく学び方というのがポイントというか。相変わらずポイント絞ってあってわかりやすい。
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中学・高校では見落とされがちな日本の戦後史について、東工大での講義をもとにまとめられている。
必ずしも全てを網羅したものではないが、主要なトピックスは概ね抑えられている。
読みやすく、理解もしやすかった。
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学んできたはずの歴史、経験してきたはずの歴史。
記憶が薄れたのか?そもそも理解していなかったのか?「へぇ、そうだったんだ」と新鮮な驚きの連続でした。
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池上彰氏が東工大で行った講義の内容をテーマ毎にわかりやすく書かれている。
個人的には現在の自民党や民進党のできた経緯や、日米安保、自衛隊の成り立ちなどが体系的に理解できたのがよかった。